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プロローグ

 本来の予定、休み中にある程度書き溜めして始めようとしましたが諸事情により失敗しましたので見切り発車させて貰います。


 いつもに増してグダグダかもしれませんがよろしくお願いします。

 薄暗い地下深くにある地底湖の傍にある質素な祭壇の上で静かに目を閉じて祈るように指をきつく締めるように絡ませている15歳ぐらいの少女の姿があった。


 地下である事と地底湖があるせいでヒンヤリと冷たいのにも関わらず少女は薄らと汗を滲ませ、額に金色の髪が張りつかせる。


 白いシスターのような服装で体のラインは分かり難いがまだ成長が始まってはいなさそうである。

 俯いているのでフードのせいで目元は分からないが良く見ると口許が動いていて、そこから紡ぎだされる言葉に耳を傾けるとこんな事が呟かれていた。


「コムギ、諦めなさい。止める訳にはいかない、帰る場所もないのよ。そう、帰れる場所がないようにしたでしょ?」


 イマイチ何を言いたいかは分からないが自分に言い聞かせているようだ。そして、彼女の名前がコムギであり、帰る場所もなく、どうやら自分の意思でここにいるらしい。


 彼女、コムギは可愛らしい下唇を噛み締め、薄ら開かれた瞳は濃い青はウルウルと泣く一歩手前といったように潤ませていた。


 コムギの瞳が開くのを待っていたかのように目の前の地底湖の中心に波紋が生まれたと思ったら渦巻が起きる。


 それを見たコムギはカタカタと震え出し、クリっとした瞳の目幅一杯に滝が流れるような涙を流す。


 渦巻の中からゆっくりと現れる大蛇と言えばいいのか、竜と言えばいいのか分からないものが頭頂部からゆっくりと姿を現すのを見つめるコムギは短い悲鳴を上げた。


 大蛇(仮)が上がってくる同じ速度で目で追うコムギは口を逆Uの字にしてプルプルと震える。


「やっぱ、止めて良い? ううん、止めるって言わないから一旦、お家に帰って考える時間くれないかな?」


 駄目かな? と首を傾げてると目の前に現れた大蛇(仮)も同じ方向に鎌首を傾げる。


 それを見て、もしかして、と希望の光を見出したコムギが表情を明るくした瞬間、大蛇(仮)がシャーと声と共に口を開けるのを見たコムギは一旦止まった涙を盛大に流す。


「うわぁーん、ちょっと期待したのに!! 人身御供なんか受けずに逃げ出せば良かったぁ!! 結婚どころか、初恋もまだのまま蛇のご飯になるのイヤァ――!!」


 両手で頭を抱えて世の理不尽、主に恋愛経験ゼロである事を呪ってイヤイヤと被り振るコムギを喰らう為に大蛇(仮)が襲いかかる。


 コムギが逃げる間もなく、迫る大蛇(仮)が喰らうかと思われた時、背後から声がする。


「女、邪魔」

「へっ?」


 コムギが振り返る間も貰えずに背中を蹴られて迫る大蛇(仮)の下をヘッドスライディングするように顔を地面に擦った後、ポチャンと地底湖に落ちる。


 地面で擦って可愛らしい鼻を赤くしたコムギが地底湖から這い上がると大蛇(仮)の口を閉じさせないように両手で支える同じ年頃の学ラン姿の少年がいた。


 大蛇(仮)に食べられそうになっているのにふてぶてしさを隠さない寝癖混じりの黒髪の少年を見てコムギはドボドボになって息苦しいのでフードが外す。外した下から金髪のショートヘアで可愛らしい顔が現す。


