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第七十九話 とうとう同級生に、まで……

 生徒会室で、まったりと過ごし、ただただ時間が経過するのを……待っているのかと思いきや!

 まさかの麗華センパイからのキス!

 ちょ、麗華センパイ!?どうしたんですか!?

 チュッチュッと繰り返されていく麗華センパイからのキスに、軽くソファーを叩いてヘルプを求めるものの、すぐ近くにいるはずの南クンも灯チャンもほんのりを顔を赤らめて口をぱくぱくさせながら私と麗華センパイのキスシーンを眺めていた。……口を挟む暇みたいなものもなかったのかな。なにしろ、麗華センパイからのキスは、しつこい!深いし、一回一回が長い!なんで、先輩がこんなキスを知っているの!?っていうぐらいに、私にのしかかるように私をソファーに押してくるから逃げようにも逃げ方が無い!麗華センパイを無理に力づくで退かす!?そんなの無理だから!無理無理!麗華センパイに何かあったら大変じゃない!


「ふ、ふふっ……あぁ、やっぱり裕理さんとのキス……最高ですわ、ねぇ!」


 せ、先輩……?じゃっかん、目がイっちゃってませんか!?なんか、普段の冷静さは何処へ!?麗華センパイは待ってました!とばかりに、私とのキスに夢中。


「んーっ!!!」


 私は、言葉にならない言葉だか悲鳴だかを出したいものの、『んー、んー』と言ってるばかり。南クンも灯チャンもいるんですよ!?センパイ、生徒会副会長なんじゃないんですか!?堂々と、こんな……こんなことしていて良いんですか!?


「あら……イイ、顔ですこと……ふふっ、あ~ん……もっと、イジめて……欲しそうな顔をしていらっしゃいますわね!?」


「ち、ちが……っ……んんーっ!!!」


 断じてそんな顔はしていません!

 私の唇は、チュウッと音を立てながら麗華センパイに吸い付かれて、唇がじわじわと腫れたように感覚がおかしくなってくる。

 私の身の安全だとか、文化祭を無事に終えようって考えは今の麗華センパイの頭からは吹っ飛んでしまっているのかもしれない。だって、周りには他の生徒だっているのにも関わらず、まるで私だけが目の前にいるかのようにキスをしまくっている。

 唇に吸い付いてみたり、また深く角度を変えて唇を重ねては、私の呼吸そのものを奪われてしまうかのような麗華センパイとのキス。『はぁっ、はぁ……』と私は必死で息をしているというのに麗華センパイは何故そんなにも余裕なんだろう……。首筋にも顔を埋めてきて、口付けを落としてくる麗華センパイに、びくびくと体を震わせることしかできなかった。


「!ちょ、副会長!いい加減に!!」


 やっと南クンが我に返ってくれたのか、麗華センパイに手を伸ばすものの、そんな南クンの手を軽くぺしんと叩き落してしまう麗華センパイ。


「お黙りなさい……あなた方が、しっかりしていないから裕理さんは……こんな……キスマークだらけの体にされてしまったのですよ!?少しは反省なさい!」


 ぴしゃり、と南クンと灯チャンを叱るが……えーっと、ここでこの二人を叱るのって変なんじゃない?


「ひ、っ……だ、だって……わ、私だって……」


 灯チャンが小さく身を縮めてぷるぷる震えながらもそんな呟きをもらした。


「わ、私も!ゆ、裕理ちゃんと……いちゃいちゃシたい、ですっ!!」


「「「……」」」


 灯チャンが勇気を出して発した一言だったものの、つい私たちは黙り込んでしまった。え……灯チャンも!?

