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おとうさんは!?  作者: みぃこ
第1章
2/7

おとうさんは混乱中!?

第1話投稿しました。

初めての事なので誤字脱字があるやもしれません。

お見苦しいですが、見つけ次第報告をお願いします。

「…さん、父さん。……あぁ、くそ。おい、こら!バカ親父、さっさと起きろ!!」


「…おぁ?」


「ほら、早く目覚ませって。今日は母さん、大学の同窓会行っちまって飯、外で食うことになってんだから」



 まだ寝ぼけて働かない頭を動かす。そういえば、残業中に眠ってしまったのだった。早く終わらせて帰ろう。家には愛しい家族が待っているのだ。娯楽も酒もしない私にとって、家族と過ごす時間は何よりも幸せに感じる時だった。

 早く帰ろう、早く帰ろう。そう期待を膨らます私だったが―――


「……どうしてお前がここにいる、火丁ひのと


 我が家の長男、火丁が顔をしかめる。

 火が燃えるように盛んに生き生きと成長して欲しい、そういう意を籠めて名づけた。私と妻が願うように、火丁はすくすくと成長し、健康な男の子に育ってくれた。

 今の時間帯はもう家にいて勉強なりゲームなりをしている時間だと思うのだが…


「何言ってんだか…まだ夢の中?俺ん家なんだから、俺がいて何が悪いわけ?」


 とりあえず早く起きろバカ親父。そう言って不機嫌そうな様子でテレビに目を移した火丁。


 あぁ、うん。ここは見たことがある。というか、ここで20年程の時間を過ごしたのだ。忘れるはずがない。

 12畳間のリビングに置いてある42インチの薄型テレビ。その下には最新の家庭用据え置き型ゲーム機。家族が楽しく過ごせるようなリビングにしたく、毎日頭を悩まし働いて、つい最近買ったものだ。忘れるはずがない。

 しかし、私の記憶では残業・・していたのだ。傍に火丁がいて、しかも家のリビングで寝ているはずがない。


 誰かが私を運んだのだろうか、そう考えてすぐに否定する。昼にもらえるブレイクタイムに同僚と話をしたところ、残業しなくてはならないほど切羽詰まっていたのは私だけだった。つまり、会社には私を家まで送ってくれる人は一人もいなかったはずなのだ。

 なら、なんで…?


「そういやさ、父さん。今日、風邪でもひいたのか?」


「はぁ?」


 唐突に話しかけてきた息子に、ものすごい速さで顔を向ける。そんな彼は依然として目をテレビに向けていた。


「いや、さ。俺、今日部活なくて、一番に家着くから鍵持ってたんだけどよ…家着いて鍵使おうとしたら、もう開いてたんだよ」


 一度、繋がっていた言葉が切られ、何か言いたげな顔がこちらを向いた。


「泥棒かな、とか思ったりした……なんだよ、その顔。別に、怖がってたわけじゃ、ねぇぞ?」


 一体どんな顔をしていたんだ私は…


「今日は父さんが残業するって言ってたし、母さんは同窓会。あいつは部活だろ?家には誰もいねぇのに鍵が開いてる。…不気味だったんだよ」


「話戻すけど、誰かいるかと思ってリビングに行ったんだ。そしたらソファの上に父さんが眠ってたって訳。父さんが会社休むのも珍しいから、体調崩して早退したのかな、とか思ったんだよ」


「早退?私が?」


「知らねぇよ。だから聞いてんじゃねぇか」


 混乱する頭を必死に抑え付ける。

 私は皆が会社から各自、帰宅するのをこの目で見ているし覚えている。ということは、だ。私は早退していない事になる。今日は土曜日だから、火丁の高校で課外があった。しかし、それは午前中だけのはずである。火丁が部活がなかったといっていたから、彼が家に着いたのは、おそらく1時~2時頃。私はその時、ブレイクタイムで同僚と話していたから、もちろん家にいるはずがない。

 何故、ナゼ、なぜ…

 そればかりが脳を埋める。一体、何が起こったというんだ…


「で、なんだ。風邪なのか?」


 とりあえずは、現状維持だ。夢で見たものと現実との判断がつかなくなる病気がある、と聞いたことがある。今はこの質問をしのぐ事が問題だ。


「……あぁ、ちょっと頭が痛くてね。やらなきゃいけない仕事は終わらせて、後はデスクワークだけだったから、家でやろうと思ってね」


「残業は?」


「その分のも持って帰ってきた。大丈夫だよ」


 自分でも驚くくらい、嘘が口から飛び出す。心配してくれている様子が分かるので忍びなかったが、まず、自分に何が起きているのかを知る必要がある。もし、ナルコレスピーだったりしたら、病院へ行ったり、メンタルクリニックで相談しなければならない。


「んじゃ、外食は禁止でいいよな。何かあったら大変だしよ。あいつに今日は中止だって伝えてくるわ。…今日は出前かな」


「いや、私が作ろう。それくらいはできるから…」


「分かった、任せたよ」


 そう言ってリビングから出て階段を上がっていった。


 こう見えても、私は料理が得意だ。妻よりも上手な自身がある。毎日食事と弁当を作ってくれるのは彼女なのだ。

 冷蔵庫の中を確認し、すばやく脳内で献立を立てる。すぐに腕をまくり、手を洗い始めた。






 料理は愛情が一番だと思っている。強面こわもてのおっさんが何言ってんだ、とか思うかもしれないが、これは長年の料理人生で明らかになったことなのだ。いくら材料がよく、作る人の腕が確かだとしても、作る人の愛情より勝るスパイスはないのだ。