「えっと……助けにきてくれたの?」

「はぁ? なんでお前みたいなチンチクリンを助ける物好きかって……単位の為、単位の為。そこにいると邪魔だから、さっさと離れろ」


 ショック状態で麻痺していたコムギの感情がチンチクリンと言われて真っ白な肌を真っ赤にして地団太を踏み始める。


「な、タンイ? 何言ってるの? それにこんな美女を掴まえて!!」

「美女だ? ガキ臭い出るとこも出てない女がナマ言うな……ああっ! 面倒クセェ! フレイドーラ先生、このクソアマを頼んだ」

「……はぁ、やれやれ、これは減点対象だからな、高田」


 少年の言葉にコムギの背後で返事がして振り返る間も与えずにコムギは大男の小脇に抱えられて悲鳴も上げる間もなく部屋の端へと連れられる。


 何がどうなってるか分からないコムギが気付けば、ポイッとその場に落とされる。


 不意打ちでお尻から着地してしまい、お尻を撫でながら横を見ると長い赤髪のチョイ悪系の男前がジャージ姿で呆れるように大蛇と力比べする少年を見つめていた。


 事情が分からないコムギは横にいる大男、フレイドーラに話しかける。


「貴方達は何者なんですか?」

「そうだな……神様の使いの見習? 我は指導する側だがな」


 フレイドーラの言葉で余計に訳が分からなくなって混乱するコムギを放って少年に檄を飛ばす。


「さっさと終わらさんか! 我はこの後、予定があるんだ」

「うっさい! どうせ、ノルン先生達と居酒屋『みょるにる』に行くだけだろうが!」


 大蛇を抑えながら振り返る少年が怒鳴るがフレイドーラは腕を組んだ状態でシレっと「大人同士の付き合いだ」と流す。


 ウウッと唸る少年にフレイドーラは「さっさとしろ」と急かされる。


 額に血管を浮かび上がらせた少年が深い呼吸をした瞬間、全身を覆うような光、白いオーラを纏う。


 少年が短く息を吐くと抑えていた片手、右手を外す。


 抑えられていた大蛇(仮)は少年を飲み込もうとするが空いた右手を振り被り、大蛇(仮)の牙を殴りつける。


 すると、あっさりと大蛇(仮)の牙が一本折られ、痛みに苦しむように離れようとする。しかし、少年はそれを許さず、追撃する為に前に跳び、大蛇(仮)の下顎を救い上げるように蹴り飛ばす。


 蹴り飛ばされた大蛇(仮)が天井に叩きつけられるのを見送る少年が叫ぶ。


「仕上げだ、仕事しろ、さとし

隆二りゅうじ、煩い、黙れ。言われなくとも分かっている。僕に命令出来るのは……」


 蛇を追うように飛び出した黒髪の少年、隆二とうって変わって、綺麗に髪も学ランを整えた白髪の美少年、聡が懐から生徒手帳を取り出して開く。


 空中で器用にその中を覗いてウットリする聡。


「僕に命令出来るのは世界、いや、全世界一美しいママだけ!!」


 ママーン!! と両手を広げて大蛇(仮)を目掛けて滑降するのを遠い人を見るように見ていたコムギが隣にいるフレイドーラに質問する。


「えっと、あれは魔法の詠唱か何かですか?」

「いや、少なくとも我はそんな魔法は知らん」


 コムギはとても残念な二枚目がいたようだと飲み込む事にしたようだ。


 滑降する聡が右手を掲げると槍が現れ、握り締めたと同時に狩人のように表情が引き締められる。


 手にした槍を天井に叩きつけられて地面に叩きつけられようとしている大蛇(仮)に放つ。


「穿て、グングニル!」


 聡が放った槍、グングニルは大蛇(仮)に迫り、ぶつかると地底湖に押し戻され、激しい水飛沫が起こる。


 その水飛沫をモロに受けたずぶ濡れになったイヌのような隆二が半眼でちゃっかりと岩柱の後ろに避難して濡れてない聡を睨む。


「おい、なんでテメエだけ避難してんだ?」

「はっはは、僕がずぶ濡れになったらママが心配して倒れるかもしれないだろう?」


 小馬鹿にするように聡が言うのに罵るように文句を言う隆二を見て、コムギが横にいるフレイドーラに話しかける。


「えっと、私、助けて貰えたんですか?」

「ん? そうなる……いや、まだのようだ」


 えっ? とマヌケな声を上げるコムギの背後からザバァっと大きな水音をさせて地底湖から大蛇(仮)が飛び出してくる。


 隆二と聡を無視して、遠くに離れるフレイドーラの傍にいるコムギを目指して……


 どうやら隆二達に戦いを挑んでも勝てないと判断してコムギを喰らって逃げようという腹のようだ。


 コムギに迫るのを見たフレイドーラが一瞬、身構えるがすぐに解く。


 それを見たコムギが叫ぶ。


「た、助けてくれないんですかぁ!!」

「ああ、何故なら……」


 コムギとフレイドーラの前に黒い影が飛び込み、大蛇(仮)の口に割って入る隆二。


 それを見て口の端を上げるフレイドーラは続ける。


「我の教え子が間に合うのが分かったからな」


 噛みつかれて牙を穿たれた隆二を見て慌てそうになるコムギを見てフレイドーラは笑う。


「心配するな、この程度では高田の体を貫けはしない」


 そう言われて見ると大蛇(仮)の牙は隆二を貫いている様子はないのを見て目を白黒させるコムギを無視して大蛇を再び蹴り上げて天井へと吹き飛ばす。


「今度はしくじるなよ、聡!」

「ふっ、しくじってはいない。ただ、ママの美しい顔に見惚れていて手元を見てなかっただけだ」


 髪の毛を掻き上げる聡が飛び上がるのを見送る隆二が「それが、しくじるって言うんだっ!」と怒鳴るのを見つめるコムギにフレイドーラは言う。


「この程度の大蛇にてこずるような奴等じゃない。最硬の盾の隆二、最強の矛の聡……となる予定の女神ノ学園の最強最弱の凸凹コンビの2人だからな」


 呆けて見つめるコムギの視線の先で隆二に吹き飛ばされた大蛇(仮)の口の中にグングニルを聡が投げ込んで大蛇を四散させるのを眺めた。

 感想など頂けるとバイブルのやる気に繋がるのでよろしくお願いします。

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