本家クソガキ担当。
「おーいこっちこっち、遅いぞー」
遠くから手を振って呼ばれる。
雑踏の中でもはっきり聞こえてくるその声は、猫耳パーカーをかぶった女性から発せられたものだ。
日が沈み始めた夕暮れ。
もう七月、太陽がビルの陰に隠れたこの時間帯でも気温は高く、ただ歩いてきただけなのに額が汗ばんでくる。
本当ならクーラーの効いている自宅で爆睡している予定だったのだが、突然電話で叩き起こされ、気の進まない茜色の空の下に連れ出されている。
「……あまり大声出さないでくださいよ。あなた有名人なんですから」
あくびと苦い感情をかみしめながら、僕はとりあえず呼び立てた張本人に不平を言う。大っぴらに名前を言うわけにはいかないお人、日本でもトップレベルの登録者数を誇るVTuber、蒼山モカさんである。
「大丈夫大丈夫。誰も私の声なんて気づいたりしないって」
当の本人はけらけら笑いながら聞き流す。
しかし待ち合わせにされたのはそれなりの人混みである駅前。こんな場所で蒼山モカの名前を出そうものなら、確実に誰かはモカさんの名前を知っている。そういうレベルの人だという自覚をもう少し持って欲しい。
「お、お待たせしてすいません」
僕の後ろからひょっこり現れたのは、ベレー帽に眼鏡をかけた軽装女子、紗倉心愛さんだ。
「おっすおっすー。全然待ってないから大丈夫だよ」
見た目から怪しさが漂っている紗倉さんなのだが、モカさんはまるで触れずに軽快に挨拶を交わしている。
「ほらほら、みんな来たんだからそんなところにいないでこっちにおいで」
言いながら、モカさんは後ろに手招きをする。
紗倉さんが僕の背中越しにのぞき込むと、のそのそと歩道を這うように小さい女の子が現れた。
肩あたりまである黒髪を適当に流し、目に掛かる前髪からは強気な黒い目がのぞいている。幼い顔立ちにもかかわらずその強気な黒い瞳は、周囲に意志の強さを発している。しかし口元は不機嫌の陰を帯びて曲がっており、無理矢理引っ張り出された同族感を覚える。小柄な体型には明らかに大きな紺色のパーカーのポケットに両手を突っ込み、ぶっきらぼうにこちらを見上げてくる。
「えっと……もしかして……」
現れた少女に、紗倉さんはおそるおそる視線を向ける。
「おお、本当に出てきたのか。外に出るなんて珍しいじゃん」
「うっさい。引きこもりなのはお互い様でしょ。私だって不登校気味だけどちゃんと学校行ってる。偉そうにすんな」
ばしばしとスニーカーで足を蹴られる。
その幼い声を聞いた紗倉さんは、やっぱりと目を丸くする。
ボーイッシュさただよう少女は紗倉さんの視線を受けて、つんと尖った態度を取りながらもぺこっと頭を下げた。
「リアルでははじめまして。ココア姉。私が、例のクルリです」
常森クルリの生い立ちは非常にややこしく、そしてかなり不憫な子である。
今から二年ほど前、紗倉さんが桜木ココアとしてデビューしたタイミングと同時期、とある企画が立ち上がった。
それはまだ中学生の子どもたちばかりを集めて、VTuberとしてデビューさせようというイカれ企画である。
パソコンやスマホの扱いに関して、どんどん低年齢化が進んでいる。そして幼い時期からVTuberとして教育、活動していけば優れたVTuberを輩出できるのではないか。そんなぶっ飛んだ企画だった。
僕がその企画に関わることになったのは、当時まだデビューして日が浅いとはいえ、中学生でありながらVTuberとして活動してそれなりの実績があったため。雨宿ソーダに案件として依頼があったからだ。
姉さんである雨宿マキア経由で来た話なのだが、姉さんもあまり気が進まないご様子だった。
当然だ。大人でさえその特殊な生業に続けることさえ狭き門だというのに、まだ十歳前後の子どもにVTuberなんていうネットで自分を露出させ続けることが長く続くわけもない。
