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私が一番嫌いな言葉。それは、番です!  作者: 水無月 あん


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いざという時とは

※ ララベル視点に戻ります。

その後も、休み時間ごとに、ものすごい速さで私の教室にやってきて、ぎりぎりまで居続けるルーファス。

そのため、休み時間をフルにつかって、昨日のパーティーの様子をはなし続けたから、残りはあと少し。


と、ここでお昼休みになり、グレンと合流した。


そして、久々に4人そろって学園のカフェに行き、いつものように座ろうとしたら、ルーファスが隣にすわってきた。


あれ……? 

4人で食べる時は、いつも、私とアイリスが横に並んで座るよね? 


で、テーブルを挟んで向かい側に、ルーファスとグレンが座る。

それが、いつもの私たちの座り方。


「今日から、僕がララの隣に座らせて」


ん……? 

いや、べつにいいんだけど……、なんで?


「はいはい、どうぞー。ほんと、どんな心境の変化があったのか知らないけど、ルーファスって極端よね? 昼休みのあと、また、噂になるわ……」

と、ぶつぶつ言いながら、私の真向かいの席にすわったアイリス。


「かわってくれてありがとう、アイリス」


そう言うと、ルーファスが隣の椅子をぐいっと私に近づけて、座った。


え……? 

食べる時もこんな至近距離に坐るの……?


ほんと、どうしちゃったんだろう、ルーファス。

普段は常識人で変な行動なんてしないのに、あきらかに、距離感がおかしくなっている……。


次の瞬間、まわりのテーブルがざわめきはじめた。

またもや、ものすごい注目されてる。


まあ、でも、みんなの気持ちは痛いほどわかる。

学園のカフェで、こんなにひっついて座るなんて、あきらかに浮いているし、変だもんね……。


「ええと、ルーファス? そんなに近づいたら、食べにくいんじゃない……? ほら、食べる時、手もあたりそうだし……?」


とまどう私は疑問形を連発させながら、言ってみた。


「それなら大丈夫だよ、ララ。ララは右利きで、僕は左隣にすわってる。だから、ララの手は誰にもあたらないよ」


「うん、それはわかってる……。そうじゃなくて、ルーファスの右手が私にあたりそうだから、ルーファスが食べにくいんじゃないかなって思ったんだけど……」


「ああ、そういうことなら気にしないで、ララ。僕は、今日は、左手で食べるから」


「え? いや、……ルーファスって、右利きだよね……?」


思わず、聞き返してしまった私。


「うん。でも、いざという時のために、右手同様に左手でも食べられるようにしたから全然問題ないよ」


「え? そうなの? ……あ、でも、いざという時は、ここじゃないよね?」


私の言葉に、ルーファスが首を横にふった。


「ララと一緒にいる時は、いつだって、いざという時だよ」


距離感だけじゃなく、文章までおかしい……。


指摘しようとしたけれど、ルーファスが艶やかに微笑むもんだから、言いたいことがふっとんでしまった。

見慣れた私でも、一瞬、くらりとするような笑顔だったから。


近くのテーブルにいる女子学生たちからはため息やら、悲鳴やらが聞こえてくる。


アイリスは顔をしかめた。


「あのね、ルーファス……。暴走しすぎて、ララを困らせないで。ここは、ルーファスが一瞬にして掌握してしまった私たちのクラスじゃないんだからね。カフェだから、いろんな人たちが出入りするし、なかには、面倒なのもいるんだから……」


「面倒なのって、誰のこと……?」


ルーファスの声が、一気に下がった。


「あっ……、噂をすれば、いた……。まあ、でも、ルーファスがいる時は、何も言ってこないか……」


嫌そうにつぶやいたアイリスの視線の先を見ると、こっちを見ているふたりがいた。


先日、ここで、ルーファスのことや、獣人がどうのこうのと、私に色々言ってきた、ジャリス侯爵家の令嬢のモリナさんとロスター伯爵家の令嬢のコルネさんだ。


ふたりは私とルーファスを凝視したまま、驚いたように固まっている。


まあ、でも、さっき、アイリスがつぶやいたようにルーファスがいる時は、ふたりは私に近づいてこない。

とりあえず、今は大丈夫……。

ランチは美味しく食べたいしね。


と、ほっとした瞬間、モリナさんがカッと目を見開き、私をにらんできた。

そして、きれいに巻かれた縦ロールの金色の髪をゆらしながら、すごい勢いでこっちに向かって歩いてくる。


はっとしたように、コルネさんもあとを追って歩きだした。


えっ、もしかして、こっちに来るの……?

しかも、あの顔、ものすごく怒ってそうだよね……!? 


「頭に血がのぼって、かすかに残っていた獣人としての危機意識も失ったようね。今までは、ルーファスのいないところでしか、ララにあれこれ言ってこなかったのに……」


アイリスのあきれた声が聞こえてきた。

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