第十四話 三年生’s とのお茶会
ゴスロリガール、もとい響麗華センパイという名前らしい女子生徒が挨拶に来てくれた。ただ、教室内の様子がおかしかったんだよねぇ……え、一体どんな人なんだろ?
ゴスロリかぁ、でも可愛かったなぁ……。
って、別にゴスロリに興味があるわけじゃ……げふんげふん!
そ、そう!ゴスロリガールみたいに可愛い人が着ていたから似合っていたんだってば!私には無理無理!!!
響センパイに手を引かれて一緒に来たのは食堂。
でも、今の時間帯なら食堂本来の機能は……
「み、ミスりましたわ……」
確か食堂の注文ができるのはお昼タイムまで。それから先は何か口にしたくとも自動販売機を使うしかなかったはず!
あ、なんか響センパイも呆然としているし。
何か食べたかったのかな?
「えーっと、響センパイ?お腹が空いていたんですか?」
「違います!貴女とお茶でもしようかと……って、なんで貴女まで一緒にいるのです?世月さん?『柊さん?』」
なんですと!?
「って、柊センパイ!?え、なんで?は?」
響センパイを追っかけてきたらしい亜里沙センパイも同行しているのはなんとなく納得できたものの、ふと隣を見れば教室にはやって来ていないはずの柊雅人パイセンの姿も!
「お~。だって響に続いて世月も慌てて行ったから何事かと思ってな?こりゃあ追いかけないとって思ったんだよなぁ!」
緑化委員長の柊パイセンは灯チャンとのやり取りで既に馴染みの存在だ。
男版ゆるふわ系、もとい穏やかパイセンの柊パイセン。ゆるふわ系代表は私のママである。というか、ちょっと待て待て!生徒会長、生徒会副会長そして緑化委員長、そして私!?
私だけ、なんかおかしいでしょ!!
どういう集まり!?
「ふぅ、仕方ありません。今日のところは簡単なペットボトル飲料で申し訳ありませんが……こちらをどうぞ」
機能していない食堂に対して文句を言っても稼働することはないから自動販売機で買ってきたであろうペットボトルの飲み物(紅茶だった!ゴスロリガールは紅茶が好きなのかな?)をありがたく頂戴した。そして立ち話もなんだからという流れでところどころに設置されている丸テーブルに椅子を用意するとなんともおかしなお茶会のはじまりとなった。
「麗華と裕理ちゃんが顔見知りだったなんて知らなかったんだけど、いつの間に知り合ったの?」
「顔見知りだなんて粗末な言い方はなさらないでくださいな。私と裕理さんはアツイ友情で繋がっているのですから!」
……いつ?
あ、いや初対面のときの「友達になっていただきたい」発言のときから友達認定してもらっているのは嬉しいがアツイ友情とは?
「なんだなんだ?このまま放っておくと佐久間はどんどん学校の生徒会役員とまで知り合いになっていきそうな感じだなぁ~!」
私の左右には麗華センパイそして亜里沙センパイが。テーブルの位置的に正面に座っている柊パイセンがそのようなことを言い出したものだから生徒会のお二方がバッと私に顔を向けた。しかも大真面目な顔を。
ビックリします!
「生徒会って良くも悪くも個性的だもの!知り合うのは私たちだけにしておきましょう!ね?」
「その個性的メンバーに世月さんも入っていることを認めたようなものなのですが……って誰が個性的ですか!私は普通ではありませんか!」
個性的っていう概念がどこらへんまでのことをいうのか分からないけれど、女神生徒会長、ゴスロリガール副会長ってだけでじゅーぶん生徒会は個性的の意味が潤っていると思います!
「いえいえ!生徒会だけじゃなくて柊センパイだって、そのー……えっと、良いセンパイだと思いますよ?」
「裕理さん、そこは素直に変人と言ってもよろしいのではありませんか?柊さんはちょっと緩いというか誰に対してもゆるゆる~なところがありますから」
あ、そこ把握されていたんですね!
「え、俺ってゆるゆるなのか?」
と言いながら慌てて制服の袖口やらボタンをチェックしている柊パイセン。
……何をしているんだろう?
「柊くん。そういうところよ」
「いや、ゆるゆるって言われたから体のサイズに制服が合っていないのかと思ったんだ、あはは!」
うっ……ゆるい……
『もう裕理ちゃんったら、ママだってちゃんとしてるじゃないの~』とゆるみまくったママの姿が脳内に映し出され、やっぱりママと同じ系統の人だ!と納得してしまった。
「……はぁー……やっぱりペットボトルのお茶では味気ないですわね。この前一緒に飲んだアイスティーとは雲泥の差ですわ」
一口二口とペットボトルに口を付けていくものの味が合わないのか中身の減りが遅い麗華センパイのお茶。
確かにあの喫茶店のアイスティーは格別でしたね!