そもそもその企画は、雨宿ソーダがうまくいってるみたいだからそれにあやかろうとやってきた大人たちの企みだった。僕の役割は年の近い幼いVTuberたちのコラボとフォロー、あとはメンタルケアとか。あとあとになってから次々に要望を出してくるものだから、姉さんはかなりご立腹だった。本当に、中学生になにを求めているんだって話。
結局、アバターと環境を用意して無理矢理デビューさせたはいいものの、案の定ほとんどの子どもがVTuberを続けることさえできずにトラブル続出。運営会社は親やリスナー、ネット界隈からクレームと問題提起の嵐。あげく、運営トップは数ヶ月も活動していないにも関わらず炎上ののちに、飛んでしまって音信不通。もう地獄のような企画だった。
ほとんどの子どもたちがVTuberをやめて去って行った中、一人だけ、運営が権利を放棄したアバターと機材をもらい受け、VTuberを続けた子がいた。
「それが、この常森クルリってわけ」
「ほ、ほえー……雨宮くんとクーちゃんの関係はそんなところから来てるんだ」
「昔の話よ。今となっていい思い出」
結構凄絶な話ではあるのだが、こんな風にあっけらかんと話せるやつだからこそ、あの地獄みたいな環境を生き抜いて現在でも活動できているのだろう。
とある駅前に集合した僕たちは、モカさんが予約していた趣あるお店を訪れていた。
落ち着いた雰囲気に包まれた料亭のような雰囲気の店内。静かな和の音楽が流れ、柔らかな照明が店内を雄大に照らしている。
高級も高級な焼き肉料理店である。僕たちみたいな一学生程度がおいそれと入れるお店ではなく、場違い感がやばい。
僕の隣に紗倉さんが座り、向かいにモカさんとクーがそれぞれ座っている。
「まあまあ、混み合った話はご飯を食べながら。はい、ではみなさんグラスを持ってくださいな」
モカさんに促され、僕たちは運ばれてきたグラスを持つ。
僕と紗倉さんはコーラ、クーはイチゴミルク、そして唯一成人しているモカさんはビールを持っていた。
モカさんはとてもとても嬉しそうな顔をして、ジョッキに並々と注がれたビールを掲げる。
「それでは、『クソガキヒーローズ』、VTuber勇者決定戦優勝を祝しまして、かんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
モカさんの音頭に会わせ、僕たちもそれぞれのグラスを掲げ、お互いに軽くぶつける。小気味よい音がなり、グラスの氷がカランと鳴る。
モカさんは一気にジョッキを煽り、ビールを半分ほどまで飲み干した。
「いやもうめでたいっ、これはめでたい! 今日は全部私のおごりだから、好きなだけ肉を食べてくれたまえ!」
優勝祝賀会をやろうと叩き起こされたのは、V優開催までに無茶な活動時間でゲームをし続けていた反動で連続二十時間くらい寝ていた午後だった。大会は土曜日で本日は日曜日。配信も休みにしてせっかく一日中眠っていられるかと思っていたのだが、突然の鬼電に渋々出てみれば、モカさんから焼き肉行くから出てこいと連絡があったのだ。
すでに紗倉さんやクーは捕まえられていたようで、しがみついていたベッドから体を起こすことになったのだ。
「こ、こんな高そうなお店、本当にごちそうになっていいんでしょうか……」
借りてきた猫のように縮こまっている紗倉さんは、居心地が悪そうにきょろきょろとしている。
「モカさんがおごってくれるって言うんだからご相伴にあずかりましょ。安心して、モカさんは僕たちの百倍は稼いでいるからお金には困ってない」
VTuber業界で最大手の企業所属で、YouTubeの登録者数でも三桁万人という限りなく上位のとんでも配信者。僕たちみたいな人間とは一緒にいること自体が相当場違いな状況である。
モカさんは早速酔い始めて赤く染まった頬をぷくーとむくれさせる。
