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私が一番嫌いな言葉。それは、番です!  作者: 水無月 あん


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今は、って何?

「代わりの物……!? なんだ、それは? それも薬なのか!?」


またもや椅子から立ち上がって、興奮状態で叫ぶ第二王子。


すかさず、ルーファスが「ララ、口開けて。邪気がとびちってくるから、甘いもので邪気を払おうね」と、お菓子をさしだしてきた。


甘い匂いに勝手に口が開く。

そして、美味しい……。


最早、開き直ったように、ルーファスに食べさせてもらっている私は、令嬢としての恥じらいとか、もろもろ終わっているのかもしれない。


だけど、美味しいお菓子が口にある間は、心がそっちに持っていかれるから、第二王子へのひどくなる一方の嫌悪感や、ひどいことを平気で言う王女様への不快感から気がそれる……。


つまり、ルーファスが言うように、甘いものは食べている間、邪気を払ってるってことなんじゃない!?


でも、残念なことに長続きしない。

甘いお菓子が口から消えさった途端、目の前のふたりに意識が戻ってしまった。


王女様が耳をおさえて顔をしかめながら、第二王子に言った。


「ちょっと、ガイガー王子。今からそんなに興奮してどうするの? 少しは落ち着きなさいよ」


「ああ、すまない……」


はっとしたように椅子に座りなおす第二王子。


ん……? 王女様、「今からそんなに興奮して……」って言ったよね?


つまり、この後、第二王子がもっと興奮する事態がおきるってこと……?

それは、ルーファスが待っているという、ふたりからの仕掛けとか……。


ルーファスを見ると、鋭い視線でふたりを見据えているけれど、口の端がうっすらとあがっている。

なんだか、獲物が動き出すのをじっと待っているように見えてしまう。


そんなルーファスの視線に気づくこともなく、王女様は話を続ける。


「公爵に差し上げた代わりの物は薬じゃないわ。でも、使い方としては、それも飲むのよ。それに、私にとったら、長年使っていない薬より、その物のほうが、ずっとずっと貴重だと思うわね」


「薬じゃないけれど飲めるもの……? 一体、なんなんだ、それは?」


「ガイガー王子、今ここで、それが何かとは教えられないわ。ジャナ国の王族の秘密にかかわることだから……。ただ、それを飲めば、確実に番のことは忘れられる。ただ、番を忘れることが目的の薬とはちがって、その代わりの物は副作用的に番を忘れるの。つまり、番を忘れる目的でその物を飲んだら、別の影響がでてしまうってことね」


「別の影響? 命が危ないとかか?」


まるで自分が飲むかのように、第二王子が不安そうな顔をした。


「いえ、命は大丈夫よ。その物を飲んだら、どんな影響がでるのか……フフ。それも今は教えられないわ。でも、ララベルさんには実際に見てもらいたいわねえ……。だって、ただの人であるあの娘も、公爵子息の変化を目の当たりにして、獣人との違いを身をもって思い知ったようだったから……」

と、王女様がやけに楽しそうに言った。


公爵子息の変化……? 

つまり、公爵子息は、その代わりの物を飲んだというか、飲まされたってこと……?


その物がなんなのか見当もつかないけれど、そんな得体のしれない物を飲まされた公爵子息が心配になってしまう。


「……ということは、公爵の息子はその代わりの物を飲んだんだな? でも、その公爵の息子は飲むのを拒否しなかったのか?」

と、第二王子が確認するように王女様に聞いた。


「ええ、もちろん、公爵子息は拒否したわ。番を忘れて欲しいのは公爵夫妻のほうだものね。だから、公爵は何かに混ぜて、黙って公爵子息に飲ませたかったみたい。でも、それは無理なの。公爵に渡した物は、薬とは違って、固いし、溶けるものでもないから」


「じゃあ、どうして公爵子息はそれを飲んだ?」


「公爵夫人が条件をだしたのよ。もし、それを飲んで、番を忘れたとしても、その娘といたいと思うのなら好きにしたらいいと。公爵子息が平民になっても公爵夫人も死んだりしないって。でも、公爵子息は断った。番を忘れたくはないから、と」


「当然だな。番に夢中になっている状態で、番を忘れる物なんて飲みたくもないだろうし……」

と、第二王子がうなずく。


「まあ、そうでしょうね。だから、公爵夫人は公爵子息と娘を前にして、言ったの。ただの人である娘は番という認識がないのに、自分の国をでて、公爵子息のそばにいようとした。でも、番を忘れることを恐れる公爵子息は、番だから娘のそばにいたいだけで、娘自身のことは好きでもなんでもないんじゃないのかってね。それを聞いて、娘はそうかもしれないと思ったんでしょうね。本当に自分を愛しているのなら、番を忘れるその物を飲んでほしいと公爵子息に願ったそうよ。番とか関係なく、自分は公爵子息を愛している。だから、同じように、自分のことも愛して欲しい。番という得体のしれないものでつながってるだけなんて不安だと、娘は必死で頼んだ。だから、公爵子息はその物を飲んだの。……そして、彼は番のことを忘れた」


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