表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が一番嫌いな言葉。それは、番です!  作者: 水無月 あん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/97

ぴんときた!

口に布をかまさまれた状態で、肩にかつがれて運ばれている私。

手も足もしばられてはいないから、背中をボコボコたたいたり、思いっきり暴れてみるけれど、びくともしない。


敵ながら強そう……、じゃなくて、私が弱いだけなんだけど……。

ルーファスを守るなんて言ってたのに、なんて、不甲斐ないんだろう、私……。


それに、コリンさん、大丈夫かな?

私に協力しなかったら、眠らされたりすることもなかったのに。


スコップをもって勇ましい発言をしてくれたけれど、よく考えれば、庭一筋で、植物にあんなにやさしいコリンさんだから、戦うこととは真逆のひと。


私を安心させるため、あんな風に言ってくれたのかも。

コリンさん、無茶をさせようとして、ごめんなさい!


でも、そもそも、コリンさんを眠らせ、私を連れ去っているのは誰!?

つかまった時も顔は見えなかったし、今も、荷物のように担がれているから、連れ去る人の足元しか見えない。


とっさに、誘拐!? とも思ったけれど、状況からして、私を狙うっていうのは、どうも考えられないんだよね。

あそこの場所に行ったのは、流れでそうなっただけだし……。


そんなことを思っていたら、ぴんときた!


もともと、あそこに誰かが潜んでいて、そこに、私とコリンさんがやって来たってことじゃないかって……。


じゃあ、なぜ、あのマラミがよく見える場所で潜んでいたか……。

それは、やっぱり、考えられる理由はただひとつ。


狙いはルーファス……!


だって、庭でマラミがみたいと言って、ルーファスを連れ出したのは、王女様。

マラミの情報を与えたのは、第二王子。


そういえば、最初、王女様はルーファスとふたりだけで庭にでたがったよね……。

第二王子のほうは行きたがらなかったけれど、ルーファスが連れ出した。


ということは、マラミの見えるあの場所に誰かを潜ませていたのは、王女様ってことじゃない?


警備の厳しいこの公爵家に、不審者が紛れ込めるはずもないけれど、王女様の護衛だと名乗れば、庭に入ることも可能なのかも……。


だとしたら、王女様がマラミの咲く場所にルーファスをよびだし、誰かに潜ませていた目的は一体なに……?

なにを企んでるの……。


あ、もしかして、それこそ、誘拐!?


今までの会話から、王女様はルーファスを相当気に入っている。

でも、ルーファスはそうじゃない。


だから、無理やり、ルーファスをジャナ国に連れて行こうとしてるんじゃない!?


そうよ!

だって、そう考えたら、全部つじつまがあう!


確信したとたん、私は、今、知らない誰かに運ばれている怖さや不安は、頭から、きれいさっぱり消え去った。


かわりにわきおこってきたのは、怒り!


子どもの頃、誘拐されそうになって、あんなに傷ついていたルーファス。

不安で不安で、私の手をにぎって離さなかった、ルーファスの手の感触。


思い出したら、涙がでてきた。


そんなルーファスを、また誘拐としようとするなんて許せない!

ルーファスを傷つける人は、誰であっても、絶対に許さない!


早く戻って、ルーファスを助けなきゃ!


こうなったら、全身の力をふりしぼって、連れ去っている人の背中に一撃をあたえて……、あれ、でも、待って……?


私を運んでいる人が、ルーファスを誘拐するための王女様の手の者だったとしたら、この人をさっきの場所に戻しちゃダメなんじゃない?


ということは、ここは、おとなしく運ばれて行ったほうがいいよね?

時間かせぎになるから。


そして、私をどこかに置いて、さっきの場所に戻ろうとしたら、なにか話しかけて、無理やりにでも、ひきとめる。


あ、でも、口に布があるから無理か……。


だったら、それこそ靴を投げてでも、体当たりしてでも、なにがなんでも、ひきとめよう!


そうと決まったら、闘志がメラメラとわいてきた私。

今は、体力温存のため、おとなしく運ばれよう。


なんてことを考えていたのに、体力温存するまもなく、運んでいた人の足がとまった。


思っていたより、短い距離しかすすんでいない。

公爵邸の庭からでてもいない。


やっぱり、私を置いて、すぐにあの場所に戻ろうとしてるんだ!

そうはさせないわ!


扉をあける音がしたかと思うと、あれ、建物の中に入った?


そこで肩からおろされて、椅子に座らされると、目の前は大きなガラスで、見えるのは庭だった。


あ! ここって、いつも、コリンさんがいるところだ……。


そう、私が連れてこられた場所は、コリンさんが庭仕事の合間に休憩する、小さな建物。

休憩している間も庭の様子が見たいからといって、前面はガラスになっている。


だから、外からも、中の様子がまるみえ。


ルーファスと私は、小さいころ、庭であそんでいた時、コリンさんがいるのが見えたら、よく寄っていた。


なかは、こじんまりとしていて、小さなテーブルセットがあるだけ。

ここで、ルーファスとふたり、植物の話を聞いたりしていた、ほっこりした時間を思い出すな……。


なんて、ほっこりしている場合じゃない!


私は椅子に座らされて、椅子の背もたれの後ろにまわされた両手を紐で縛られてしまった。

乱暴に扱われてはいないから痛くはないけれど、これじゃあ動けない……。


「しばらく、このままでいてもらいます」

と、背後から、丁寧な口調で言われた。


とにかく、この人を、あの場所に行かせないように、なにがなんでも、ひきとめなきゃ。


でも椅子から立ち上がることすらできないから、体当たりとかは無理……。

こうなったら、口の布をはずしてもらうしかない。


そう思って、「口の布、はずしてー! 逃げないからー!」と、全力で叫んだけれど、やっぱり、くぐもった声しかでてこない。


すると、唐突に、ふっと、口がゆるまった。


「……あ、外してくれたんだ! よかったー、ありがとう!」


思わず、声がでた。


「こんな状況でお礼を言うなんて、おかしな方だ」


そう言って、私の前にたった人は、目深にかぶっていたフードをぬいだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