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第二話 佐久間裕理です、よろしくお願いします!

 退学処分を受けた佐久間裕理さくまゆうり

 いよいよ、新しい学校への転校初日を迎えることに!

 胸はもちろんドキドキわくわくよ!

 どんな友人を巡り合えるのか、今から楽しみだわ!

 元いたところの制服は女子はセーラー服に紺のスカートだった。

 もうそれに袖を通すことはないだろう。


 数日前に特に何かを思うこともなく燃えるゴミとして処分したところだ。


 そしてこれから通うことになる学校の制服。


 男女ともにブレザータイプで、シャツには男女ともにネクタイを着用することがマナーらしい。

 そのネクタイは学年ごとに色が分かれているらしく、一年である自分が付けるネクタイは赤だった。


 高級スーツなどを手掛けている仕立て屋にまで足を運んで(手続き、支払い全て父がおこなってくれたらしい)私の体のサイズに合った制服が仕上がったときにはつい目を潤ませかけてしまったぐらいだ。


 そして下半身に履くスカート(男子はもちろんパンツスタイル)だが、おしゃれな模様が入れられている。チェック模様だけでなく、細いカラーが入れられていてオシャレな制服ランキングトップを飾っていてもおかしくないだろう。

 ただ、逆を言えばこの制服を着ているときに問題を起こせば、すぐに学校名も知られてしまうということだ。


 トラブルを起こさないことが一番!

 だけれど、制服を着用しているときにはより一層の注意を払ったほうが良いのかもしれない。


「あら、裕理ちゃん!よく似合ってるわね!素敵よ!可愛い~!」


 新しい制服に着替えた私がリビングに顔を出すとキッチンから顔を出してくれたゆるふわ系の母が感激したように感想を述べてくれた。


「……おはよう。あぁ、今日からか。……スカート、短くないか?」


 次いで兄貴が大あくびをしながらリビングに顔を出すと制服姿の私を上から下まで眺めてから足元をじーっくりと眺めていることに気が付いた。


「もう、圭ちゃんったら!裕理ちゃんも高校生なのよ?これぐらい普通よねぇ~?」


 普通が分からないのがイタイところだが……。

 このサイズで仕立ててくれたのだから今更文句を言っても無駄だろう。


「はい、お弁当。今日は確かお昼までは学校案内ばかりだったかしら?」


 そうだ。

 今日の私の予定。

 実は、転校して軽く挨拶を終えたらすぐに授業に参加する……と考えていたから心持ちとしてそう意気込んでいたのだが、在籍している一人の生徒の授業時間を犠牲にしてまでも私に校内案内をしてくれるという特別サービスを受けることになっているのだ。


 その案内をしてくれる人がどんな人なのか分からないことが不安だった。

 面倒くさがりで授業をさぼれるから、という理由だけで案内してくれるような人だったらどうしよう……。

 私は一年だからできれば気軽にお喋りできるように一年生の案内をお願いしたいところだ。


 そして午後からの授業には私も参加できるらしい。


 友人を見つけるチャンスもどうやら午後からになりそうだ。

 あ、もちろん案内してくれる生徒も気が合いそうだったら仲良くなってみたいものだ。



「……大学までの道は同じだし、送るか?」


 兄貴からの優しい提案は嬉しいものの、これからは通学路をきちんと覚えていかなければいけないわけだし、迷子になるわけにもいかない。

 自宅から遠い位置にあるわけでも、道が分かりにくいわけでもないのだからここは自分一人で行くことを選択した。


「気を付けてね、裕理ちゃん。何かあったらすぐに連絡するのよ~!」

「転校生に色目を使ってくるような男がいたら蹴り飛ばしてやれ」


 いやいや、私喧嘩は……トラブルは控えるように!って決めたんだからね?!

 そこで自らトラブルを起こすようなことなんてしませーん!


「じゃ、行ってきまーす!」


 しばらくは私の姿が見えなくなるまで母と兄が玄関先まで出てくれて見送ってくれた。

 なんて娘・妹想いな家族なんだろう。


 転校するきっかけをつくってしまった父も見送ってくれるのかと思ったが、父はとにかく毎日が多忙人間だ。

 今朝も早くに家を出て職場に行ってしまったらしい。

 弁護士は大変なんだなぁ……。



 地図アプリもあったし、校舎は分かりやすい場所にある。

 そして、校舎に近づくにつれて少しずつ私と同じ制服を着込んでいる生徒たちの姿も多くみられるようになってきた。

 よし、こっちで間違いないらしい。


 ただ一つだけ気になるのは……


 私が見かけない生徒だからか、ちらほらと視線を感じる。

 最初は気のせいかもと考えていたが、それがそれが校舎に近くなればなるほどに視線を集めている気がするのだ。

 え、私……どこか変か?

