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おとうさんは!?  作者: みぃこ
第1章
4/7

おとうさんはサルイカ!?

ふぁあああああああ!

やっと書き終わった!!

本当に難産でした。

待っててくださった方本当に申し訳ない。


では、3話目、お楽しみください!


2012/02/25 誤字脱字の修正、地の文のつけたしをしました。

「――――――という訳だ。詳しい事は本当に何も聞いてないんだ。信じてくれ、頼むから」


親父(とうさん)がそこまで言うなら本当なのか…しかし、現実味がないというか、何というか……」


「いやいや、お兄ちゃん。あたし達の体が消えていったのが、一番現実味がないから」


 まずは二人を(なだ)める事から始めなければと意気込み、拝み倒す事数回。やっと収まったと思ったら、今度は質問の嵐が吹き荒れた。一年、もしくは二年間、何をしていたのかを問いただされ、今それから半時はたっただろうか。

 その説明は、会社での残業から始まり、この真っ白い空虚な空間で終わった。説明とはいっても、私も頭が混乱している上、記憶も困窮しているから、とてもお粗末なものであった。


「それで、二人に聞きたいんだけど、私がいない一年何し二年間、どうやって生活していたんだい…?それと、(ひとみ)、母さんは大丈夫なのか?」


 松田家の影の大黒柱、瞳。私の唯一無二の愛する妻である彼女は、ここにはいない。

 私が推測した限りでは、この空間と私たちがいた世界とは、時間軸が異なるらしい。そんなSFチック(フィクション)ある訳ない。たいていの人はそう思うかもしれないが、一度体が消えた身としては、非現実(ファンタジー)に片足どころか、全身が突っ込んでしまっている。無論、比喩ではなく。

 閑話休題。

 唯一の働き手なしの生活は、とてもつらいものがあっただろう。彼らが言う一、二年間、私が思う数十分前のそのとき、子供達にとっては、進路を決める大切な時期だった。火丁(ひのと)は高校三年、葉月は中学二年。いずれも人生において大きな選択を迫られる分岐点。その時に不本意であったが、彼らの傍にいてやれなかった事を父親として悔やまれた。

 それに、妻だ。葉月を産んでから、育児のため家庭のためと以前勤めていた研究所を辞めてまで、毎日の松田家を支えてくれた瞳。肝魂(きもだま)が大きい彼女でも、女手一つで育児と仕事を両立させるのは、並々ならぬ労苦があっただろう。


「親父が、いなくなってから…?」


「あぁ。私がいない数年間に、変わったことはなかったか?」


 少し考える素振りをする。しかし何かがおかしい。目の前の二人の顔がどんどん色を失っていく。目を(しき)りに泳がせ、額には薄っすらと粘ついてる汗が見える。


「どうした、二人とも…?」


「お、お父さん…な、ないの……ないのよ」


「何がないん――――――


「記憶よ!記憶がないの!!お父さんがいなくなってからの事が、何も思い出せないのっ!!」


 ヒステリックな叫び。


「お、俺も同じだ。一年経ってるってのは分かるんだが…その間の記憶が思い出せな――――――



――――――ぅふふふふふ、あはははははっ!いいね、いいねっ!本当に愉快だよ!!」



 突如、湧き出でた幼い笑い声。驚いて声のする方向に体を向けると、いつの間に移動していたのだろうか、隣にいたはずの男の子が、女性の横で無表情のまま腹を抱えて笑っていた。


「それにしても長い余興だったね。まぁ、おもしろかったからよかったんだけどさっ!三人寄れば(かしま)しいとは昔から言うけど、ここで40分も?ここまで辿りつくのに、いくらなんでもそれはないでしょ!」


「あの方の関係者でもこれは酷い。まるで低脳なサルのようですね。それと、その慣用的表現は正しくありません。彼らのうち、二人は男性です。…あなたもサルなんですか」


「んふふふふふ。僕はサルでも構わないよ。てことで、残り二人もそろったし、(サル)以下のヒトたちのために企画(プロジェクト)の詳細でも話してあげようか」


 今まで一体何処にいたのかとか、家族の話に突っ込んできてそれはないだろうとか様々な思いが巡った。しかし、私がここで突っ込んでしまうと、約一名、戦場に駆け出した戦車のごとく火を噴出す輩がいる。それを放ってはいけない。しかし、不思議な事に未だ女性の方は変わらずだが、男の子の声はピアノの音階のように弾んで聞こえた。


