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第一章彼女が死ぬとき?!

毎日、平凡とした毎日が過ぎていく。


何の変化もない、楽しくない毎日。


友達はたくさんいる。

彼氏だって、

それなりにイケメンな優しい彼氏だっている。


でも、何かが物足りない。


高級マンションの最上階。

それが私の住む家。

両親は二人とも、会社の重役。

毎日帰りが遅く、私はいつも独り。


家にいてもいなくても、

誰にも何も言われない。


いつもなら家にいない時間。

でも、

今夜はどこにも出かける気にならなかった。


私は一人、

ベランダに出て、

外の夜景をただ、ぼんやりと見つめていた。


…綺麗だな、とは思うけど、

感動はない。


・・・ん?

突然、空から一枚の羽根が、

私の目の前に舞い降りてきた。


私はそれを無性に掴みたくなって

手を差し伸べた。


「…キャッ!」


それを掴もうとした途端、

誰かが、私の手を引っ張った。


・・・ここはマンションの最上階。


誰もいやしないのに、

一体誰が引っ張ったのか?


私はそのまま、

下へと真っ逆さま・・・


私、死ぬんだ。


まぁ、いいか・・・


楽しくない人生。


たった16年だったけど、

生きてこられたんだから、

それだけで十分。


…手にはしっかり、

白い羽を掴んだまま、

私は意識を手放した。


・・・一人くらい、

私の為に、泣いてくれる人がいるだろうか?

・・・そんなことを思いながら。


「…イタ」

・・・ん?…痛い?


私、死んだんじゃないの?

あんなに高いところから、落ちたのに、

生きて…る?


「…やっと、目を覚まされましたね?」


…目の前には、

歴史の授業で見た事のある、着物姿の男が一人。


頭には烏帽子を付け、

私を見つめる眼差しは、

とても優しげな・・・・って!


私は飛び起きた。


「あんた誰?」


私は男を睨んだが・・・。

その睨みもすぐに消えた。


男は、あまりにも美しい・・・


男の人に、美しいと言ったら、失礼かな?

でも、

その言葉がピッタリなほど、

男は綺麗な顔立ちをしていた。


「…私の名は、光源氏。

・・・そなたは?」


・・・え?!

ひ、光源氏?

あ、ありえない。


光源氏って言ったら、

物語の中だけの人じゃ・・・


固まる私に、

光源氏は、諭すように言葉を発した。


「・・・そなたの名は?」


「…朱音」


「朱音か…綺麗な名だ。

しかし・・・その出で立ちはなんだ?

見た事がない」


「・・・」

そりゃそうだろう。


私は平成の世から来たのだから・・・


「しかし先ほどは驚いた。

朱音が空から落ちてきたのだから」


「・・・え?」


驚く私に、光源氏は苦笑い。


「こんなに澄んだ空、

上には何もないと言うのに、

どうやって落ちてきたのか?

そなたの出で立ちといい、

空から落ちてきたといい・・・

そなたは神から使わされた身か?」


「・・・」

まさか、そんなことはありえない。

私はただの平凡な女子高生。

そんな大そうな身であるはずがない。


「・・・帰りたい」

なんだか心細くなってきた私は、

涙目で呟いた。


すると、


ふわっと、

私を包み込むように、

光源氏が私を抱きしめた。


「え、あの・・」


「・・・泣くな」


「・・・」


「女のなく顔は見たくない。

…私が帰してやろう。

家はどこだ?」


「…東京都、青山」


「・・・」


私の言葉に、当然ながら固まる。


「貴方の名前、私知ってる。

光源氏の君、恋多き、妖艶な男」


ズバリ言い当てられ、

更に固まった光源氏だったが、

次の瞬間、

大きな声で笑い出した。


「やはり、朱音は神の使いに違いない。

帰れるまで、私の傍にいればいい。私の傍を離れるな…

必ず守ってやるから」


「・・・ホント?」


潤んだ瞳で光源氏を見つめる。


「男に二言はない。

私の名は光と呼べ。

親しい者しか呼ばない呼び方だ。

・・・それから、

その出で立ちでは、屋敷まで帰れそうにないな?

そうだ、これを体に巻きなさい」


そう言って、

綺麗な布を、私の体に、

着物を着ているかのように巻きつけた。


「・・・はて、

その髪の色はどうしようか?

そんな茶色い色の髪をした者はおらぬ」


そう言って、

私の髪に触れた光。


「・・・あの」


「異国の国から来た事にするか」

そう言うと、私の髪をおだんごにして、

烏帽子をかぶせた。


「…フッ。

可愛い男だな?」


「///」


「さぁ、行くぞ、朱音」


「は、はい」


・・・かくして、

藤沢朱音16歳。

とんだことになりました。


ここでは、

どうやら男として、いなければならない。


この時代の成人した男の傍に、

女中以外の女を傍に置くことを、

禁じられているとか。


何かの本で読んだ。


私は光の家臣…

もしくは使いの者…程度か?


とにかく、

光の傍を離れるわけにはいかない。

私は、

この世に頼れるものなど、

誰一人いないのだから・・・

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