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第3話 「ジャップらしくで、行こう!」

この物語はフィクションです。

ヒンソーダ共和国

【危険度】

・首都ヒンソーシティ

:レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

・その他の地域

:レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)


【ポイント】

・長期独裁政権であったガブガブ政権がガブガブ・ヘベレッケ大統領の急死により瓦解。新政権樹立までの期間、デモや暴動等が発生する可能性が非常に高いため渡航は止めてください。


(日本国『外務省海外安全ホームページ』より)







ヒンソーダ共和国 大統領執務室


「タケルン、余の仕事が終わるまで後ろで立っておれ。務めを果たしたなら、ヒンソーダ皇帝と夕餉ゆうげを共にする名誉を与えるぞ!」


「わーい、うれしいデス。ヒンソーダ、ばんザイ!」


俺は今日の昼食が抜きになったことを知り、顔で笑って心で泣いた。毎日の習慣を乱されることはまったく堪え難い。しかし、命あっての昼食だ。しゃーない、しゃーない。


ぺったん、ぺったん、美少女が書類に判子を押す間にも地球は回るよ。くるくる、くるくる……


「……なぁ、タケルン。余のことをどう思う?」


「音声を上手く聞き取れませんでシタ。もう一度、お願いシマス。」


おっと、ミス独裁者が急にプライベートじみたことを言い出すから驚いちまったよ。なんだなんだ、ヒロインレース・タケルン杯に飛び入り参加か⁈幸か不幸か不戦勝……じゃなくてレース中止だよ!帰った帰った!


「三度は言わん、しっかり聞け。その、余のことを、いや、私のことをどう思う?」


「なう、ろうでぃんぐ。なう、ろうでぃんぐ。しばらくお待ちくだサイ。」


「英語なんて喋るな!さっさと答えろ!米国の手先としてスクラップにされたいか‼︎」


さあさあ、はったはった!天使の鉛玉が貫くのは、哀れなロボット人間の心臓か?それとも可愛いあの娘の恋心か⁈どうです、解説の木海野さん?いやー、私は彼女の一人称が「余」から「私」に変わった点に注目したいですね。なるほど、なるほど!


「……貴女は、せっかちな人だと思いマス。」


「ほう、続けろ。」


おっと、タケルン挑発か!一歩間違えば勝負がついてしまうところですが……首の皮一枚繋がりましたね。生殺与奪の権を握られた状態でのこの行動に一体何の意味があるのでしょうか?おそらく、男の、いや、大人の意地でしょうね。いやー、くだらないですね〜


「まだ公式に即位の発表もしていないのに皇帝ダー、と威張ってみタリ、睨みを効かせれば済むかもしれないところで発砲しタリ、為政者としての貫禄に欠けるのではないカト、タケルンは思考しマス。」


「私は未熟な小娘だ、そう言いたいのだな。」


イエス・マム!貴女は美少女、私はクソムシ!だから、お願い!拳銃に手を伸ばさないで!生かしてくれれば靴でも何でも舐めるから!ハァハァ!


「……妥当な評価だな。私は、まだまだ甘えたい盛りの小娘だ。私には、まだ、お父さんが必要で……」


「音声を上手く聞き取れませんでシタ。もう一度、お願いシマス。」


おおお、大当たりー⁈何だか大変な展開になってきたよ!まぁ、この後照れ隠しに殴られるとか、発砲されるとかそんなところでお開きにすれば……ねぇねぇ、お嬢さん。どうして私の服を引っ張るのん?


「わ、私のことを甘やかして、たまにはその、少し叱ったりして、えっと……2人っきりの時は余の保護者として振る舞えと命じているのだ!人類の英知を集めた存在ならばもっとニューロでファジーに考えろ!このぽんこつッ‼︎」



故ガブガブ・ヘベレッケ大統領閣下、貴方もまた何処にでもいる親バカだったのでしょうか?彼女もいないのに父親として振る舞うはめになった俺は貴方を恨みます。


おお、建国の父よ!ヒンソーダ……に栄光を!





偉大な父は私に何ひとつ不自由の無い体制を遺した。ただ生きるだけならば私は判子を押し、サインを書けば良かった。


私は、いや、余はそんな生活に満足などせぬ!


次回、第4話 「ノンちゃんの独裁日誌」


明日も余の威光に平伏すが良い‼︎

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