「おい、テメェら、バカにしてんのかっ!」


「サル以下は吠えてもやっぱりサル以下なんだね。キャッキャキャッキャ耳障り」


「っ!こんのクソ餓鬼っ!!」


「火丁っ!止めなさい!!」


「お兄ちゃん、落ち着いて!」


 暴れだす一歩手前で火丁を沈静化させる。これは火丁の悪いクセだ。ちょっとした事でカッカしてしまう短い堪忍袋は、すぐに消化しないとあっという間に炎上してしまう。今回は、無事火元が分かったので簡単にとめられたが…


「あんまりからかわないでやってくれるかい。こいつは短気なんだ」


 そう私が言うと、男の子はうんうんと首を縦に振る。


「そんな事は知っていたさ。最初からね。ただ、おとうさんよりも反応がおもしろいから、つい。でも、やっとここまで進めたのに、話を止めちゃいけないから、あきらめるよ」


 どうやら確信犯だったようだ。相変わらず嫌な性格をしている。

 

 …さて、彼の話の途中から二人分の視線を感じていた。男の子は常に火丁を見ていたから除外。女性も然り。ということは、


「火丁、葉月。睨んでいるだけじゃあ、分からない」


「…ねぇ、『おとうさん』ってどういうこと?まさか、か―――


「隠し子、じゃあないぞ。あの子が勝手にそう呼んでいるだけだ。全く関係がないらしい」


 何故分かったんだとリアクションをとる葉月と火丁――主に葉月――だったが、まぁ、そう思われることは予想していたさ。当の本人が、最初にそう疑問に思ってしまったのだから。


「とりあえず、だ。その企画とやらを聞かせてもらおうじゃないか」


 と、若干膨れっ面をして、話を催す。


「時間、喰っちゃってるから単刀直入に言うね」


 一拍の溜めができる。そして、ニヤァとでも言うように男の子は唇の端を上げて…


「おめでとう!君たち、松田家三人は我が社『Concept(コンセプト) Entertain(エンターテイン) Company(カンパニー)』が最高傑作、世界で初めてVR(バーチャルリアリティー)を取り入れたMMORPG『Hopes And Ideal Dreams Online』に初めてダイブできる一般人に選ばれましたっ!」


はいなかった。相変わらずの無表情。しかし、その口から出た言葉は喜び、楽しみといった感情が籠められていた。

 咀嚼すること、三拍分。たっぷり時間を掛けて火丁が声を荒げた。


「はぁぁあああああ!?バーチャルリアリティー!?そんな技術はSFとかファンタジーの世界の話だろうがっ!現実味が全くねぇ!!嘘を言うならもっとマシなものに――――――



「嘘だと思いますか?」



 私たちの驚き、戸惑い、憤激などすべての感情を凍て付かせるほどの死人のような冷たい声。この声は、ダメだ。心肝を杭で打ち込まれたような、そんな感じがする。


「本当に嘘だと、そうおっしゃるのですね」


「あ、あぁ!そうだよ、不可能だ!!大学の教授だって、現在の科学力じゃ無理だって…っ!」


 目の前に立つ女性のオーラが半端なものではない。おそらく、火丁の言葉が途中で切られたのも、彼女の雰囲気に当てられたからだろう。


「では、質問をさせていただきます。あなたは、いえ、あなた達はこの空間が何であるか説明ができますか?あなた達が突然消えた理由は、ここに居て感じる時間とあちらで感じる時間の違いは。これらをあなた方は説明できるのですか?」


「…そ、それは……」


 押し黙らされる火丁。

 じっと話の成り行きを見守っていた私は、この時、いや正確に言うと被験者になると聞いたときには、漠然と答えは分かっていた。いくらなんでも非現実な事が起こったとはいえ、何の理由もなしに事が起こるはずがない。物の発端には必ず理由があるのは世の中の定義である。

