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②甘い誘惑、甘美な囁き

温かい湯につかり、美味しい食事をいただき、

幸せの一時。


ここが平安時代じゃなければ、もっと幸せになるのになぁ。


「寝所のご用意が整いました」

お菊が私に告げた。


「ありがとう」

私はお礼を言うと、一歩足を踏み入れる。


…そうか、この時代は、

布団で寝る習慣はないんだっけ。

着物が布団替わり。


…っていうか、

なぜ、二組も用意してあるの?


「あの、お菊さん・・・

なぜ、二組あるんですか?」


「・・・それは」

不思議がる私と、頬を染め微笑んだお菊。


「朱音の分と・・・私の分だ」


「・・・え?!」


白い着物姿の光が、姿を現した。


「・・・えっと」

どう質問すればいいのか、困惑する。


それを見た光は、クスッと笑い、


「お菊、下がってよい」

お菊に下がるよう命じた。


お菊は一礼すると、そそくさと部屋を出ていった。


「私の目の届く所に、朱音を置いていなければ、

守ってやることが出来ぬ」


・・・その言葉にちょっと納得。

ですが・・・

布団近すぎ・・・

緊張して眠れない。


横を向けば、明らかに近い光の顔。


私は着物を口元までかぶり、恥ずかしさを隠した。


・・・サラッ。


私の髪を優しく触った光。

その細くて長い指に、ドキッとする。


「まことに綺麗な髪だな」


「・・・いつも、美容師さんが綺麗にしてくれるから」


「…ビヨウシ?」


・・・あ。そんな言葉こっちにはない。

え~っと・・・


「・・・ぁ、髪結師?」

私の言葉に納得してくれたようだ。


「この髪の色は、元からなのか?」


「ううん・・・これも髪結師さんが」


「朱音の国は不思議な国なのだな」


「…フフ」

不思議がる光がなんだか可笑しくて、

小さく笑った。


「…寒くないか?」

優しい口調で問いかける光。


「…少し」


…今の温度は、10度にも満たないだろう。

流石にこの着物一枚では、寒い。


「・・・え?!ちょっと!」


光は何を思ったのか、私の横に入ってきて、

自分の着物を合わせてかぶせ、私を包み込むように抱きしめた。


…これは絶対ヤバい。

この状況で眠れるほど、男慣れなどしていない。


「これで少しは温かいか?」


「う・・・うん///」


恥ずかしがってる私を見た光は、優しく微笑む。


そして耳元で・・・


「本当に男を知らぬのだな」

と、囁いた。


「ま!前にも言ったでしょ?!」

恥ずかしさを隠す為、怒鳴ってみる。


光はそれでも何とも思わないのか、真顔で、


「この容姿では、男が放っておかないだろう?」

と言い放つ。


私は目線を外したまま小さな声で呟く。


「…そりゃあ、彼氏の一人くらいは・・・」


「…彼氏とは、好きな男の事か?」


「・・・うん」


…ビクッ。


「この唇はそやつに捧げたのか?」

「///!!

あ!あげてないわよ!

…まだ日が浅いんだから・・・

貴方みたいに、軽い人間じゃない、私は!」



…あ。

ちょっと、言い過ぎたかな?

光の顔が少し、悲しげな顔をした。


「朱音には、私がどんな男に見えてるのか知らぬが、

私はこれでも一途な方だ」


「…ゴメ」


「…今、そなたを想うように」


「・・・え??」


「・・・いや。なんでもない。

早く寝なさい、明日から共に、行動するのだから」


「・・・はい、おやすみなさい・・・ん?!」


これは、これは・・・

一体どういう事でしょうか??

わ、

私の大事なファーストキスがいとも簡単に、

光に奪われてしまった。


呆気にとられる私をよそに、

光はさっさと眠りについてしまった・・・


こ、このプレイボーイめ。

助け人であるが、…ある意味、

一番要注意人物かもしれない。




~光side~


突然、空から降ってきた朱音。


天女が羽衣を手放して、落ちてきたのかと思った。


不思議な服装、蒼い瞳、茶色い髪・・・


朱音は本当に不思議な女だ。


今まで色んな女を見てきたが、こんな女は初めてだ。


眠ったフリをしていたが、眠れるわけもなく、

今こうして朱音の寝顔を見つめている。


まだ、どこか幼さの残る少女。

でも、

どこか大人びてる所もある。


このまま朱音がここに留まってくれたら

私の妻にするところだが・・・

それは叶わぬ夢・・・


散々女性とそれなりの付き合いをしてきた私だが、

手放したくないと思ったのは、朱音が初めてかもしれない・・・


いつかは手放さなければならない女だからか・・・


「…朱音。

ずっと、私の傍にいろ・・・」


小さな声で呟いた私は、

眠る朱音の唇にそっと触れるだけのキスを落とした・・・

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