「もうもう、そんなつまんないこと言いっこないしだぞ。今日の主役は君たちだっ。さあさあ、好きなだけ飲んで食べてくれたまえよ。では、お願いします!」
モカさんが声を上げると、和装女性たちが続々と部屋に現れる。そして中央のグリルやグラスなどをのぞいたスペースに、ところせましとお肉が並べられていく。彩りも欠かさぬよう、瑞々しい野菜や魚介も盛り付けられており、主役であるお肉の魅力を引き立てている。
「ここのお肉すっごいから! じゃんじゃん食べちゃって! 野菜もしっかり食べるんだぞ」
「私はポテトフライと唐揚げで。あとピザもあれば」
と、いきなりお肉以外のものを注文し始めるクー。
あー、いるいる、焼き肉屋さんですぐジャンクなもの食べ始めるやつ。というか、こんなお店でそんな食べ物、
「少々お持ちください」
あるんだ。もう怒られちまいなよ。
店員さんはまゆをぴくりとも動かさず承り、気品漂うたたずまいのまま部屋を出て行った。
モカさんは特に気にした様子もなく、早速トングで分厚い牛タンを持ち上げる。
「さあさあ、ソーダくんもココアちゃんも、遠慮なく食べちゃって! あ、ここのお店セキュリティばっちりだから、ばんばんVTuberのこと気にせず話してくれて大丈夫。うちの事務所御用達なの」
僕たちの話題はかたぎさんのお店では怖くて出すことができないというのはよくある話。モカさんが用意した場もあって、そのあたりも完璧である。
まあ、高級焼き肉店に猫耳パーカーできているやばい人なのだが。
そして始まったVTuber勇者決定戦優勝の打ち上げ。
本来、お高い焼き肉屋さんは少しずつ希少部位などを出して味わうようなお店が多いとか姉さんが言っていた。ただ、僕らは若いこともあってか、とりあえずたくさん食べられるお肉をじゃんじゃん出してもらっているご様子。
「お、おいしい……おいしいよこのお肉!」
目をきらきらさせながら紗倉さんが僕の肩をばしばしと叩いてくる。
「わかった。わかったから叩くのを止めて」
口に運ぼうとしていたカルビがあらぶって食べられない。
ようやく食べることができたカルビは、ほとんどかんでいないにもかかわらず、すっと口の中で溶けていく。かみしめるたびに、肉の中からジューシーなうまみが口に広がり、その味わいに心が満たされる。
姉さんにもときどきお高い店に連れ出されることがあるのだが、それでも間違いなく上位に入るおいしさ。
成人していればビールが進むところなのかもしれないが、学生の僕はコーラが進んでいく。
そして僕の向かいで成人しているようには見えないほど幼く見えるモカさんが、ジョッキをあおっている光景は違和感しかない。猫耳パーカーだし。
「ぷはぁっ! いやそれにしても三人ともよく優勝した! 私は嬉しい!」
「モカ姉、それもう六回目」
すでに酔いが回って久しいモカさんをたしなめながら、クーは大きな鶏の唐揚げをもぐもぐと食べている。
「まあ僕もまさか優勝できるとは思ってなかったから、たしかに嬉しいね。で、一応V優では結果を残せたけど、元メンバーの二人とは今後どうなりそうなの?」
もともと今回の助っ人参加は、クーのチームメイト二人をめぐってリスナーが喧嘩を始めたことにある。そして二人とも活動を自粛することになり、僕と紗倉さんが助っ人で呼ばれたわけだ。
「しばらくは距離を置く。リスナーはまだうるさく言うやつらがいるだろうけど、今また、以前みたいに遊んだらうるさくいう連中が出てくるから。ちょっとしたらしれっと配信しようって話してる」
「ん、まあそれがいいだろうね」
すん、と素面っぽく戻るモカさんがうんうんとうなずく。
やる気もない、強くもない連中で常森クルリが大会に出ても勝てるわけがない。
そんなことを息巻いていたリスナーたちも、助っ人で適当に連れてこられた高校生VTuberを含めて優勝するとは思わなかったはずだ。僕たちだって思わなかった。
