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おとうさんは!?  作者: みぃこ
第1章
5/7

おとうさんはうっかり属性+!?

テスト週間なのにうpしてしまった・・・

今回は短めです。

更新を待っていてくださった皆様、

大変長く待たせてしまいました。

申し訳ないです。


では、第4話をお楽しみください。

 トクントクンと優しい音が聞こえてくる。誰かにそっと抱かれているような感じ。その音は早くもなく遅くもなく、」気持ちの良いリズムで唄っている。



 トクントクントクントクン



 どこか懐かしい音。いつか聞いた事が有る気がする。私は何故かその音が喜んでいるように聞こえた。



 トクントクントクントクントクントクントクントクン



 どれくらい時間が経ったのだろう。いつも間にか一つが二つに、二つが三つに音が増えていた。グルグルグルグル意識が廻る。

 突然ドンっとお腹に衝撃が入る。誰かに蹴られたような感覚。だけど、それに悪意は感じられない。なにか、幼い子供が大人に構って欲しいときに悪戯する、そんな行動。火丁や葉月のうんと小さい頃を思い出す。

 そこまで考えて、私はそれに応じようとするが……体が動かない。立とうとするが足が動かない。腕を伸ばそうとするが手が働かない。どうしたものかと物思いにふけていたその時、ドンっと今度は横腹に衝撃が入る。一体誰が…確認しようと体を動かそうとするが、正常に機能してくれるのは首ぐらい。そこで、「見る」という動作をするために「目を使う」という事を思い出す。



 トクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクン

 トクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクン



 三人分の優しい音。だがおかしい。「音」というのは、そう「耳」で感じる事ができる適刺激だ。しかし、私が感じている「音」は身体全体で聞いている。心底にまで響く音。「何の音なのだろう」そう考えながら、少しずつ両目を覆っている邪魔な皮膚のひだを動かす。

 最初に感じたのは微かな違和感。そして、すぐに目の裏側をチクッとした痛みが襲う。驚いて呻き声を出しそうになるが踏み止まった。白だ。目の前がぼやけて白ばんでいる。徐々に視界を隠していた霧が晴れていき、見えるようになった光景。そこで再び感じる違和感。やはり、おかしい。そう思い目蓋を閉じる。開く、閉じる、開く。同じ、全く同じの光景。薄暗いがしかし、朱色が一面を支配している。これはそう、目を瞑って太陽の方向を向いたときに見える色。これは、もしや…ここは、まさか……



 トクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクン

 トクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクン

 トクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクン

 トクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクントクン



 音に雑じって声が聴こえる。男性特有の低いバス。それが水を伝わり聴こえてくる。水?そう、水。トクントクンという音とは異なって、今度は「耳だけ」で音を感じる。


 「■'■ h■■■. H■w'■ ■■ d■■n■? L■■y?」


 英語だろうか、流暢な言葉が流れている。しかし、何を言っているのかまでは分からなかった。

 低音が消えたすぐ後に、今度は女性の声。その声は、やはり私の「耳」ではなく「身体」を震わせた。これは、やはり……

 内心で冷や汗を流す私に構わず、時間と音はトクントクント過ぎていく。






 何もが真っ白い、限りなく虚無が続く空間。そこに二つの人影が並んでいた。一つは子供のもの、もう一つは女性のもの。そう、今し方松田家三人を見送った二人である。


「…………今度は上手くいきますかね…?」


 冷たい印象を与える彼女が、言葉に不安を乗せて問いかける。顔を見る限り彼女の感情を読み取れないが、注視すると目が左右に浮遊し喉が微かに震えていることが分かる。


「さぁね。でも、今回は期待できるんじゃないかな。今の彼らは前のやつらより幾分か違っただろう?」


 その問いに、隣の男の子は曖昧に答えた。女性と同様に彼にも顔に変化が見られない。

 この男の子は、有限会社でありながら企業として膨大な利益を収めている「Concept Entertain Campany――――通称COC――――の社長、望月礼次郎である。今の十にも満たない姿は、彼本来の体ではない。彼の実年齢は還暦をとうに超えている。では何故、彼が子供の姿でいるのか。「VR(バーチャルリアリティ)」 それがその疑問の答えである。

 現実と何ら変わりないように見える世界。それは三次元の空間性、実時間の相互作用性、自己投射性の三要素を伴っており、視覚、聴覚、それに加え触覚や力覚などを利用するからこそ成りえるものだ。コンピュータによって作り出された世界(サイバースペース)に、不可能など数えるほどしかないだろう。彼、望月礼次郎はその世界の与えられた駒を操っているだけに過ぎないのだ。これは隣の女性も同様である。


