みっもりで~す☆
~入学式・始業式終了後~
「あーあ、疲れたぁ・・・」
「うん・・・」
鈴葉と紫月は言う。
「今年の担任は遊衣ちゃんかぁ・・・」
「そうだな」
御森っていうのは、御森遊伊先生のこと。
元気のいい女の先生(年齢不詳)で、『みいちゃん』『遊伊ちゃん』『みもっちゃん』とか、いろいろなあだ名がついてて、人気のある先生なんだ。
そして、ついさっきの始業式で担任発表があり、あたし達2-1は遊伊ちゃん先生と分かったのだった。
「でも、遊伊ちゃん先生でよかったぁ。 いいひとだし、アツいし、かっこいいもん!」
あたしは素直に口にした。
「え・・・かっこいい・・・? 叶多、私は?」
「え? 鈴葉がかっこいいのは当たり前でしょ?」
「・・(よし。)ありがと」
「?」
「全く、子どもか、鈴葉は・・」
紫月が呆れたように言っている。なんで??
「あ、そういえば遊伊ちゃん先生って、あたしの兄貴の友達の御森遊先輩のお姉ちゃんらしいよ」
「へぇ、そうなのか?」
「あ。 そういえばさっき御森遊っていう先輩に絡まれた・・・」
「まじ? 災難だったな、悠斗!」
「・・・ああ・・・」
「遊先輩、絡んでくると長いもんね・・・」
あたしと悠斗は遊先輩を思い出して溜息をついた・・。
~2-1教室~
「あ、私たち席隣だね(っしゃあ!)」
「ホントだ! よかったぁ」
あたしと鈴葉は前の方の列の隣同士だった。
「よっ、いーずみん♡」
「「げ」」
げ、と言ったのは鈴葉と要。
そして、あたしの後ろの席で、話しかけてきたのは、
「覚えてる?いずみん!俺、飛鳥、瀬尾飛鳥っ!」
そう、瀬尾飛鳥。 この人も、中学の時同じクラスだった。最後に同じクラスになったのは2年生の頃だった。
「(なあ都築、コイツって確か叶多に惚れてなかったか・・?)」
「(ああ・・・・・・。最悪だ。よりにもよって叶多の後ろの席だなんて・・・!)」
目と目で会話した鈴葉と要は、どちらも悔しそうな顔で飛鳥を睨んだ。
「あ、瀬尾くん・・・、お、覚えてるよ?」
「いえーいっ☆ てか、名前で呼んでよ、いずみん♡」
「えと・・・、飛鳥くん?」
「♡!! さんきゅうっ☆ いずみんっ!」
「あはは・・」
「(ちょっと瀬尾!!叶多困ってるじゃないっ!!!)」
「(あいつ・・・昔とちっとも変んねえな・・・・・・)」
教室のさまざまなところで談笑されていたとき、
ガラッ!!!
全員がしーんとなった。 大きな音がした教室のドアの方を見る。
「みんなおっはよ~っ! 今日から2年間、このクラスをお世話します☆
みっもりで~す☆ いぇい☆★」
出た! 遊伊ちゃんスマイル!!
・・遊伊ちゃんスマイルとは、御森遊伊のテンションが上がりに上がった時にでる、笑顔のことである。ついでにピースもしている。
うわ、御森姉妹は癖があるな・・・・・・。と叶多は思った。
あと、この学校では1年生はクラスは変わらないけど、2,3年生は同じクラス・担任となるのだ。
飛鳥の事で鈴葉と要が頭を悩ましているのは、そういう意味でもあった。
バンッ!
いきなり教卓を叩いて遊伊ちゃん先生はシャウトする・・・。
「ってな訳で、あんた達、これからよろしくぅっ!!!!★☆」