第五十二話 いざ視聴覚室へ!何がおこなわれているのか!?
二年生の丸子円さんの招待もあり、放課後、クラスメイトで仲良しの二人とも一緒に視聴覚室へ向かうことになった。
そもそも視聴覚室ってどんなことをする教室だったっけ?
向かうべき視聴覚室は二階みたい。
さあ、ファンクラブだかなんだか分からないけれど、どんなことをしているのか探ってやろうじゃないの!もし危ないことをしているのなら止めさせないとね!
「ここ、だよね?」
なーんか、教室内の雰囲気が怪しい?怪しいっていうか、他の理科室とか保健室とか、そういうのとは違う……えーっと、暗い?っていう感じ。放課後なのに電気は点いている様子が無いからよけいに暗く感じているのかもしれない。
「失礼しまーす。丸子さーん、一年の佐久間ですけれどー」
一応、ドアをノックしてから恐る恐るゆっくりとドアを開けると……
「え、暗っ!」
視聴覚室は窓が閉められ、カーテンが閉じられているだけでなくカーテンの上からさらに暗幕で部屋中が暗かった。どうりで暗いと思ったわけだ。
「おお!?その声は裕理殿ですな!?少々お待ちくだされ!」
「「くだされ??」」
あ。やっぱり気になるよね。私だって初めて聞いたときには独特な話し方にビックリしたもん。でも聞き慣れてくると一種の楽しさ。丸子さんの一部なのかなって思うと楽しく聞くことができた。
ガタガタと崩れそうな音が聞こえてきたが変に手を出すと余計にこの暗い教室のなかでは足手まといになりそうだったのでドア付近で丸子さんを待つことにした。
「お待たせしました!おや、そちらは裕理殿のクラスメイトさんたちですな!初めまして!二年の丸子円といいますぞ!」
「は、初めまして……土屋灯です」
「南修吾っす」
簡単な自己紹介、挨拶を交わすとまず不思議に思ったこの視聴覚室の状況についてたずねることにした。すると丸子さんは『これは暗室の代わりにしているのですよ!』とあっけらかんと答えた。
「暗室?」
「はい!写真の現像をするにはどうしても暗所が必要ゆえ、そこで視聴覚室を借りているのですよ」
現像って、それって素人がやすやすと手を出せるレベルじゃないような気が?もしかして丸子さんの写真ってかなり本格的なものになるんじゃ?
「現像?それってフィルムを写真屋に持っていくとしてくれるって言う、アレっすか?」
「南殿の思い浮かべているもので合っていると思われますぞ!自分はかれこれ写真に興味を持ち、現像を他人に任せるのは勿体ないと思い独学で学び、材料も用意して自分でするようになったのですよ!」
ほぇ~、と私を含む一年生たちからはなんとも言えない溜め息のような驚きのような声をあげていた。だって現像できる女子高校生なんて出会ったことがないんだもん。普通に驚くよね。
「え、えっと……奥に入っても、だ、大丈夫ですか?」
「おお!土屋殿も写真に興味が!?どうぞどうぞ!あ、ところどころ写真を置いていたり干していたりしますがお気になさらず!」
ずんずん、と奥に行ってしまう丸子さんに続き、どうやら写真に興味を持ってしまったらしい灯チャンもワクワクした様子で。そして未だにどんな活動をしているのかよく分かっていない私と南クンも続いて行った。
「あ。液体には気を付けてくだされ!興味を持っていただけると嬉しいことこの上ないのですが、下手をすると火傷をしてしまうこともあるゆえ観察だけでお願いしますぞ!」
や、火傷?
え、写真の現像ってそんな危険な行為と背中合わせだったの!?し、知らなかった。行く先々で丸子さんがこれらは特殊な液体になるのですが、これらがあるからこそ現像することができるのですよ!と無邪気に説明してくれた。本当に写真が好きなんだなぁ。
「お。これって……もしかして、佐久間の写真か?」
目が慣れなくてはっきりと見えないのだけれど乾燥中として干されている写真には私が映り込んでいるらしい。しかも、かなりの数が。
「裕理殿の写真は人気があるのです!いろいろな写真を勝手に撮影していたことは、その……申し訳なく思うのですが……被写体が素晴らしいのですよ!」
「被写体?」
「カメラ映りが良いといいますか、恰好良い写真になるといいますか……えーっと、今にも本当に笑って動きそうなぐらいの素敵な写真になるのですよ!」
どういうことだろう?私が唸っている反面、灯チャンと南クンは私をじっと見てから『なるほど』と納得しているようだった。え、理解できていないの私だけ!?テストの成績はかなり上の方なんだけれどね!
