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叶多  作者: 碧生
5/7

『あたしが守ってあげる!』 「私が守るから」


『生徒のみなさんは速やかに体育館に移動してください。只今より、平成〇×年第△□回旭成高校始業式及び入学式を執り行いたいと思います』


 校内放送が流れる。


 途端に動き出す生徒たち。


 その中に、私たちもいた。


「はぁ~あ、始業式はまだしも、なんで1年の入学式にまで私たちが出なきゃいけないんだ・・?」


 私は都築鈴葉。


 叶多の親友だ。


「あはは・・・、まぁ、あたし達が1年の時も先輩方は出てくれたんだから、しょうがないよ」


「そーかぁ」


 いきなりだが、叶多は私の恩人なのだ。私は、生徒で溢れ返る廊下を歩きながら、ふと思い出した。いや、思い出した、というか、思い直した、だ。

 

 私は中学1年生のころ、『男っぽい』という理由で男子から虐められていた。 今思うと、子どもっぽい幼稚ないじめ。


 それでも、弱い私の心を傷つけるには十分過ぎた。


 心がボロボロで、何にも力を入れれなくなったとき、叶多に出会った。


『ねぇ・・、顔、見せて?』


『え・・?』


 虐められてから、自信を無くしてしまった私は、前髪を伸ばし顔を隠して過ごしていたのだ。


『見せて?』


『え・・、あなた、わたしを知らないの?』


 その頃私は、虐めの対象、ということで、誰からも無視され続けていた。


 そんな中、叶多は話しかけてきたのだ。驚いた。


『? うん。 あたし、つい最近転入してきたの。だから、知らないよ?』


『あ・・・そう、なんだ』


 そう。叶多は両親の都合で海外で暮らしていたらしいけど、中学入学を機にこっちに帰ってきたそうだ。


『前髪、どかして?』


『・・・えと・・』


『もうっ! じゃあ、あたしがどかす!』


『え、ちょ・・・っ』


 叶多は強引に私の前髪を払った。


『わぁ・・!』


『・・っ』


 怖かった。この顔を見られて、どう思われるか・・。


『かっこいい!!』


『へ・・・?』


 初めて、そんなこと言われた。いつも『うわ、男みたいな顔!』『オトコ女!!』としか言われたことなかったから・・。


『ねえ、一緒に教室、行こう?』


『・・・でも、みんな・・』


『みんな? みんな、あなたのこと、かっこいいからヤキモチ焼いてるんだって! ねっ、もし何か言われたらあたしが守ってあげる!』


『・・・!!!』


 中1の私は、その言葉に救われた。


 それから、私は叶多の明るい性格に助けられ、クラスにも馴染めてきた。

女子は男子が怖くて私を遠ざけていたみたい。


 それから、私は開き直って、髪をショートにし、叶多に好きになってもらえるようにしてきた。


「叶多、」


「ん?なに、鈴葉?」


「叶多は、私が守るから」


「へっ? えと・・ありがと?///」


 だから、叶多のバカ兄貴なんかには、負けない。

 

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