決戦!
活動エリアは縮小し続け、
最後に残ったのは――
黄昏の円形闘技場。
夕日は沈みかけ、
空は紫と深紅が入り交じった薄闇。
スタンド席の影は深く、
照明は無く、闘技場全体が墓場のようだ。
光と闇が混じる完全な魔の時間帯。
その中央に、ゆっくりと立ち上がる影。
ナターシャ。
「このバトルロワイヤルはユーノス様のトレーニングで何千回と見てきました。
今回のマップパターン、エリア縮小のパターンから決戦の地がここになると、私にはわかっていました」
地の利はナターシャ。
背後の夕日が彼女のシルエットを黒く染め、足元にはうっすらと青い光点が散らばっていた。
「……黄昏は、
視界を曖昧にします」
薄闇が、ナターシャの戦法――
爆薬の光点でフェイクを作る。その戦術に完璧にマッチしていた。
天の時もナターシャ。
⸻薄闇。
夕日が完全に沈む直前。
地面に埋め込まれた青色の爆薬インジケーターが闇の中で“星座のように”淡く瞬き始めた。
「ユウマ様。」
ナターシャは静かに微笑む。
その顔も薄闇で半分影になる。
「ここには――
合計1000の爆薬が仕掛けてあります」
薄闇と待ち伏せ。ヤバい。それに活動エリアはどんどん狭くなっている。
「……薄闇も、戦法に入ってるってことか。」
「はい。」
彼女の瞳も、ほの青く反射する。
「ユウマ様。
逃げ場はありません。
私は優勝し、隷属権を得ます。」
薄闇が、さらに濃く落ちた。
ユウマの背筋に、ゾクゾクと寒気が走る。
――カチッ。
ピンが抜かれる音が、薄闇に吸い込まれる。
同時に闘技場の影の中で青い光が50点、連鎖的に瞬く。
どれが本物のトラップか?
どれがフェイクか?
薄闇では判別できない。
次の瞬間――
爆炎が太陽の代わりに闘技場を照らした
――ドオオオオオオオン!!!
薄暗い闘技場が一瞬だけ“昼間より明るく”なり、また闇に沈む。
爆発 、光、闇
爆発 、光、闇
その繰り返しが、まるで心臓の鼓動のように場を支配した。
「っぐ……ナターシャ!!」
「薄闇の爆発は美しいでしょう?
愛は爆破!爆破は愛なのです!」
狂ってる。
爆発の光が眩しすぎて暗闇とのコントラストで視界が崩壊する。
地獄の仕様だ。
活動エリアはもう半径50メートルもない。その内側には、まだ数百の爆弾が仕込まれている。
ユウマの体力は3%しかない。
ユウマは地面にある青点を避けようとするが、
薄闇で位置が揺れて見える。
……本物がどれかわからねぇ……
なら……全部避けるしかない!
でも、全部なんか、避けられない!
接近加速!!!
ユウマは壁走りへ移行。
壁にはワイヤートラップ!
数十個の爆薬が同時点火。
――バシュッ!ボンッ!!
――ドババババババァァン!!!
爆光がユウマの影を歪ませる。
「ユウマ様……綺麗です。」
ナターシャの姿が見えない。
爆薬800が消費され、
闘技場には黒煙が垂れ込める。
空気は焦げ、
薄闇はさらに濃く、視界は最悪。
活動エリアは、半径10メートル。
ユウマの体力:2%
ナターシャ:70%
ナターシャは静かに勝利を宣言する。
「終わりです、ユウマ様。
あなたはもう……立っているのもやっとです。」
だが。
……ここで終わりにするつもりはないんだ!
1箇所、爆破が薄いところがある。
あそこにナターシャがいる!
ユウマは影の狭間から突進し、
残り全力の近接加速で踏み込んだ。
ナターシャは驚き、
「……来てくださるのですね……!」
と、うっとりした声で言った。
ユウマの手が――
ナターシャの手首を掴む。
「終わりだ。ナターシャ。」
薄闇の中、ナターシャの瞳が静かに光り、
「はい。終わりです。
ユウマ様。」
そして――
ナターシャは、胸ポケットの自爆ピンを引いた。
薄闇が白光に飲まれた
夜になる寸前の闇。
その闇を引き裂くように、巨大な爆炎の白光が闘技場全体を照らした。
ユウマの影が長く伸び、
爆心地へ飲み込まれる。
――ドオオオオオオオオオン!!!
爆発後、
闘技場は光から闇へ急速に戻る。
システムログが闇の中で点滅する。
ナターシャ 生存時間:52:06:03:96
ユウマ 生存時間:52:06:03:98
《PLAYER DOWN — ナターシャ》
《WINNER:ユウマ》