「おかげさまで我が校の生徒たちにはコアなファンもおり、新しい写真を撮るたびに買いたい欲しい!と言われるので基本的な材料の補充のため安価でお譲りしているのです」
「え、わ、私も欲しい!」
ちょいちょい!灯チャン!そこは言うところじゃないでしょう。
「へぇ。佐久間の写真か。日常的な写真とかばっかりなのか?なかにはちょいエロいのとか……」
「南ク~ン?」
「冗談だって冗談!」
ちょっと年頃の男子っぽさが垣間見えたところでみんなでおかしくなって笑ってしまった。だって本人を目の前にしながらそんなエロとか……普通口にする!?
「残念ながら南殿の期待には応えられませんなあ。ですが、もしも裕理殿の許可があればセクシーショットでも、今後撮影したいのですが!!」
「却下で、却下!」
えー、と不満な声をもらしたのは丸子さんだけではなかった。南クンも、そして驚くことに灯チャンさえも不満そうだったのだ。ちょ、だからおかしいよね!これ!
「あ。勝手に写真を撮影していたので被写体として少々の費用を裕理殿にお返ししようと思っているのですが……」
「お金?いらないいらない!だってあくまでも趣味……ファンクラブ?とかの活動で、危険っぽさは無さそうですし、いりませんよ」
「な、なんてお優しい!!!」
でも、私の写真がそんなに出回っているのか……そういうのって誰がどういう写真を買っていたりするのかなってことは分かったりするのかな?いわゆる、帳簿みたいなヤツ。
「買った枚数などはきちんと記載しておりますぞ。それから基本的な連絡先ぐらいは把握しておりますゆえ」
それを聞いたら一気に安心した、かも。誰だって自分の分からないところで写真の売買がおこなわれていたり、撮影されていたりしたら嫌だもん。でも、こうやって聞いて納得もできたし、ひとまずは……このまま好きに活動させていても良い、かな?なんて思ってる。
「セクシーショットが撮れましたら南殿に連絡させていただきますぞ!」
「お、まじっすか!ラッキー!」
「だから、そこ!そういう写真はダメだからね!」
茶目っ気のようなものもあるのかな。丸子さんは単なる写真好きってだけじゃなくて面白楽しい先輩のようだ。
暗かった視聴覚室から出ると目がシパシパする。それにしても薄暗いなかでの作業かあ、大変そうだなぁ。
「一人で作業するのはすげぇよな」
「裕理ちゃんの写真、裕理ちゃんの写真!」
『新たな出会いに感謝しますぞ!』と別れ際に灯チャンに一枚の写真を渡していた丸子さん。その写真を横からこっそり覗いてみると体育祭のときにリレーで活躍したときの満面な笑みを浮かべている私を捉えている写真だった。すご……全然ブレたりしていないし、撮影も上手なんだなぁ。
「ま、佐久間のいろいろな写真に期待ってことで」
ニッと笑っているが絶対セクシーショットなるものを期待しているだろう南クンの背中を軽く叩いておいた。
写真が好きな女子高校生かあ。一人で用意して、一人で作業して、凄いなぁ。残念ながらファンクラブなるものの活動は今日見ることはできなかったのだけれど複数の生徒が集まってどんなことをしているのか凄く気になるなぁ。その活動は、健全なものであることを祈る!!
視聴覚室、を登場させてみることで『懐かしい!』と自分でも考えていました。あれ、でも視聴覚室って今でもあるのでしょうか!?もしかして、無い!?昔はあったのに、今は無くなっているものって多いですもんねぇ……。って、年寄発言でしたでしょうか!?
とにかく怪しげなものではなく、あくまでも趣味を楽しんでいる丸子さんに好意的な主人公チャンは取り敢えず好きにさせるみたいです。甘いな……。
日常も良いのですが、絡みやらラブコメ的なものも!!と考えているのですが、詰め込むのが大変ですね。作者のみなさん尊敬します!そして全読者のみなさまには愛と感謝を!!!良ければ『ブックマーク』や『評価』などもしていただけると幸いです!




