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09 寝不足だよ!

 花びらまみれの部屋は、『女神様日記を読んで感極まった女神が力を暴走させた』という事になった。

 女神様詐称計画の第一歩だね。

 普通この魔法でできた花びらは、何かに触れた瞬間に消えてしまうらしい。媒介無しに作られた物質は脆いんだそうだ。女神様印の花びらはさすがに根性がある。朝になっても消えてなかったけど、ジルいわく昨日よりは存在が希薄になってるらしい。

 数日経てば消えるみたいだけど、何日も花びらまみれで過ごすわけにもいかない。朝食の後、日課になった朝風呂とマッサージを受けている間に、花びらは女官さん達が片付けてくれた。

 あたしがゆっくり風呂に浸かってる間に、それこそ根性で掃除してくれた女官さん達……ホントにごめんなさい。

 でも実際に散らかしたのはあたしじゃなくてジルだと思うの。


 風呂上がりの身体はマッサージの効果もあって気怠く、ちょっと眠い。

 昨日は明け方までほとんど眠れなかった。ようやくうとうとしたかと思ったらもう朝で、日の出と同時に


「時間が無いんだから、いつまでも寝てないで女神日記を解読しろ」


 と、容赦なくジルに叩き起こされた。


 鬼! ジルの鬼! 誰のせいで寝不足だと思ってんだ!

 そんな気はしてたけど、何でそんなに普通なの!?


 眠気と戦いながら、女官さんが朝を告げに来るまで、二人で女神様日記を読む。

 ジルは部屋の惨状に唖然とする女官さん達に前述の言い訳をすると、


「やる事があるから」


 と、あっさり部屋を出て行った。


 気まずいから! 申し訳ないから!

 女官さん達、言葉には出さないけど『コレを片付けるの!?』って顔で冷や汗かいてたから!

 これだから他人に命令し慣れてる支配階級は……泣かす……絶対いつかジル泣かしてやるっ!


 掃除が終わり、憔悴した女官さん達が退室した後、あたしは昨日ジルが女神様日記と共に持ってきた箱を開ける。

 この箱は魔法の箱だ。

 持ち主……今はあたしの魔力に反応して鍵が開く。この箱を無理矢理こじ開けたり、壊したり、動かしたりするには設定者であるジル以上の魔力が必要になる。今の王家にはジル以上の魔力を持つ者はいないから、実質王宮内で最高の金庫だ。

 この中には、三冊の本が入れられていた。


 二冊は言わずと知れた女神様日記。これは国家機密に価するので、女官さん達の目に触れる場所には置けない。

 もう一冊はジルが持ってた魔術師見習いの練習用魔法陣集。こっちは今更女神様が読むのは不自然なので、見られるわけにはいかない。

 その中で、あたしが手に取ったのは、



 練習用魔法陣集



 ……だって! この中のものなら、練習すればあたしでも描く事が出来るようになるんだもん。

 すっごい興味あるし! やってみたいじゃん! 魔法使ってみたいじゃん!


 めんどくさい女神様日記の解読は後回しにして、ワクワクしながらページをめくる。

 最初のページには『魔法陣を描くためには』と、表題があった。

 ふむ。まずは基礎知識からだね。




 …………。




 あたしはそっと本を閉じた。


 何なの? 陣を描く時の呼吸法? ペンの立て方と線を引く速さによる魔力の流出量と損失量の計算ってどゆこと?

 正しい円を書けるようになるまで一年程度は覚悟しましょうみたいなことも書いてあるんだけど!


 ジル、明日からは魔法陣を描く練習も始めるって言ってたよね……あたしそれ、すごく楽しみにしてたんだけど。さっきまでは。


 朝からの精神的な消耗に、トドメの一撃をもらってしまった。

 涙目になりながら、仕方なくあたしは女神様日記を手に取った。


 

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