第三十九話 弱々系男子(違うし)は毒舌家で(普通でしょ)独占欲も強いようです!
ずっとこのままーーー
僕がどう抗ったところでアイツらの腕っぷしには敵わない。だから大人しく従うしかないんだ。そうしてればこれ以上酷い目に遭うこともないだろうから。それでいい……このままで……
と、今までの僕のことを今の僕はぶん殴りたい気持ちになった。正直されるがままの自分に吐き気も感じた。そんなふうに思えるようになったのは一人の女子生徒との出会いのおかげだ。
彼女がいたおかげで僕は最悪の学生生活から脱することができたのだから。
~桜井遥の場合~
眼鏡を掛けているだけで優等生扱い。
実際に成績は上の方だけれど、ぶっちゃけ言うとここの学校のレベルはそれほどまでに高くはないんじゃない?コツコツと毎日のように勉強をしなくたってテスト前にちょっと詰め込んでおけば大抵の点を取ることはできた。
でも、成績が良いことと眼鏡は関係ないんじゃない?
僕だって好きで眼鏡をかけているわけじゃないんだから。いい加減、眼鏡=頭が良いっていう認識はやめた方が良いと思う。
目元のホクロがセクシー?
はぁー……誰が言い出したのか忘れちゃったけれどそんなこと言われても僕は全然嬉しくないからね。だいたい人間はいろんなところにホクロってあるもんでしょ。なんで目元にあるってだけでセクシーになるわけ?意味が分からない。
大人しそうだから純情そう?
僕だって一応年頃の男子高校生だってこと分かって言ってるのかな?僕だってそれなりの性欲もあるし、今時『純情』って言葉に当てはまる高校生がいると思ってる?まったくバカじゃない?
いろいろ文句を言いたいことだらけの僕が他人から見られている特徴。
っていうか、眼鏡生活って目もそこそこ疲れるし、いい加減コンタクトに変えようかな。最近、ちょっとした出会いってヤツもあったし、僕の心にも変化があった。これを機に見た目もちょっと変えてみようか。そうしたら彼女はどんなふうに僕を見るんだろう?
ちょっとしたきっかけで出会うことになった一年生の女子生徒。
一年生に転校生がきたっていう話は聞いたことがあったけれど、それが彼女だったなんて最初は思わなかった。どこにでもいる普通の……でも、ちょっと正義感が強そうで芯が真っすぐに伸びていて素敵な女子生徒。最初に出会ったときには、もう二度と出会うことなんて無いと淡い期待は抱かずに同級生とは名ばかりの不良たちからいびられる生活。
次は何をさせられるのか……花壇、植物たちには悪いことをした。花にも命があるから。でも抗えなかった自分が情けなかった。数が多いってだけで何も抵抗できない自分にも情けなさがあったし、これからどうにかしようって気合いを入れることもできずに平穏な学生生活を諦めかけていた自分にも情けなさが募った。
二度目に彼女に出会ったとき、信じられないほどに鼓動が速くなった。肩を借りながら保健室へ向かうとき、こんなに華奢に見えるのにとても堂々としていて、ちょっと力を入れたら折れてしまいそうに見えるのに凄く心惹かれたことはまだ記憶に新しい。
保健室でちょっとした事故がおこり、僕はベッドへと彼女に押し倒されてしまったわけだけれど制服越しに感じた彼女の温もりはとても暖かくて、ちょっと良い匂いもした。いや、良い匂いって変態みたいじゃなくて、健康的でお日様をじゅうぶんに受けた洗濯もののような良い匂いだってこと。できることならもうちょっとこのままでいても良いかな……なんて思っていたぐらいだ。
流れ流れに乗ってしまって僕の境遇を知った彼女は僕を助けるとまで言い出した。こんな女子生徒一人に何ができるんだろうか?絶対に無理だ、と思った。でも、彼女は無理だと思う気持ちをぶち壊してくる恰好良い女子生徒だった。また僕の鼓動が音を立てて鳴っていた気がする。