 麗華センパイからのしかかられている反対側に灯チャンが迫るとぎゅうっと私の腕に抱き着いてきた灯チャン。……えっと、ここは麗華センパイを止めてくれるわけでは、ないのね……できれば、麗華センパイを止めて欲しかった……。


「ゆ、裕理ちゃん!わ、私とも……私も!き、キスしたい!!」


「えーっと……」


 私は目を丸くしてしまうばかり。麗華センパイも同じような気持ちだったのか、ぽかんとした様子で灯チャンを見ていた。ちょっと離れた所にいる南クンだって灯チャンの言葉が意外だったかのようで目を丸くしていた。


「あ~ら、あなたみたいな方が裕理さんと?無理ですわね。だいたい、あなたキスの仕方、分かるのかしら!?」


 なんか、すっかり麗華センパイはキスの達人みたいな言い方をしているかもしれないけれど、麗華センパイとのキスは今回が初めてだ。そんな上から目線のように言われても灯チャンの闘志に火を付けてしまうばかりになっちゃうのでは……。


「で、できるもん!」


「は?ちょ……っ……」


 ぷるぷる小さく震えながらも私の額にチュッと口付けを落としてくる灯チャン。……な、なんか、可愛いキスをしてくるんだなあ……と純粋に思ってしまった。だって、だって!今までの人たちってキスって言えば、まず唇を合わせる!こればっかり考えているんだもん!そうそう!こういう純情なキスだって良いものだよね!もちろん対象は私でなくても良いんだけれどさ!!


「……ず、随分と可愛らしいことをするのですね……」


 もしかして灯チャンから物凄い濃厚なキスみたいなものを受けるのかとヒヤヒヤしていたものの、額やら頬やらにチュッと口付けてくる灯チャンに……無性に泣けてきそうになってしまった、私。でも、これで油断をしてしまったのがいけなかったんだろうか……次いで、灯チャンは私と静かに唇を合わせてきた。は……?さっきまでの可愛らしい純情なキスは!?いつも、おどおどしているような灯チャンは何処へ!?

 私の顔を逃がさない、とばかりに手で私の顔を固定しながら執拗に唇を合わせてくる灯チャンは、必死そのものだった。でも、長めの前髪がキスをするたびに揺れて、その隠れた灯チャンと目が合うと、ついついドキッとしてしまった。だって、私のようにどぎまぎしているのかと思えば灯チャンの目はとても真剣で、目で射抜かれてしまいそうになったから。


「わ、私も……ゆ、裕理ちゃんが、好き……だから……」


 ぷるぷる震えている灯チャンは唇も微かに震えているのか、合わさる唇からは不安そうな、怯えていそうな気持が唇から伝わってくるのだけれど……そろそろ、キスを止めてもらえないだろうか……私がそろそろギブアップなのだけれど……。


「ま、まあまあ!二人とも!そろそろ佐久間が死にそうだから!!」


 南クンの言葉に、ようやく体ごと離れてくれた麗華センパイと灯チャン。ようやく口が何にも邪魔されることなく呼吸することができるようになると、『はぁ、はぁ……』と荒い息を必死に落ち着かせていった。か、勘弁して……ホント。


 唇、腫れていないだろうか……うん、何とも無さそう……。まったく、麗華センパイも灯チャンまでも!こんなことをしてくるなんて!!……また、私、混乱しちゃうよ……。

 ちょっと一言でもモノ申してやろうかと思っていると麗華センパイのスマホに連絡が入ったみたい。メールとかじゃなくて、通話らしく、面倒くさがりながらも通話をしはじめると『はぁ?そんなの許しません!即刻お帰りいただいてください!』と何やら、雲行きが怪しい感じ……?まさか、文化祭をおこなっているこの学校に不審者でもあらわれたのだろうか。もしくは、如何にも怪しげな人が文化祭にやってきたのだろうか……。


「……すみませんが、ちょっと玄関まで行ってきます。他の生徒会メンバーもいるのですが、押しに負けそうなので……」


「……えっと、問題事、ですか?」


「裕理さんのメイドを見たがっているお客があらわれたみたいですわね。あなた方は、決してここからは移動せずに、ここにいてください」


 私たちは、麗華センパイの言葉に従ってこくこくと頷くことしかできなかった。……それにしても、早くない?この学校で文化祭をやっていること、どうやって突き止めたんだろう……。

 再度、私たちにここからは出ないように、とつげた麗華センパイは問題が起きる前に、と急いで生徒会室から出て行ってしまった。……大丈夫、だろうか……。

 灯チャンもやっちゃったね!!でも、念願だった裕理とのキス!楽しめたかな?ちょっとでも楽しめたのなら万々歳だぜぃ!!!


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