「時間の食い違い、それにその間の記憶の不保持…ですね」


「そうそう。彼らは大分動揺していたけれどね。こっちとしては、やっと最後の一歩を浮かしたかって感じだよ」


 やれやれと首をすくめる望月に対して、女性は首を縦に振って肯定を示す。


「それに高志君の頭の回転の速さには驚いたよ。前のやつもあれだけだったら、僕も退屈しないで済んだのにね」


「えぇ、高志さんはおそらく社長だけではなく、私のことも分かっていたのでしょう。そうでなければあのような事、口にしません」


「どうだろうね。まぁ、僕達の企画(プロジェクト)の表半分は全て見破られてたんじゃないかな。でも、残っている裏半分。彼はそこを疑問に思ってはいたけれど、絶対に分からないと思うよ。ヒントなんて与えてないから。しかも、もし口を滑らせたら日本の、世界の計画がパーだからね」


 穏やかな世界。しかし、そこに急に亀裂が入る。ウーウーと二人の脳内に緊急事態のサイレン音がけたたましく鳴り響く。ただ佇んでいただけの二人に緊張が走った。


「初期化…じゃ、こんな音ならないよねぇ」


 そこで、望月は表の研究員(スタッフ)に確認の連絡をとっているだろう女性に目を向ける。程なくして、明らかに動揺した彼女が報告をする。


「今、表に確認を入れたところ、三人を送った際にエラーが発生したそうです」


 のんびりとした口調の望月とは逆に、焦り早口になっている女性。どうやら非常によろしくない事態らしい。彼女の様子に、望月は雰囲気をただの男の子のものから社長のものへと素早く切り替えた。


瞳君(・・)エラーコードは」


「……404です」


「マズいな。早くラボに戻ろう。現状の確認とエラーの対処を急がねば」


 次の瞬間、空間(せかい)がぐにゃりと歪み、前とは逆の真っ黒な空間(せかい)が虚無を支配した。






 トクントクンと優しい音が聞こえてくる。誰かにギュッと抱かれているような感じ。その音は馬が駆けているような、強く激しいものへと変わっていた。


 

 トクントクントクントクントクントクントクン



 早く、早くと私達を急かすように上から下へと流れる音。痛い痛いと私達を責めるように下から上へと流れる音。グルグルグルグル意識が巡る。

 よしっと覚悟を決める私。とうとう来てしまった時間は待ったをかけるのをゆるしてはくれない。やっと動かせるようになった手足で、これから長くに渡って相棒になるだろう幼子を助勢してやる。

 トクントクンという一つ一つの音魂に籠められた叙情の思い。それから読み取れたのは、母から娘達への愛以外に他ならなかった。



 トクントクンとクンとクントクントクンとクンとクン

 トクントクンとクンとクントクントクンとクンとクン



 音が一つ消えてしまった。替わりに聞こえてくるのはオギャぁオギャぁと泣き叫ぶ声。私はその生命の始まりの音を聞いて、ほっと胸を撫で下ろした。

 男の子―――望月礼次郎―――が消える最後に私に伝えたアイディアとは。私がそれを理解するまでに大して時間はかからなかった。もしかして…と自覚はあったわけだし、あの人のことだ。これくらいはやりそうだ。慣れてきた目の裏の痛みを感じつつ、また目蓋を開ける。そこには―――

 しかし、不審な点。彼はVR(バーチャルリアリティ)の世界に転送すると言っていたが、私が今居るのは、まうごとなき、母胎の中である。科学という人間の軌跡の頂を体験できると思ったら、出産という生命の奇跡を体験してしまっている私。だが…今一番問題なのは、女になったことでも胎児になったことでも、VRを体験していないという事でもないのである。



 トクン…とクン…トクン…とクン…トクン…とクン…トクン…とクン…

 トクン…………とクン…………とクん…………とくん…………とくん…



 そう、音からも分かるように、後産が始まってしまったのである。名前も分からない姉が産まれて、母体が安心でもしたのだろうか。それとも、前駆陣痛以前から、そういった「胎児の仕事」を全て姉に任せていたから、母体がもう一人中に居るという事を忘れてしまったのだろうか。理由があろうとなかろうと、ヤバイ状況には変わりない。外からの圧力が半端なく強い。子宮が蠢いているのを感じる。本当に拙い。そう思った私は急いで体を回転させ、下へ下へと潜っていく。

 しかし、この時、私は焦りから重大な事を忘れていた。出産を迎えるとき、母体はとてつもない悲鳴を上げる。その様子は私自身、妻の出産に立ち会っているので知っていた。だが、そのとてつもない悲鳴を上げさせる原因(わたし)にも、それ相応、いや、それ以上の痛みを伴う事を失念していたのである。

 故に…………


「っ…!ッッ…………!!!!!」


 言葉にならない悲鳴が口から飛び出し、私の意識は真っ白に染まった。


どうも、作者のみぃこです。

一週間以上更新できなくて本当に申し訳ないです。

この話は閑話ということで少し短くしたのですが、

私が思っているところ全部を書けませんでしたorz

次の話の最初だけを閑話の続きにするか…

テストが終わった後で、この話に付け加えるか…

とりあえず、まだ異世界に入れそうにありませんww

いやぁ、異世界ライフをまっている方、本当に申し訳ない(汗


では、意見感想お待ちしております。

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