「私あまり実感が沸かなかったんだけど、そのときってそんなにみんなに荒れてたんですか? 私の方にはそんなコメント、全然来てなかったですけど……」
「リスナーの人たちもまさか炎上してメンバー二人追い出すことになると思ってなかったみたいだね。クーもぶち切れて、これ以上バカなコメントをするようなら法的処置も取ると脅したから、僕のところにもあんまりそういうコメントはほとんど来てない、って言いたいけど、実際はちょこちょこ来てたみたいだけど」
「ああ、キリシマさんにお願いして、消してもらっていたんでしたっけ」
「そう、あまりにもひどいやつだけだけどね。キリシマさんにちょくちょく削除してもらっていた」
配信のコメントにはモデレーターという機能があり、権限を与えられたアカウントからコメントの削除やブロックができるのだ。
配信の切り抜きをしている桐也は僕たちのリアルを知っている。配信ついでにコメントの統制もやってもらう。コメントの監視まで行いながら、リアルタイムで切り抜きのネタを探す。桐也という男は本当にびっくりするほどマルチタスクに物事をこなすのだ。
実際僕や紗倉さんの配信にも過激なコメントはいくつかあったが、それは桐也に権限を渡してできる限り削除してもらったのだ。今度お礼にアニメ映画に付き合うことになっている。映画代とポップコーンセットで働いてくれる、結構付き合いのいいやつなんだ。
「私、配信でぶち切れたときに言ってやったのよ。じゃあ寄せ集めのチームで勝ってやるからって」
ぶっきらぼうに、分厚いステーキ肉を噛みちぎりながら、そしてクーは笑う。
「勝負なんてフタを開けてみるまでわからない。どれだけ人が成長できるかもわからない。ただ眺めているだけの外野が、画面の向こう側の私たちを一方的に殴ってんじゃねぇよ、ってね。リスナーのやつらに言ってやりたかったの。普段からSSもやってないソーダとココア姉みたいな人と組んで結果を残したら、うるさい連中も黙らせられる。だから、どうしても勝ちたかった。狙えるなら優勝が」
リスナーが聞けば軽く炎上しそうなことを吐くクーだが、クーの配信では割と普通にこれくらい言ってのける。それに、心の底から清々しそうなクーを見ると、特に咎める気にもならなかった。
「ク、クーちゃん強いね……」
紗倉さんは引きつった笑みを浮かべている。
「だってSSを全然ほとんどやっていないメンバー二人引き連れて優勝だよ? やいのやいの言ってたやつらもまさかこんな結果になるなんて思わないよね。ざまあみろって感じ」
「さすがにそこまで言うのはやめとき」
ちょっと言いすぎかなというラインまで超え始めるクー。
まあ実際、裏ではあれこれ言っているリスナーさんもいるらしい。
ただ僕たちの活動は聞いてくれる人あってのもの。あまり敵対するのはいい選択ではない。
「とにもかくにも、私の憂さ晴らしに付き合ってくれて、二人ともありがと」
ご満悦になったクーはやけに素直。僕たちに向かって笑顔でお礼を言ってきた。
幼いながらも、いや幼いから許されているかもしれないが、容赦なく無邪気にリスナーと殴り合う。裏表ないクーだからこそ、常森クルリというVTuberは成立しているのかもしれない。
「あ、そういえば一つ報告があるよ」
ジョッキを片手にグリルからお肉をつまみ上げながら、二カッとモカさんは笑った。
「クルリちゃんも雨宿家に入ることになったから」
「「……」」
僕と紗倉さんはそろって口が一文字。
お互いに顔を見合わせ、ぷるぷると首を振る。
「基本的に家族は自然増殖しないと思います」
「なに言ってんの? 三人で仲良くちょめちょめしてたじゃない」
「ちょ――!」
紗倉さんは顔を真っ赤にしながら僕とクーの顔を見比べる。どういう反応してるんだ。僕たちなにもないでしょ。
