名探偵ひとむ
登場人物
ひとむ・・・主人公、探偵
一本萬利・・・・依頼人
一の谷中・・・・友人
穂積和美・・・・助手
岡江郁江・・・・助手
石野志乃・・・・助手
秋田喜多八・・・助手
久しぶりで依頼人が、おれの事務所を来訪した。依頼人の名は、一本萬利。いちもとかずとしと読むそうである。
おれは、本棚を背にし一本とテーブル越しに話しているのだ。左右の椅子には、助手の岡江郁江と石野志乃がそれぞれ座っている。
となりにむかしの同級生で友人の一の谷中がいる。きのうは、土曜日だったので駅前の居酒屋「ぽんすけ」で、酒を飲み遅くなってしまい、ここに泊まらせた。自宅へ帰ろうと身支度をしていたときに、この依頼人が訪れたのである。
「こんな手紙を受け取ったのです。」
と、一本はポケットから封書を取り出し可愛らしい便箋に書かれた手紙を見せた。
手紙の内容は以下の通りである。
転居のおしらせ
このたび、下記に転居することになりましたのでおしらせします。
地図がある。
お近くに、お越しの節はぜひ寄ってください。
東京都練馬区大林学園町2-10-3 学園荘2階 太田真知子
「と、まあこんな手紙が、先週来たのです。が、私には太田真知子という名に心当たりがないのです。」
「だが、差出人はあなたを知っている。この手紙を書いた人物は太田真知子とは限らない」
「すると、もう犯人がわかったのですか」
私の冒険はこれで終わってしまった。