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【フライ】(二)
読まなくても問題ない話
目を覚ますと、円らな瞳が不思議そうにこちらを凝視していた。私が起き上がると、飛び上がったリスが機敏な動きで逃げてゆく。
今はいつだ。
私はどのくらい眠っていた。
不鮮明な遠い記憶を、ゆっくりと手繰る。
青々と茂る葉の間から漏れる陽射し、湿った風。季節が夏なのはわかるが、問題はこの国の四季が何周したかだった。
言うことを聞かない自分の体が呪わしい。もう長くないだろう。活動できる時間はほとんど残されていない。
だが――元々あの時死んだ身だ。
使命を遂げるために。
約束を果たすために。
自由で在り続けるために――私は再び山を下りた。
わんわん