 彼女が挙げたもの、つまりは私たちが経験したものは、一見一途に説明しかねるように見えるが、実際にはそうではない。正解を導き出すには、思考の足場を変えるのだ。

 『私たちは普通の世界で生きていた』この視点を『私たちはVR化が可能である世界で生きていた』に置き換えてやればいいのだ。すると、答えは自ずと……


「おとうさんは分かってたみたいだね」


「…えぇ。まだ、仮説ですが」


 私の言葉に驚愕する動作を見せた火丁と葉月。


「お父さん、本当に?」


「……おそらく、私たちは既にVRとやらを経験しているのだろう。この空間が所謂(いわゆる)、仮想現実の世界。そう仮定すれば、すべての事が説明できる」


「ほぉ、ほぉ!ほおー!!すごいね、すごいよ、おとうさん!!やっぱり僕と瞳君が見込んだだけあるね。おもしろくはなかったけど、とても興味深いよ!」


 男の子がよくやったとばかりに拍手する。しかし、二人の中高生はまだ唖然としていた。


「ほ、ほんとうにこれがバーチャルリアリティ…?」


「…う、うそだろ?VRは実現不可能だって……」


「まだ信じられないのですか。やはり、サル以下の脳をお持ちのようですね。高志さんの答えを付け加えさせていただくと、ここに居る全ての人が仮想の肉体を手にしています。現に、あなた達は一時間以上も立ち続けているのに、肉体の疲労を感じていないでしょう。それは(こちら)の方でコマンドを入力(インプット)しているからです。つまり、あなた達は、現実(リアル)を基にしたデータに精神が宿っている状態なのです」


 やはり、体も…だったか。彼女の言ったとおり、肉体的な疲れは感じない。火丁も葉月もあれだけ怒鳴り散らしたのにもかかわらず、喉の渇きを訴えないし、声が枯れたようにも感じられない。


「君達の常識をひっくり返すようで悪いんだけどさ、VRの技術なんて何ら珍しいものじゃあないんだよ。なんせ、その手の研究が始まったのは、1980年代。おとうさんが生まれる前なんだからさ。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)とかDG(データグローブ)とか聞いた事ないかい?まぁ、今では(もっぱ)ら軍用以外では使用禁止になってるし、VRは最上級機密事項になってるから仕方ないか」


 そこで浮かび上がる疑問。何故、国の機密を大企業とはいえ、一有限会社である『Concept Entertain Company』が研究、そして実現する事ができたのか。また、その技術のいきなりの公表。そして―――


「…あの、質問してもいいですか?」


 おずおずといった様子で葉月が手を挙げた。


「ん、なんだい?」


「どうして、そんな大切な事を今、それにオンラインゲームという形で発表するんですか?」


「それはいい質問ではないね。そんな事を聞いてどうするんだい?君達に何か利益があるとは思えないんだけど」


「な…っ!あ、あたし達はお父さんから被験者だって聞いたよ!最低限度、教えてくれたって良いじゃない!こういうのってwin-winの形が常識じゃないの!?」


 やれやれという風に首をすくめ、男の子は私のほうに向かって言った。


「おとうさんはちゃんと説明しなかったようだね。ねぇ、おとうさん。僕、最初にこう言ったよね。『ここはある程度の事ができる、無法地帯とでもいうのかな』ってさ。VRなんだから、ここでは社会の常識なんて通用しないよ」


 確かに、彼はそう言っていたはずだ。という事は、私たちはこの場所に来たときから、彼らの掌の上だったというわけか。


「もう質問はないかい?そろそろ初期化(リカバリー)しなきゃまずいんだけど」


 時間切れ(タイムオーバー)?やはり、まだVRは完璧ではないという事なのだろうか。

 男の子は急いでいるようだったが、私にはどうしても知りたい事があった。それは先程感じた疑問であり、私達の今後の目的となるものだ。


「最後に、私から2つほど」


「手短にお願いするよ」


 それなら、と早口で言葉を並べる。


「私が知りたいのは『貴社の目的』と『私たちが選ばれた理由』。何故、知りたいのかは時間がなさそうなので割愛させてもらう」


「んふふふふふふ…本当におとうさんには興味をそそられるよ。さすが、瞳君が唯一認めた伴侶なだけあるよ。このままにしておくには、もったいないね」


「お急ぎください。帰還命令が出ています」


「分かってるよ。おとうさんの質問の答えが、企画の全てなんだから。すぐ終わるよ。さて、我が社の目的はね『キャラクターに感情を付けること』だよ。ほら、僕と彼女を見てみてよ。声の調子は変わっても、ずっと無表情でしょ?この(キャラクター)は試作段階だから、『感情を表現する顔』っていう情報がプログラミングされていないだけなんだけどさ。君達にはそれをインストールしてある体に移って、VRの世界で生活してもらうってのが希望かなぁー。もちろんデータ取りのために」


