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第四話 美のエスコート

 案内してくれることになったのはなんと生徒会長の世月亜里沙よづきありさセンパイ!

 こんな美人生徒会長を数時間とはいえ独占してしまって良いのかな?転校生の私が……あとで何かトラブルに発展しなければいいんだけれど。

 それにしても……登校してきたときから思ってたんだけど綺麗な校舎なんだよねぇ。あ、校舎自体も築年数があまり経ってなさそうな新しそうな外壁や造りはもちろんのこと……敷地よ!敷地内がとっても綺麗だと思ったの!

 亜里沙センパイと職員室へレッツ・ゴー!


 亜里沙センパイの説明もあって、クラス担任となる教師(これまた美女先生だった!)美影尚みかげなお先生に今日から正式に転校する挨拶と昼までは亜里沙センパイのエスコートのもと授業に参加するのは午後からだという話をさせてもらった。


 職員室から廊下に出るとやけに廊下が暗く感じられた。


 だって職員室内が眩しかったんだもん!

 あ、教師陣たちの頭の髪の毛が寂しそうで光っていたとか、脂ぎっしゅでテカっていたとかいう意味ではあ・り・ま・せ・ん!

 決して!

 むしろその逆……というか全体的に年齢層が若い!

 男性教師はどこから連れてきた?!と言わんばかりに若々しくてエネルギッシュ。

 そして女性教師人たちは『美』のつく女性陣が勢ぞろいしていたからだ。


 『美人』『美魔女』『美熟女』的な……!


 さすがに見慣れている亜里沙センパイは何でもないふうに会話をしているけれど私はいろいろな意味で心臓がバクバクでした!!

 廊下に出てもまだクラクラする気が……きっと緊張だけではないはず。


 『美』の持つ魔力は凄まじいっていうのはゲームとかの話だけかと思っていたけど現実でもやっぱり凄かった!



「美影先生は現代文も担当しているけど他の科目でも基本的なことなら受け答えしてくれる優秀な先生よ。それに生徒からの信頼も高いから何か悩み事があれば相談にも対応してくれるわ」

「おおー!というか美影センセーだけでなく他の先生たちも……何というか生徒たちから人気そうですね」

「あー……それは、まぁ、うん……わかる気がするわね」


 同じことを考えていた。

 そう思うとつい我慢ができなくてなんと二人同じタイミングで、ふっと笑いはじめてしまったのだ。


 世間一般での生徒会長のイメージは、とにかく真面目が最初にくる気がする。

 でも、亜里沙センパイは真剣なところはもちろんそうだけど、気が合いやすいっていうか、とにかく話しやすい。

 この人のいる学校に来て良かったー!


 まぁ、同学年の生徒や他の学年の生徒たちもどうかはまだ分からないけれど……。



 キーンコーンカーンコーン!


 お、このチャイムが鳴ったということはこれからHRか授業のはじまりだろうか。


「このチャイムはHRね。時間にびしっと厳しい先生もいるけど、なかにはちょっと緩い先生もいたりするからクラスによって大事なお知らせが遅れることもたまに、あるみたい……」


 亜里沙センパイは何も悪くはないのに、どこか申し訳なさそうに言うものだから慌てて両手を振って、ついでに顔も左右に動かした。


「なんで亜里沙センパイがそんなふうに言うんですか?……もしかして生徒会長だからって気にしてたり?もしそうだったら生徒会長がそこまで気にすることはないですよってことですよ!」


 

「それにしても綺麗な校舎ですよね……学校自体は結構昔からあるんですよね?改築とか多いんでしょうか……うわ、窓も廊下もピカピカですし」


 思わず頬擦り……までは、したくない。

 けれど、それほどまでに綺麗で掃除が行き届いているのだと分かる。

 時間帯によっては日光の反射で窓とか廊下に自分の顔が反射して映りそうだし。


「今の校長先生が見た目を結構重視するタイプでね。学校の敷地は校舎のなかも外も整えておかなきゃだめ!って感じなのよ。もちろん教室とかは生徒たちが掃除するんだけど休日になると専門の業者さんを呼んで校舎内外を整えてくれているみたい」


 納得。


 そりゃあここまで綺麗になるはずだ。


 逆に元いた学校の汚さを思い出すとげんなりしてしまった私は前の学校は掃除もろくにできない生徒ばかりで埃だらけの教室だったんですよー、と苦笑いしながら話した。

 すると元いた学校のことが気になったらしい亜里沙センパイが人間関係のことではなく、あくまでどういった校風だったのか、どんな教師が授業をおこなっていたのか、という質問をしながらも基本的な教室が連なる一階、二階、そして三階と案内していってくれた。


 あまりにも話をしているというのにスムーズに案内されていくから「まさか話を聞くふりをしているんじゃ?」と不安に思ったものの会話はじゅうぶんに成り立っていた。


 そして最終的に案内されたのは屋上だった。


 ギィィィィ……


 少々重めな扉を開けると青空が!


 一気に体に染み渡る解放感!!