 ということで…

 鼻歌を口ずさみながら野菜を炒め始める。気分が沈んでいたが、いくらか楽になってきた、その時だった。

 ドタドタと階段を駆け下りてくる足音が2人分。そのままの勢いで乱入してきた。


「ちょっと、お父さんっ!外食じゃないってどういうことっ!?私、今日楽しみにしてたのにっ!!」


 などとのたまう我が家の長女、葉月はづき。この子は、ちょっとお転婆に育ちすぎた。成績優秀、スポーツ万能、妻に似て可憐な容姿。まさに、漫画や小説の中の一人物だろう。じっと動かずにいたら、それこそ10人中10人は振り向いてしまうような。

 …動かずにいたら、だが。葉月は、なんと言うか、ガサツで男勝りなのだ。それこそ、喧嘩っ早い同級生の男子を軽く打ち負かしてしまうくらいには。


「…もう少し静かに階段を下りなさい、葉月」


「えー。お兄ちゃんもいっしょだったし。なんであたしだけなのよ…」


 父親である私をしては、もう少し抑えてくれると嬉しいのだが。


「父さん、風邪ひいてるっつたろ。注意しようと思ったら、いきなり飛び出していきやがるんだから」


 あきれたもんだぜ…と両手を挙げる長男。


「いや、今、お父さん、絶対鼻歌歌ってたし。それものりのりでっ!全然元気じゃない!!食べに行こうよ!!」


「まて、早まるな、妹よ。一昨年のことを忘れたのか?もし父さんが運転してる時、ふらふらになったらどうするんだ。母さんを残して、車の中で昇天したいのか?俺はごめんだ。葉月、よく聞け。人生、安全第一だ」


「うっ…そうね。分かった、我慢する」


 小声でこそこそとしていた兄妹の小会議は無事決したようだ。火丁よ、よくやった。


「今日は、中華だ。ぱっぱとしてしまうから、もう少し待ってなさい」


 そう言って二人を台所から離れさせる。その際、中華か…とぼやく声が聞こえたが、気にしない。全くもって気にしない!






「あれっ、お父さん。食べないの?」


「食欲が湧かなくてね。それに、今日の残業の書類を片付けなければいけないし、しばらく部屋に篭っているよ」


 今は、午後7時と少しを回ったところだ。

 いつもなら、私は帰宅中で、妻が夕食の用意をしているころ。今日は、少し早めの夕食だったのもあるかもしれないが、全く食欲がない。料理している途中に自分の違和感・・・に気付き、子供たち、二人分の夕食しか作らなかった。


「なら食器の片付けくらいは俺たちでやるよ。いいよな、葉月」


「えぇー。お兄ちゃんだけでしてよ。あたし、今日宿題多いんだから」


「中学の宿題なんてすぐ終わるだろうが。それより食べよーぜ。匂いかいでるだけで腹が…」


 いただきます、と2人分の常套句を背後に私はドアを閉めた。



 部屋に着いて、考える。まず、自分自身のことについて整理しなくてはならない。火丁が言っていた事は間違いなく本当である。

 あの子が嘘をつく時は、必ず目を泳がせて前髪をいじるという癖がある。本人はポーカーフェイスのつもりだろうが、嘘か真か丸分かりなのだ。

 しかし、今回はそれが見られなかった。

 なのに彼の言った事は、私の記憶と大部分が食い違う。

 まずは私の記憶の確認。

 今朝は火丁と葉月が家を出る前に出勤した。会社に着き、挨拶を済ませ仕事に取り掛かる。昼休みでは行きつけの店で、昼食をとりながら同僚と仕事の話をしていた。このとき、残業するのは私だけだということがわかった。

 だが、彼の発言によると、この時――私が昼食をとっていた時、既に私は帰宅しており、ソファで寝ていたという。

 私は昼休み後にも、毎日の日課のごとく机に向かって仕事をし、ある程度時間が経ったらコンビニへ行き、夕食の確保、そのまま残業へと移ったのだが…私は高確率で会社で寝てしまったのだ。その時からの記憶がないのだから。

 だがしかし、私は今、ここにいる。


 とりあえず、今、有力なのは、自分の精神がおかしくなったか、本当に何から何まで夢なのかという二択だ。

 しかし、夢だという可能性は限りなく低いと思う。会社で食べたコンビニのなめこマヨ味おにぎりは今でも思い出せるし、一日のことを全部事細かに覚えている。なにより、トイレだ。朝一で用を済ませる習慣がある私だが、それを済ませた後、いや最中に目が覚めなかった。先程確認してみたが、ベッドのシーツにしみもついていなかった。

 となると、やはり、夢ではないのだろう。

 残るは精神病だな。そう呟き、座っていたイスの背もたれに体重をかける。生憎、私の家には精神に関する病気が書かれた医学書なり参考書などはない。よって、調べるにはネットにつなぐ必要があるのだが…

 「鞄がない…」


 重大な事に気付いた。

 鞄の中には書類や業務用のノートパソコンなど、会社で使ったものが入っていた。起きたときに確認したが、ソファの近くに鞄などなかった。


「…一体、どうして――――



 そこで初めて気付く。足が消えている(・・・・・・・・)



「はっ?ちょっと、えっ!?」



 次に胴体。いや、もう既に腕も消えかかっていた。



「待てって!おい!!」



 遺すところは、もう首から上。



「火丁!葉月!!助け……」



 助けを求めてわが子を呼ぶが、無情にも口が消え、目の前が真っ白になり―――そして部屋には誰もいなくなった。

とりあえず、テストです。

文字数が少なかったので付け加えました。


推敲はしましたが、矛盾点や誤字脱字がありましたらみぃこに文句を言ってください。

感想は随時お待ちしています!!

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