「はじめてあのお店に入りましたけど、アイスティー美味しかったですよね!是非また行きましょう!」
「!も、もちろんですわ!また一緒に美味しいアイスティーを飲みかわしましょう!!」
「あら、そんなに美味しいお店があるの?私も一緒に行って良いかしら?」
「お。だったら俺も行くぞ~。喫茶店はなかなか男一人で行くのは躊躇いがあるからなぁ」
この、メンツで!?
いや、別に行きたくないわけじゃないのだけれど凄い顔ぶれで店員さんとかもビックリしないかな?
あ、あの日にゴスロリを見ちゃったからビックリ耐性が付いているかもしれない!
「え、ダメですわよ、そんなこと!私が許しません!」
「はぁ?どうして?私だって裕理ちゃんとお茶したいわよ」
「俺も俺も~」
なんだろ……和むなぁ!
このお三方の会話を聞いていると荒んだ心が落ち着いていく気がする(別に荒れているわけじゃないけれどね!)
フフッと自然と口元が緩んでいくと不意に背中と頭に暖かな気配を感じた。さらにそれは私の顔の左右からにゅっと腕を伸ばしてきたではないか!
「いいこと聞いちゃったー。なんか楽しそうじゃないか、お前たち。私も混~ぜろ~!」
うお!?
いつの間に合流してきたのか我がクラス担任の美影尚センセーではないか!
「え、センセーいつの間に……って、うわぁ!?」
「裕理のいるところに私ありってね」
器用に片手を私の頭を撫でていく尚センセーにーーー
ベコッッッ!!!
ペットボトルが潰された音が。
「み、美影先生!?何をしていらっしゃるので!?その腕を離してあげてくださいまし!」
「なんだぁ?そうカリカリするなって響。あんまり怒ると眉間に皺ができちまうぞー?」
一瞬そっぽを向いてカチャリと眼鏡の位置を直した麗華センパイはさらに尚センセーにくってかかった。私は未だ尚センセーの腕のなか、というか……化粧の匂いだろうか大人独特の香りに正直くらくらしてしまいそうになる。
「教師が一生徒にくっ付くものではありませんわ!ほら、裕理さんも苦しがっているではありませんか!」
苦しい……というかクラクラしそう、です……
「おやおや冷静な響がそんなに声を荒げるなんて珍しいこともあるんだねぇ。はは~ん?コイツのせいか、な?」
ぽんぽん、と私の頭を撫でてようやく解放。
尚センセーのスキンシップにはまだまだ慣れそうにないです。
「……だ、大丈夫?裕理ちゃん?」
心配性なお姉ちゃんもとい女神亜里沙センパイが私の様子をみては、なんとよしよしと頭を撫でてきたではないか!その頭の撫で方は尚センセーとは全然違うもので。
「え、あ、亜里沙……センパイ?」
「あ、ごめんね?撫で心地が良さそうでつい……実際に撫で心地が良かったわ」
つい、で他人の頭を撫でるものなんでしたっけ?
グイーーーッ
今度は麗華センパイが私の肩に両手を置いて方向転換せざるを得ない状況に。
亜里沙センパイから麗華センパイへと顔を(強引に)向けるととても真剣な面持ちで。
「貴女も少しは嫌がることを覚えなさいな!なんでもかんでも自由にさせるのではありません!良いですか貴女は私の……
なんやかんや誰かが口を開けば続いて誰かが意見を述べ、口を挟み、意見の対立も起こしつつ生徒たちの楽しそうな様子に満足そうに尚センセーは笑ってばかり。
これは……まさに夢見た学生生活の一つなのでは!!!
楽しく集まって談笑。
誰かが今回はこの話をしよう!と決めるのではなく、その場その場で楽しげな話題を出してはみんなで笑って同じ時を過ごしていく!
こういうことだったんだ!!!
三年生のなかに一人だけ一年生徒がまじる(+教師)というなんとも珍妙なグループカッションはそれはそれは楽しいものになり時を忘れて談笑することができた。
今回は外れることになってしまったものの席の隣人お二人も加わればもっと楽しそうな空間になりそうだ、と私は一人感動していた。
ほのぼのちっくになったでしょうか!?
少しハーレムらしさも出てきた?いや、まだまだ!!!これからも日々精進していかなければ!!!
少しでも心が楽しくなりましたでしょうか?
楽しい気持ちになった、どんな人とどんな展開になるのか、主人公は誰かに心奪われるときがくるのか、と気になったでしょうか、もしそんなドキドキわくわくを感じていただけたら「ブックマーク」や「☆」評価、またまた「ご感想」などもいただければさらに気合を入れた「JKハーレム勘弁!」執筆の肥やしにさせていただきます!!