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赤い糸  作者: 内宮比佐
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プロローグ

これは前世からの繋がりを捨てきれなかった少女のお話です。視点は全て少女か第三者にしようと思っています。書いていく内に何かしらの変更は伴うかと思います。更新は不定期。

私は夢を見ていた。

それは、とても切ない夢だった気がする。

カタチはあるけど手に入れられなくて、

捕まえようとするけど

手を伸ばしたら、触れたところから

煙のように消えて

指をすり抜けていってしまう。


ヂリリリリリリリッ!

「っう~うるさいい」

バンンッ!!

私は朝からけたたましくなるそれを

無意識のうちにこれでもかというほどの力ではたいた。

そして、また気持ちよく眠りに落ちようとしたとき

今度はチュンチュンという小鳥の鳴き声と

カーテンの隙間からから漏れる朝日で今が朝だと感じたのだった。

「あっ目覚まし時計っ」

我に返ると同時にする目覚まし時計の心配。

これはもう自分の中での日課となっていた。

どうやら、今日も可愛らしい子犬の形を模した私の目覚まし時計は

壊さずにすんだらしい。

「よかった~。今年になって三個目だもんね。また壊したかもって心配になっちゃった」

今月は6月。計算すると2ヶ月に1回の割合で壊してることになる。

我ながら感心してしまう。いったいそんな腕力がどこから出てくるのやら・・・。

それに、気を付けようと心に決めたことの大体は

その後の慎重な対応で直るんだけど、どうしてもこれだけは直らない。

そのおかげで、どれだけ親に怒られたことか。

朝起きてから最初に交わす親との会話も

「今日は目覚まし時計だいじょうぶ?」だ。

本来なら『おはよう』の挨拶がこれなのだ。

今日みたいに「大丈夫」ならいいのだが、「壊した・・・」なら

清々しい朝の天気とは打って変わって私の頭の上に雷が降ってくる。

言うまでもなく、その日一日の気分は最悪の上をいく。

学校の友達が言うには、私の周りには漫画さながらの重たいオーラが発せられてるそうだ。

清々しい朝を迎えられた今日は清々しい顔をしながら

制服に袖を通し、いつものごとく鞄の用意をしてからリビングに向かった。

階段を下りた先にあるドアを開けるとこれもいつものごとく母が朝食の用意をしていた。

「今日の目覚まし時計はだいじょうぶ?」

私に気づいた母が用意をしながら聞いてくる。

「だいじょうぶだよ。母さん」

「そう。なら良かったわ~。母さんいつも気が気じゃなくて」

「はいはい。分かってるって。私も気が気じゃないもん」

そう他愛もないいつもの会話をしながら自分の席に着く。

今日の朝食は和風テイストだ。塩鮭に味噌汁と白ご飯。

うん。おいしそう!

「いっただきま~す」

私はすごい早さでそれらを食べ終わった。

「ごちそうさまでした~。あっ、そうだ。今日帰り遅くなるかも」

「な~に。また、部活長引きそうなの?」

「そういうわけじゃないんだけど。生徒会の友達を手伝う約束しちゃったの・・・」

「そういうことなら仕方ないわね。なるべく暗くならないうちに帰ってくるのよ。この頃は、物騒だから」

「は~い。じゃあ、行ってきま~す」

私は、そう言うと玄関を飛び出した。

扉を開けると目に入る、眩しいほどの陽光と真っ青な空。

うん。今日もいいことありそう!

そんな予感を胸に一歩を踏み出した。

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