「ちょめちょめって、モカさん言い方が古いです。あとSSの大会をちょめちょめとか言わないでください」
「真希には確認を取っているわよ?」
雨宮真希子と雨宿マキア。モカさんのときもそうだったが、いつから姉さんの許可制になったんだ。たしかに家長は姉さんっぽいが。
モカさんは僕たちが疑問符と戯れていると、真っ赤に染まった頬を膨らませてクーに抱きついた。
「もー! クルリちゃんは今、しばらく友達と遊べなくなっちゃったのよ! かわいそうじゃないの!?」
「モカ姉酒臭い……」
当のちびっ子はすっごい嫌な顔をしてじたばたしている。
「学校で友だち作れよ。お前のゲームスキルがあればたいていのやつとは仲良くなれるって」
「嫌だよ中学なんてめんどくさい。親からも高校行けって言われてるけど、絶対に行きたくないし。学校で友だち作るなんて、あたしにはめんどくさいことばっかり。適当にやることだけやるにいくだけで十分。ねぇ、ココア姉だってそう思うでしょ?」
「わ、私? うーん、高校は大変なこともあるけど、それなりに楽しいこともあるよ。配信の話題も高校から得ること多いしね。私も中学は不登校長かったから、説得力ないけどね」
「モカさんを除いてここにいる三人が中学不登校経験者かー。本当にろくでもないなVTuber」
まあ僕たちを普通のVTuberのくくりにしていいのか怪しいものだが。
クーは三杯目になるイチゴミルクをストローでかき混ぜながら眉を寄せる。
「でも一人で配信ばっかりしてると、なんか変な気分になってくるしなぁ。高校かぁ……」
僕は少しの逡巡ののち、椅子に深々と腰を預けた。
「……まったく相変わらずさみしがり屋なんだから」
「だ、誰がさみしがり屋だ! わ、私は別に一人でも全然大丈夫なんだからね! でもモカ姉やマキア姉が雨宿家に入ればって言ってくれたから、今暇だから入ってもいいかなって思っただけ! ぜ、全然一人がさみしいからとかそんなじゃないから!」
憤慨とばかりに怒るクー。
「だ、だいたい私がVTuberになった企画だって、元はといえばマキア姉がソーダをデビューさせたことが発端なんだからね! あんたに味をしめた馬鹿な大人たちのせいだけど、あんたも無関係じゃないから!」
それを言われると少し申し訳ない気持ちもあるにはあるが。
「あと、SSでは盗られたけど、クソガキ担当を渡す気はないからね。私はこれ一本でやっていくって決めてるの」
よくわからないがすごく曲がった覚悟である。あとクソガキ担当は別にいらない。
「へいへい、まあいいんじゃない」
もうこうなりゃ何人増えても一緒だ。
雨宿家の始まりは紗倉さんのチャンネル登録者数を増やすことが目的。
せっかくVTuber勇者決定戦優勝というビッグタイトルを獲ったのだ。この波を逃す手はない。クーは十分チャンネル登録者数が多い配信者だし、コラボを重ねていけば導線も引きやすいだろう。
「あ、雨宮くん、いいの? なんか、私が思いつきでお願いしたことが、もう原形をとどめないくらい超進化している気がするけど……」
「大丈夫でしょ。唯一企業所属のモカさんがオッケーしてるなら。学生VTuberの寄り合い所みたいになってきたけど、コラボしやすくなるし宣伝もしやすいよ。SSの大会で優勝なんてしてしまったもんだから、SSをよくやっている配信者からコラボのお誘いも絶対来るよ。というかもう来てるでしょ? 容赦なくクーを連れて行ってやればいいから。SS界でクーの顔は広いから、お供に連れてってあげて」
まだ三ヶ月もたってないのに思いつきの寄り合い所が倍になっているのだ。紗倉さんの不安ももっともではある。暗黒進化していないだけましと思うしかない。
それに、僕としては雨宿家の人数が増えることは正直悪い話ではない。
今はまだ、それをみんなに伝えることは、やめておくけど。