さすがに面識のない三年生の上級生や彼女のクラス担任の先生までもが集まってくると(彼女は顔が広いのだろうか?)いろいろな意味で緊張してしまったがやっぱり僕の境遇なんてどうにもなりゃしない。そう思った。
でも、彼女は違った。最後まで諦めないつもりらしい。幸いなことに彼女の父親は弁護士だった。相談すれば少しはまともな学生生活に戻れるだろうか?もしそうなったら、僕の鼓動の意味をしっかりと考える余裕も生まれるかもしれない。
話は着々と進み、なんと僕に絡んでいた奴ら全員が退学処分を受けることになった。なかには処分を免れようとしていたヤツもいたみたいだったが、敏腕弁護士らしい彼女の父親には敵わなかったらしい。凄い家庭に生まれたな。
うん。
やっぱり、そうかも。
ちょっとした出会いをしただけだというのに僕のことを助けてくれた彼女。佐久間裕理。きっと出会ったときから少なからず心惹かれていたんだろう。もちろん今となってははっきり口に出すことができる。
僕は裕理のことが好きなんだよね。
でも、今はまだはっきりとは言ってあげない。僕もここのところ不調が続いていたから体もしっかり休め、心も落ち着かせる必要がある。それに、恰好良い彼女の隣に立つのであれば僕ももっと恰好良くならないとね。女子よりも男子が恰好悪いだなんて……それこそ情けないでしょ?
今から筋トレなんて面倒くさそうだから絶対にしたくない。それでも、平穏な生活になったのだからちょっとは健康的になった方が良い。彼女がくずれ落ちそうになったら、すぐに支えてあげられるように。彼女が何かに躓いたとき、優しく手を差し伸べて引っ張り上げてあげられるように。
やっぱり眼鏡は外そう。
いろいろと邪魔な気がする。
コンタクトは今まで付けたことが無いけれど、慣れればきっと何でもないはずだ。
筋トレ……いや、やっぱ面倒だな。
一年の階までいちいち会いに行くのは面倒だけれど(きっと連絡をすれば彼女の方から会いに来てくれるかもしれないが)仕方ない……もう少し三食きちんと食べるようにするか。栄養さえ取れれば最低限のモノを口にしていれば良いかぐらいに考えていたけれど……もうちょっとマシな食生活に切り替えよう。
あ。
僕って結構独占欲も強いし、決めた目標は果たす人間だから。
だから、裕理?僕の許可無く勝手に恋人なんて作らないでよ?僕が恋人になるから、これ予告で決定事項だから。だからそれまでは寂しい思いをさせることもあるかもしれないけれど未来を楽しみに良い子で待っててよ?
僕以外の人間にドキドキしたりしないで、もちろん隙なんてみせたりしないでよ?
隙があったら僕は場所も時間も関係無く手、出しに行くからね。あ、お仕置きとして裕理からチューしてもらうのも楽しそうかも?ふふ、裕理と出会えて良かった。
もちろん感謝はしているよ?でも、それとは別に裕理に惹かれちゃったんだから仕方ないよね。裕理は魅力的だからきっと周りだって黙っちゃいないんだろうけれど……そんなこと知らないよ。一学年、僕が早く生まれてきちゃったのは残念だけれど、その分僕からはたくさんの愛で裕理を満たしてあげる。
毎度おなじみ(?)他キャラクター視点でのお話になりました。
意外と心のなかではどう思っているのか考えているのか分からないものですから他キャラクター視点で書くときはノリノリで書かせていただいています!
大人しそうに見える真面目眼鏡クン(遥)は毒舌で縛られるものがなくなったら独占欲も全開にしていきたいなぁと考えています。一風変わったキャラクターですが、好みに加えていただけますと幸いです!
物語やキャラクターに興味を抱いていただけるようでしたら『ブックマーク』や『評価』などなどしていただけますと幸いです!もちろんご感想だっていつでもお待ちしております!




