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第三話 美人生徒会長の疑惑

 生徒会長の世月亜里沙よづきありさです。

 いよいよ転校生が来る日が来たわ!ちょっと不安だったのは校長先生たちが転校生のことを問題児扱いしているようなの。

 だからちょっとだけ探りを入れてみようかしら。

 でも、例え多少問題があったとしても私は見捨てるようなことはしないわ。少しずつでも更生させて良い学生生活を送れるようにするんだから!

 ~世月亜里沙視点~


 今日から我が校に転校生が来ることになっています。

 ただ、校長先生や教頭先生が言うには少々問題があるようで……。

 どんなに私が質問しても、それを詳しくは教えてくれません。


 はぁ、困ったわね……。


 どんな子なのか、そしてどんな問題を抱えているのか分からないと私としても対処の仕様ができないじゃない。

 それにもしも不良生徒ならば我が校にてトラブルなんて起こさせたくはないもの。

 少しでも更生させてより良い学生生活を送ってもらいたいわ。


 一応、私は現時点において全生徒の名前と顔は把握できているの。

 これを世間からすると「すごっ!!!」って言われているんだけれど、そんなに凄いことなのかしら?だって生徒会長である自分と同じ校舎で学んでいる生徒たちなのよ?

 もしかしたら悩み事相談があって声をかけられることもあるかもしれないじゃない?


 そんなときに「あら、あなた何年生?」って話しかけるよりも、「あら、あなた一年生の〇〇さんよね?どうしたの?」って話しかけた方が相手としてもすんなり悩み事を打ち明けてくれるんじゃないかしら?(それだけは無いと思う……)


 得意ってことでもないけれど、すぐに人の名前と顔を覚えられることで今まで不自由したことはないわ。

 だから事前に校長先生にお願いして、転校生のプロフィール用紙(もちろん顔写真付き)を拝見したの。

 だけれど……


 以前いた学校を『退学処分』?

 理由は……残念ながら詳細は記載されていないわね。


 校長先生たちがやきもきしていたのは、どうやらトラブルは日常茶飯事で喧嘩沙汰になることも多い生徒らしく、教育委員会でも問題にあがっていたとかなんとか……。


 それ、本当なのかしら?


 確かに人間、見た目だけで判断することはできないけれど、この顔写真をみるかぎり不良生徒っていう枠には当てはまらないような気がするのよね。

 喧嘩が多いって噂されているようだけれど、顔に怪我なんて一つも無さそうな綺麗な顔をしているみたい。(この写真がいつ撮られたものなのかは分からないけれど……)


 ちょっとワルな人って、こう……目つきが鋭いっていうのかしら。

 目が合ったら弱者は逃げ出す、とか……あくまで不良のイメージだけれど。


 この子からはそんな雰囲気、感じられない……というか、合わないのよね、イメージに。


 とにかく、今まで考えていたことはあくまでも他者からの噂で勝手につくりあげてしまったイメージ、イメージなのよ!

 本物はこれから実際に会うのだからそのときにでも確認すれば良いだけのことよ!


 よ、よし!

 あと一時間ぐらいで来るかしら……どんな転校生か気になって昨夜は少し睡眠不足気味だけれど、大丈夫大丈夫!

 大きく深呼吸をしてー……


「あ、生徒会長だ!おはようございます!」

「!あら、おはよう!」


 って落ち着いて深呼吸する暇もなかったわね。


 そうだわ、そろそろ多くの生徒たちが登校してくる時間のラッシュ!


 他の生徒にまざって見つかりませんでした……なんてオチは出だしとしては最悪よ!


 しっかりと登校してくる生徒一人一人の顔をチェックしながら挨拶してくる生徒には内心少しだけ抱いている焦りを感じさせないようににこりと笑って応えてあげる。

 これが全校生徒が期待を寄せる生徒会長の姿!


 ……っと、あら、あらら?


 我が校の制服に着させられている感じの女子がいるわね……って、転校生本人じゃない!

 え、まだ時間には余裕があるはずだけれど、早いのねぇ……感心!っじゃなくて、スルーされてしまう前に声をかけないと!