 制服の着方に問題があれば朝に母か兄から指摘があったはず。

 それが無いのならば制服におかしなところはないはず、なのだが……なぜ、そんなにも注目されているんだろう?



 ゆるふわ系の母、ダンディなインテリ系父、そしてインテリ系イケメン部類の兄、そんな家族がいるのだからもはや当たり前なことかもしれないが、裕理の見た目は優れている。

 女子にしては少し短めのショートヘアが似合っていて健康的な肉体。ほどよく付くところには付いているものがあり、締まっているところは締まっているものだからモデルと言われても不思議ではないのだが喧嘩ばかりに明け暮れてしまっていた裕理は自分の魅力については無知だ。

 他の家族が優れすぎていることもあって自分はそれほどに魅力が詰まっている人間ではないと考えているのだ。


 実際、あちこちから視線を向けてくるのは同じ制服姿の男子生徒ばかり。

 が、一部の女子たちからも恰好良い女子がいるわ!と憧れ的な視線が向けられているのだ。



「……さん。……佐久間裕理さん」

「うひ?!は、はい!!!」

「うふふ、ごめんなさいね。驚かせちゃったかな?」


 校門近くになったところで何度か名を呼ばれたことに気づき、慌てて変な声を出しながら声をした方向へ顔を向けると、そこには現生徒会長である世月亜里沙よづきありささんが立っていた。


「世月、センパイ……?」

「あら、嬉しい!私のこと知ってるのかしら?」

「あ、はい。インターネットで学校のサイトに載っていたもので……」


 校門付近で美人生徒会長と出会った。

 写真で見たときも美人だとは思ったがやはりホンモノは何倍も違う!

 女神だ!メシアだ!女王陛下だ!


「わざわざ下調べまでしてきたなんて偉いわね。こほん……改めて、我が校へようこそ。私が生徒会長の世月亜里沙よづきありさよ。今日は佐久間さんの校舎案内もさせてもらうの。これからよろしくね」


 にこっと微笑まれるだけでオーラが!

 光のオーラが増した気がする!!


 もともと優しそうな面だから眼鏡をかけていても真面目といった印象より優し気な雰囲気が勝っていてとても接しやすい人だと思えた。


「え、今日の案内って世月センパイが?同じ一年が案内してくれるのかと思ってました」

「あら、私じゃ不満かしら?この学校に転校生ってだけで珍しいし、良ければ貴女とお話してみたいと思ったのよ」

「ふ、ふふ、不満なんて!!むしろそちらの迷惑になってないかと……」

「もしかして勉強とか?大丈夫よ。一日の半分、午前だけ授業を抜け出すようなものだもの。全然迷惑なんかじゃないわ!それに……こんなに可愛い転校生を案内することができて光栄よ!」


 う、うわー。

 うわー……!

 優しい!!!

 生徒会長ってこんなに生徒思いな存在だったんだ!!!


 もちろん元の学校で生徒会長と話す機会なんてなかった。

 むしろ私のことは問題児としてブラックリスト入りとかにはされてそうだけれど名前……あ、ごめん。生徒会長の名前も知らないや。


「一度、職員室に寄ってクラス担任の先生に軽く挨拶をしてもらう必要はあるけれど、そこからお昼までは私が佐久間さんのことを独占させてもらいます!……さて、何か質問はあるかしら?」


 独占って、この生徒会長可愛い言葉を使ったりするんだなぁ。

 と、いけないいけない!

 質問質問……。


「と、特には!大丈夫です!もし何かあったら、その時にでもさせてもらいます!」

「そう?じゃあ、まずは職員室に向かいましょうか」

「あ、世月センパイ!」

「ん?なにかしら?」


 このままの流れではいはい、と職員室に行くのがベター。

 だが、わざわざ校門で私を待っていてくれた世月センパイには感謝をしっかりと述べなければ!


「世月センパイ!これからお世話になる、佐久間裕理です。これからよろしくお願いします!」


 礼儀正しく腰を曲げ、頭も同じく下げ……これからの期待を胸にしっかりとした口調で生徒会長への挨拶を済ませた。

 最初に出会ったのは世月亜里沙生徒会長様様でした!

 そして、この作品はGLメインに作成していきます!(まだラブ要素がみられないのが残念ですねぇ……しょんぼり)果たして、世月センパイも主人公ちゃんに惚れるときがくるのかこないのか?!!!それも是非是非お楽しみにしていてくださると気合が入ります!


 もしもGL作品に興味、もしくは今回の作品に少しでも面白さや感動することがありましたら、ブックマークと評価をしていただけますとますます気合いが入ります!

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