1-1 僕の昔話
僕が初めてストーキングしたのは、小学三年生の帰り道だった。
相手は初恋の人。
僕は好奇心だけで彼女の後ろを付いていった。当時、スパイのドラマが流行っていたから、それの真似をしたのだと思う。
相手に見つかるかもしれないというスリルを味わいながら、彼女のあとを追う。
しばらくして、話し声が聞こえてきた。
ドラマのスパイさながらに、僕は聞き耳を立てた。
彼女の話題はなんと僕だ。
僕の名前が聞こえてきて、一瞬飛び上がるかと思うほど嬉しかった。
でも、彼女が言葉にしていたのは……。
僕の悪口だった。
僕は彼女との仲は悪くないはずだと思っていた。あの子は昼休みに僕に話しかけてくれったり、グループ活動のときに誘ってくれたりしてくれていた。
それだけにショックは大きかった。
それからは、好きな子以外のあともつけるようになった。
他人は嘘つきだ。
本当の事を隠している。
暴け。僕を騙した悪人の本性を見抜くんだ。
僕はそんな気持ちだった。自分がしていることが、ストーカーと呼ばれる行為であるという自覚すらなかった。
しかし、中学2年生の冬。僕のストーカー行為が発覚した。幸か不幸か、事件にはならず、当事者間で話は収められた。
あの時のことを、いつも思い出す。親から糾弾された事より、学校でみんなの玩具のように扱われたことよりも、
「信じてくれていなかったんだね」
大切な友人を傷つけてしまったことが一番辛かった。
そして、僕はもう二度とストーカーにはならないと決意した。
隠岐 景文。中学を卒業し、新生活が始まって1か月。
――僕は再びストーキングをすることになってしまう。
個人的に長いと読みにくい気がするので、ぶつ切りにして投稿します。