 たしか名前はー……


「佐久間さん、佐久間裕理さん?」


 そう、彼女の名前は既に確認済。

 佐久間裕理さくまゆうり一年生。


 まだ着崩れていない制服に着させられているって感じがどことなく幼っぽさを感じさせているわね。

 見た目だけでは活発そうだけれど、案外お子様な部分もあったりするのかしら?



 やっぱり彼女のイメージは不良に似つかわしくない。

 こちらの話はきちんと聞いているし、応えるべきときにはきちんと答えてくれる。


 髪も不自然に染めたりしているわけでもないし、とても健康的で……ってあんまりじろじろ見ていたら変態に思われるかしら……こほん。


 ま、まだ一年生……よね?

 その、正直なところ同性からみても羨ましいスタイルをしていると思う。

 やけに男子から向けられる視線がいつもよりも多い気がしたけれど転校生がいたからなんだわ。

 納得。


 でも、向けられる視線のなかに女子たちも混ざっているのよね。

 転校生の幼さのようなもの……?

 他の生徒たちは転校生が問題視されているなんてことは知らないはずだからにじみ出ている魅力のようなものでも惹きつけているのかしら?


 知らない人からすれば雑誌の撮影かなにかで我が校の制服を身に付けているモデルさんのようにも見えなくないもの。



 っと、雑念が酷いわね。

 落ち着け……落ち着きなさい、世月亜里沙。

 生徒会長として第一印象が恥ずかしくないようにふるまわなくては!



「佐久間裕理です。これからよろしくお願いします!」


 きちっとした姿勢に、本当に喧嘩なんてする子なのかしら?と今一度疑問に思ってしまった。


「よろしく。あ、私のことは亜里沙で大丈夫よ?裕理ちゃんと呼んでも大丈夫かしら?」



 礼儀正しい。

 その言葉につきる生徒の一人、というイメージが私のなかでは定着した。


 そしてこの子は不良生徒なんかじゃない、と心のなかで印鑑を押すように『良き生徒』と花丸を押した。



「亜里沙センパイ……はい!私のほうも、お好きにどうぞ!」


 『センパイ』

 一年生の彼女だから当たり前なのかもしれないけれど、私の場合は『センパイ』って呼ばれることよりも『生徒会長』と呼ばれることが多いからなんだか新鮮な気持ちになった。


 センパイ、センパイ……。

 良い響きね!!!

 もっと呼んでほしい!


 そして本日の予定をざっと知らせると、まさか生徒会長自ら転校生の案内をするとは思わなかったのか多少なりとも驚いたようだったけれどこの子のことを知るには良いチャンスになるかもしれない。


 もしも見えにくいところで悪さをしようものなら、もちろん叱ってあげなければならない。

 でも、そんなときがやってくるのかしら?


 これは、しばらくの間見守る必要があるかもしれないわね。


 か、監視とかではないわよ?

 これは、あくまでも我が校で悪さを起こして欲しくないという生徒会長からの意見なの!


 今まで過ごしているかぎり、我が校でトラブルらしいトラブルは起こされていないけれど……人間、見えないところでは何をしているか分からないものね。


 だから……よ、予防のためでもあるのよ!


 転校生がいきなり何か起こしたら孤立状態になってしまうじゃない?

 そうなったら周りは知らない人オンリー。

 一人ぼっちの裕理ちゃん……。


 可哀想じゃないの!


 学年の壁が、今回ばかりは小憎らしいわね。

 あ、でも生徒会長だからこそ今回案内役に買って出ることができたのだから良かったのかしら?



 私は昨夜の睡眠不足で気持ちが変な方向にハイになっているのか雑念がしばらく消えないまま佐久間裕理と一緒に職員室に向かうことにした。

 せっかく登場してきたので生徒会長、世月亜里沙視点でお送りさせていただきました。

 女神女神!と主人公は憧れているようでしたが、亜里沙は亜里沙で緊張していたようですね……ふふふ。これでラブに発展してくれればもっと良いので・す・が!!!


 

 さて、いよいよ主人公が校舎案内をされていきます!新たなキャラクターは登場するのか、しないのか?!!お楽しみください!


 もしもGL作品に興味、もしくは今回の作品に少しでも面白さや感動することがありましたら、ブックマークと評価をしていただけますとますます気合いが入ります!

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