ばれてる
「さすが、ララだ。心がきれいだから、やっぱり、真実に気がつくのが早いね」
と、またまた、どんな理由をつけてでも私をほめるルーファス。
なので、またまた、私も受け流す。
「はいはい、どうも。で、獣人じゃないことがどう関係してくるの?」
「獣人の血が混じっていない純粋の人であるララやマイヤーやマリーには、王女が、どれだけあの力を使っても効かない。竜の力は、獣人の血に訴えかけてくるような力だからね」
「え、待って……。じゃあ、ルーファスやレーナおばさまは危ないんじゃない!?」
「ララが僕のことを心配してくれてる。嬉しい」
にっこり微笑むルーファス。
「いやいや、ルーファス? そんな、のんきなことを言ってる場合じゃないからね!? それより、体に異変はないの? 操られるってどんな感じかわからないけど、頭がぼんやりして、王女様の声だけがよく聞こえるとか、王女様の言うことだけを聞いていたい、とか、ちょっとでも変な感じがしたら、すぐに私に言ってよ? 私がどんなことをしてでも正気に戻すからね!」
私の言葉に、何故か、ルーファスの顔がぱあっと輝いた。
「あ、それいいね。ララに正気に戻してもらうなら、どんな方法をお願いしようかな?」
妙にうきうきした声で、甘い笑みを浮かべるルーファス。
私は真剣に心配してるのに……。
思わずムッとすると、ルーファスがすぐに謝ってきた。
「ごめんね、ララ。ララが心配してくれたのが嬉しくて、浮かれちゃった……。でも、僕や母は大丈夫だから、安心して、ララ」
「え? なんで?」
「僕や母は、血が濃い竜の獣人だから、竜の力で従わせようとしても、反発してしまって効かないんだよね」
「え、そうなの? 良かった……。あ、でも、第二王子はどうなんだろう? 一応、王家の血筋だし、血の濃い竜の獣人だよね? 今の王女様への態度もおかしいのに、従わされていないのだとしたら……、まさか挙動不審なのは、素ってこと!?」
びっくりする私を見て、ルーファスがフフッと笑った。
「びっくりした顔のララもかわいい……。そう、ララの言う通り、あれが素だと思うよ。ガイガーも王家の竜の獣人だから、当然、血は濃い。あの王女でも、竜の力だけで王子妃のように簡単に従わせられることはできないはず。おそらく、ガイガーは、単に、王女に口でいいくるめられているだけだろうね」
「じゃあ、あんな操り人形みたいになった王子妃を見て、満足そうに笑って見てるのって、操られているわけでもないってことか……。一体、何を考えてるの……?」
「ララはあいつの考えていることなんて、想像しなくていいからね。脳が汚れるから……。おそらく、あの王女に、ガイガーが望むことを読まれて、うまく言い含められたんだろうけれど、侯爵令嬢同様に都合よく駒にされるだけだろうにね。どれだけ、あさはかなんだか……。あ、そうだ、ララ。この後、ガイガーが何かやらかして、ララが今はいている靴を、あいつに投げつけたくなっても、それはやめてね。ララが履いている靴が、あいつに触れるなんて想像するだけで嫌だから。もし、投げたくなったら、ララの物以外を投げつけてね。あ、この部屋にある物は何でも使ってくれていいから」
私のピンク色の靴を見て、そうささやいてきたルーファス。
「あ、この靴を選んだ理由がばれてたんだ……。っていうか、ルーファス。さすがに私でも、自分の物以外を投げるなんて非常識なことはしないよ? まあ、令嬢が靴を投げようとすること自体が非常識とはわかってるけど……。おっと、こんなことを言ってる暇はなかったわ。今のうちに、ルーファスに聞いておかなきゃ。ええと、そうだ、モリナさんは竜の獣人らしいけど、やっぱり、王女様に操られてるのかな? なんか、いつもと感じが違うんだけど……」
「まあ、多少はね。ララは優しいから、いつもと感じが違うって、やわらかい表現で言ったけど、隠していた悪い面が全面に押しだされた感じだよね?」
「いや、そこまでは……でも、モリナさんの私をにらんでくる顔が今までにない怖さだし、ほら、今だって、王女様をうっとり見ている感じが異様だから、操られてるのかなって……」
「ララをにらむなんて、目がつぶれればいいのにね」
「え……?」
今、ルーファス、天使みたいな笑顔で、さらっと毒を吐かなかった?
驚いてルーファスを凝視する。
「ララにそんなに見つめられると照れるな」
はにかむルーファス。
うん、どこからどう見ても、正真正銘の地上に降りた天使だ。
やっぱり、私の聞き間違いね。
今、早口でしゃべってる私にあわせて、ルーファスも早口で返してくれているから、聞き間違えたんだ。
ルーファスがそんな怖いことを言うわけないもんね。
誤字報告、ありがとうございました! 誤字脱字、読みづらいところも多々あるかと思いますが、読んでくださっている方々、ありがとうございます!