「気持ちいいですねぇ!!さすが屋上!!天気も良いから過ごしやすいです!」


「屋上も基本的に行き来が自由になってるの。お昼時間とか放課後にはちょっとした集まりのペースって感じね。一階にあった学食は昼食メインだし、放課後に行っても使えるのは自販機ぐらい。購買で必要なものを買ってそこで各々好きな場所で過ごすことが多いわね。天気が悪かったり冷え込んでくると教室で過ごす生徒が多くなるのよ」


 今やクラスには寒冷エアコンが常備されているから使用も生徒の自由。


 これからはお昼ご飯や空き時間をどこで過ごしていくかが悩みの種になりそうだなぁ。


「……ん?あ、あれは?花壇、ですかね?亜里沙センパイ、あそこも業者さんが手入れを?」



 ふと視界に入ってきた花が連なる景色に笑みがこぼれていく。

 花も良いなぁ。

 ママが結構花好きだったし、庭にも花壇作ってるから業者さんがいるなら手入れの方法とか教えてもらおうかな。


「あの花壇なら緑化委員の生徒たちが整えてるわよ」

「え、生徒たちだけで、ですか?!」


 屋上からだと間近に見られないのが残念だが、いや、ここから見下ろしてもじゅうぶんに綺麗な花壇だと思う。


「凄いですね。緑のプロって感じで!緑化委員の人たちって器用なんでしょうか、機会があったら花の話とかしてみたいですね!」

「裕理ちゃん花が好きなの?」

「えぇ、もちろん!綺麗ですし、いろいろな種類もあって年中楽しめるじゃないですか」


 緑化委員、か。

 よし、覚えておこう!



「一応、最低限の案内はできたつもりだけど、これから不安なこととかないかしら?あ、もちろん知らない人たちばかりだから不安っていう気持ちは理解できるつもりなんだけれど……私は三年だし、ずっと近くにいられるわけじゃないものね……」

「え、大丈夫ですよ!もちろん良い友人もみつけられたら万々歳ですけど、それまでは亜里沙センパイをめちゃくちゃ頼りにしてるんで?」


 にしし、と悪戯っぽい笑みを向けると目を丸くした亜里沙センパイはやれやれといった感じで肩をすくめてみせた。

 それでも心の底から嫌そうにしているわけでもなく、困っている子を放って置けない様子で……


「はいはい、お姉さんに任せておきなさい。あ、だったら連絡先交換しても良いかしら?いろいろ立場も違うけれどそれでも何かあったら力になるから」

「はい、よろしくお願いします!」


 世月亜里沙センパイの連絡先をゲットした。


 この流れで昼食時間を迎えることになり、二人そろってお弁当を持参していたため屋上でのんびりとくつろぎながらお弁当タイムを過ごすことになった。

 そのさなか同じくお昼タイムを満喫すべく他の生徒たちも何人か屋上に顔を出した。そのときちらりと私に視線が向けられたものの隣にいた亜里沙センパイに気付くと軽く会釈だけをしてやり過ごしていった。

 先にいた私たちとは距離を置いた場所にてそれぞれのお昼ご飯を楽しんでいた。


 う~ん、今日もママのお弁当は美味しい!

 出来立てももちろん美味しいけれどこれだけ時間が経っていても美味しいのは愛情たっぷりに包まれているからかもしれない。


 なんとなく家族の話をしてみたり、(特に兄貴が口うるさいという話題を多めにしておいた)校則についての話をしているとあっという間にお昼休憩も終了。

 これから数十分後には午後の授業が始まる。


 授業、授業……。

 忘れ物は特になかったはず……よし!


「佐久間裕理です、よろしくお願いします……佐久間裕理です、よろしくお願いします……」


 ぶつぶつと小声を出していれば嫌でも近くにいる亜里沙センパイには聞こえてしまうわけで……



「……ふっ、もしかして……自己紹介の練習?」

「わ!い、一応しておこうかなー……と」


 うわ、こういうのって聞かれると結構恥ずかしいものだな。

 照れるーっ!!


 って、あれ。

 ここ、三階ですけど?亜里沙センパイ??

 三階は基本的に一年生の教室と一部の移動教室がある階だったはず。

 だけど亜里沙センパイはしばらく下の階に行こうとしないんだよね……しかもじっと見られてるんだけど。


「えーっと、亜里沙センパイ?何か……?」

「……ううん、何も?それじゃ午後から頑張ってね。何かあったらいつでも連絡して?」


 片手にスマホを持ち、お茶目にウインクを向けるとすっと私の近くから離れて今度こそ自分の教室へと向かうべく階段を下りて行った。


 え、なんだったんだろう。

 凄い気になる。


 もしかして、何かやらかした??


 えーっと、えーっと特に変な話はしてなかったはず……多少、兄貴への愚痴が多かったぐらいで。


 よし、授業がはじまる前に教室へ……入っているべきなのだろうか?

 まずったー!!!

 こういうときってセンセーから呼ばれるんだっけ?それとも既に教室のなかにいるべき?


 うろうろ……うろうろ……


 私のクラス……の扉の前で、つまりは廊下でうろうろしていると突然


 ガラッ


「おーい、佐久間!何してるの?早く来なさいな」


 静かな廊下に響く扉が開く音と、クラス担任の美影尚センセーの声が響いた。

 ここまで見ていただきありがとうございます。

 第四話に突入。ですが、今回はあまりいろいろと詮索せずにまったりとした時間を過ごさせていただいたつもり、です。

 緑化委員、私も懐かしい響きでして登場!さて緑化委員のキャラクターは登場するのでしょうか?!


 もしもGL作品に興味、もしくは今回の作品に少しでも面白さや感動することがありましたら、ブックマークと評価をしていただけますとますます気合いが入ります!

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