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叶多  作者: 碧生
6/7

みっもりで~す☆


 ~入学式・始業式終了後~


「あーあ、疲れたぁ・・・」


「うん・・・」


 鈴葉と紫月は言う。


「今年の担任は遊衣ゆいちゃんかぁ・・・」


「そうだな」


 御森っていうのは、御森遊伊みもりゆい先生のこと。


 元気のいい女の先生(年齢不詳)で、『みいちゃん』『遊伊ちゃん』『みもっちゃん』とか、いろいろなあだ名がついてて、人気のある先生なんだ。


 そして、ついさっきの始業式で担任発表があり、あたし達2-1は遊伊ちゃん先生と分かったのだった。


「でも、遊伊ちゃん先生でよかったぁ。 いいひとだし、アツいし、かっこいいもん!」


 あたしは素直に口にした。


「え・・・かっこいい・・・? 叶多、私は?」


「え? 鈴葉がかっこいいのは当たり前でしょ?」


「・・(よし。)ありがと」


「?」


「全く、子どもか、鈴葉は・・」


 紫月が呆れたように言っている。なんで??


「あ、そういえば遊伊ちゃん先生って、あたしの兄貴の友達の御森遊先輩のお姉ちゃんらしいよ」


「へぇ、そうなのか?」


「あ。 そういえばさっき御森遊っていう先輩に絡まれた・・・」


「まじ? 災難だったな、悠斗!」


「・・・ああ・・・」


「遊先輩、絡んでくると長いもんね・・・」


 あたしと悠斗は遊先輩を思い出して溜息をついた・・。



~2-1教室~


「あ、私たち席隣だね(っしゃあ!)」


「ホントだ! よかったぁ」


 あたしと鈴葉は前の方の列の隣同士だった。


「よっ、いーずみん♡」


「「げ」」


 げ、と言ったのは鈴葉と要。


 そして、あたしの後ろの席で、話しかけてきたのは、


「覚えてる?いずみん!俺、飛鳥あすか瀬尾せお飛鳥っ!」


 そう、瀬尾飛鳥。  この人も、中学の時同じクラスだった。最後に同じクラスになったのは2年生の頃だった。


「(なあ都築、コイツって確か叶多に惚れてなかったか・・?)」


「(ああ・・・・・・。最悪だ。よりにもよって叶多の後ろの席だなんて・・・!)」


 目と目で会話した鈴葉と要は、どちらも悔しそうな顔で飛鳥を睨んだ。


「あ、瀬尾くん・・・、お、覚えてるよ?」


「いえーいっ☆ てか、名前で呼んでよ、いずみん♡」


「えと・・・、飛鳥くん?」


「♡!! さんきゅうっ☆ いずみんっ!」


「あはは・・」


「(ちょっと瀬尾!!叶多困ってるじゃないっ!!!)」


「(あいつ・・・昔とちっとも変んねえな・・・・・・)」


 教室のさまざまなところで談笑されていたとき、


ガラッ!!!


 全員がしーんとなった。 大きな音がした教室のドアの方を見る。


「みんなおっはよ~っ! 今日から2年間、このクラスをお世話します☆

 みっもりで~す☆ いぇい☆★」


 出た! 遊伊ちゃんスマイル!! 

 

・・遊伊ちゃんスマイルとは、御森遊伊のテンションが上がりに上がった時にでる、笑顔のことである。ついでにピースもしている。


 うわ、御森姉妹は癖があるな・・・・・・。と叶多は思った。


 あと、この学校では1年生はクラスは変わらないけど、2,3年生は同じクラス・担任となるのだ。


 飛鳥の事で鈴葉と要が頭を悩ましているのは、そういう意味でもあった。


バンッ!


 いきなり教卓を叩いて遊伊ちゃん先生はシャウトする・・・。


「ってな訳で、あんた達、これからよろしくぅっ!!!!★☆」







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