「あの、じゃぁ、なんであたし達は顔に感情が表れるんですか?」


「あぁ、今の君達ができるのは、その体が本体(オリジナル)真似(コピー)したデータだからだよ。それじゃあ、もういいでしょ。帰ろうか」


「二つ目の質問に答えてねぇぞ、このガキ」


 火丁がイライラした様子で呟く。その呟きは近くにいる私で、やっとの事聞き取れるくらいの声量だったのに、男の子は過剰に反応した。どうも、話したくなかったらしい。


「それは私から…」


 そう言って、男の子を庇うように一歩前に出て語りだす女性。


「あなた達が選ばれた理由、しれは…(ひとえ)にあの方の関係者―――瞳さんのご家族だったからです」



「…瞳は元気にしているか?」



「…はい。今も元気でやっています」



 そういった彼女の顔は無表情ながらも、どこか嬉しそうでしかし、それと同時に寂しそうに見えた。


「そう…か」


 それを聞いた私の顔も、彼女と同じようになっているだろう。




「それじゃあ、そろそろ君達をゲームの世界に送るよ。そうそう、君達同士は肉親っていう設定にしておくから、着いたときには離れ離れっていう心配はないよ。安心してね」


 そこで私たちは顔を見合わせる。我が子達の顔には不安や困惑などの表情が読み取れたが、彼らの目は決心をした目だった。再度、確認をとって、子供達には聞こえないように男の子に伝える。


「それでは送ってください。それと、望月さん。瞳をよろしくお願いします」


 男の子―――Concept Entertain Company社長、望月(もちづき)礼次郎(れいじろう)は、横にそろえていた両手をピクリと動かした。


 そして――――――


「っっつ!ちょっとちょっと!!またこれなの!?」


「葉月、親父!あっちに行った時に、一番最初にゲーム名前を言えっ!覚えてるよな!忘れんなよっ!!」


 なるほど、体を用意されるという事は、自分も相手も見知らぬ別人になるということだ。ゲームの名を言うのは合言葉代わりだろう。

 その言葉を脳裏に焼き付けるが、しかし、私には声を返す余裕などない。そ、そう。トラウマの発動である…仏長面の仮面をはずすと、それはもうガタガタブルブルなのだ。


「それなら、ゲームの頭文字をとってHAIDO(ハイド)とでも言ってくれよ。それで売り出す予定だからさ。それに、こっちのほうが覚えやすいでしょ?」


 ハイド、ハイド、ハイド。恐怖を振り払うようにボソボソと繰り返す。


 脚が消える。よかった、もう脚の震えを隠す事はない。そして、胴が消えていく最中(さなか)、いつの間にか、男の子が傍に来ていて、私だけに言葉を残す。


「よく、気付いたね、高志君。僕からも1つお返しをしてあげよう。君のそのみっともない姿。それが似合うように、さっき君が考えていたアイディアを取り入れることにしたよ。もう脚が震えても大丈夫だね!」


「はっ!?それって、どういう――――――


 やはりここでも無情に口が消え、私の言葉がなくなった。


「それじゃあ、三人とも。良い非現実生活(ファンタジーライフ)を楽しんできてね!!」


 この言葉と同時に三人分の人影が消えうせた。



ふぁああああああああああい!!

おわったよぉーーー!!!

例になくgdgdな回だったねww

また付け加えが必要だなぁと思ったら

勝手に付け足していきますwww


こんな駄文に付き合ってくださり、感謝です…

次からはやっと本編!!

ファンタジーの世界に入ります。

なかなか、話が進まなくてもどかしく感じてた方も居るかもしれませんが、

やっと松田家が大きく前進します!!


今回出てきた中で、解説が必要かなとみぃこが思ったものを

活動日記のほうで説明していきたいと思います。

良かったらそちらのほうもご覧ください。


感想、お待ちしております。

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