第十二話 ゴスロリガールは誰だ!?
「後日、ご挨拶に伺います」
そう言われたもののいっこうに音沙汰無し。最近は生徒が教室にやってくるたびに「ちらっちらっ」と視線を向けてしまうものだから「ど、どうしたの?裕理ちゃん?」とびびり灯チャンにまで心配されてしまう始末。
やっぱり名前を聞いておけば良かったかもー!!!
ゴスロリガール&クールビューティーボイスの持ち主は……
まだ、あらわれていない。
無理やりにでも名前聞いておくべきだったかなぁ。
もしかして帰り道に一人になっちゃって誘拐でもされたとか!?
不良ABCに絡まれて拉致されちゃったとか!?
そ、そんなはず……無いと祈りたい!!!
私の教室での席の位置は窓際の一番後ろ。
いろいろな意味でサイコー!な位置だ。
だから誰か教室にやってくるものならばちらりと軽く視線を向けるだけで教室への侵入者を把握することができる。
が、しかし!
いつまでたっても(今日は、ゴスロリガールと別れて三日目である)それらしき人物がやってくる気配が無い。もしかして私の名前は把握していても実はクラスがどこか分からなくて行きたくても来られないんじゃ!?と思えてきた。
ゴスロリガールさーん!佐久間裕理はここですよー!
「最近どうした?やけにちらちら見てるよな?」
できる男、こと南修吾クンが不思議そうな顔で私の様子を眺めている。
彼は私の隣の席だから私が何かこそこそしていればすぐにめざとくチェックしているのかもしれない。さらにはーーー
「ゆ、裕理ちゃん……さ、最近……変……」
前の席に位置している土屋灯チャンにまで変人扱いされる始末に。
「んー、ちょっと探し人を……」
「さ、探してる人?ど、どんな人なの……?」
「それが分からなくてさぁ……」
「?」
なにせこちらは名前を知らない。
通称ゴスロリガールは私のことには詳しそうだったんだよね。転校してきた理由についてもなんとなく把握していたようだったし。
あの日に出会ったゴスロリお嬢様は完璧なるゴスロリファッションだった。ふわふわ、ゆるゆる~な見た目お人形さんのようでウィンドウに飾られていたっておかしくはない見事なまでのゴスロリお嬢様だったのだ。
その人物が制服姿になると……んー、だめだ、上手く想像がつかない。
あの話し方からしても学年が私と同じ一年なのか、まさかの二年、そしてまさかまさかの三年生!?って三択がある。少なくとも同じクラスメイトってわけではなさそうだけど……うん、それらしい子はいないしね。
「向こうからこっちに来るらしいって情報しか今のところなくてさ……」
何日?何時?何分に???
もっと詳細聞いておけば良かった。
「それってデートのお誘い、とかか?」
隣でニヤリと意地悪な笑みを浮かべないでいただきたい!
キミはできる男なのだからそういう意地悪はしない方が女子にモてるぞ!!
「え!?そ、そうなの……?」
いやいや灯チャンが一番びっくりしちゃってどうした!?
って、これじゃまるでコントだよー……とほほ。
こんな雰囲気だと今日もゴスロリガールの挨拶訪問は無しかなー……と思って小さく息を吐いたところだった。
「失礼いたします。こちらは佐久間裕理さんのクラスで合っているかしら?」
ざわっ!!!
え、なんだ?
今、一瞬空気が変わったんだけど。
怖いとかの意味じゃなくてーーー
「お、おい副会長じゃん、ここに何用だろう?」
「ひょえぇぇ……今日も冷たそうだなぁ……」
「会長とは正反対に生真面目生徒っぽいもんね……」
な、なんだなんだ??
教室がざわついている?
「え、あれって……」
「おいおい、佐久間が探してる人ってのはもしかして……」
ざわついている教室のなかで彼女の周りだけがシンと静かに感じられた。
他はざわついているのに、彼女が歩くだけで彼女の周囲だけが冬の季節を迎えたかのように……
「佐久間裕理さん。改めて、『初めまして』になりますわね。私この学校で生徒会『副』会長をしている響麗華ですわ。以後、よろしくお願いしますわね」
え、誰……?
思わずぽかーんと口を開けて近くに立って私を見下ろしている女子生徒を見上げる。
教室のざわつきはまだ静まりそうにない。
「はぁ、はぁ…っ、ちょ、待ちなさい!待ちなさいっての!麗華!!」
おや、今度も珍しいお客人のようで。
この教室に亜里沙センパイが来るのは珍しい。メールとかのやり取りは多いけどなかなか学校のなかで会うことはレアイベントだ。
「あ、亜里沙センパイじゃん!やっほー!」
バンッッッ!!!
び、っっっくりしたー……
私の机の上に両手を置かれただけだけどあんな大きな音がするんだぁー。
灯チャンなんて超絶びびってるし(またもやチワワか?)南クンも珍しくあたふたしてどうしようか困っている様子だ。
「私が話しかけているのだから、こちらに集中しなさいな!」
……と言われてもこの眼鏡女子は誰だ?
眼鏡は亜里沙センパイもかけているが、こちらの眼鏡女子はなんというか真面目生徒代表その一!と言わんばかりで、しかも……怒ってらっしゃる?
「お、落ち着きなさいよ、麗華!ここ一年生の教室なのよ!?」
はい、亜里沙センパイ正解です。
「あの~……つかぬことをお聞きしますが、こちらの眼鏡サンはどちら様で……?」
「!?」
「ゆ、裕理ちゃん?友達じゃ、なかったの……?」
亜里沙センパイが顔を少々引きつらせて問いかけてくる。美人が顔を引きつらせじゃアウトです!すぐに元に戻しましょう!!
友達友達……
そう言われると最近友達になったニューフェイスがいたような……アレは、確かーーー
もやもやもや~っと頭に浮かんでくるのはゴスロリガール。
しかし目の前に立つ眼鏡女子はゴスロリガールとは似ても似つかないのだけれど?
あ、いや、声は同じか……
え!
「この前の、ごすろ……むが、むぐぐ……っ!!!」
名前を知らない(さっき名乗ってくれたけれど)女子生徒にまさかと思いゴスロリガールさんか!と口に出そうとすれば響麗華センパイはその華奢な手を私の口に覆いかぶせてきた。
「もがが!……っ、むが!!!」
「(学校内ではその単語は出さないでいただけます!?響麗華ですわ、麗華!!)」
顔を目の前まで近付けつつ(眼鏡がぶつかりそうで怖かった!)ひそひそと小声で訴えてくるゴスロ……麗華センパイ。
こくこくと頷くとようやく口元から麗華センパイの手が離された。
でも、まだ信じられないんだけれど!?
あ、あのゴスロリガールが麗華センパイだと!?
ぱちくりぱちくり瞬きを繰り返しながら必死に頭のなかで情報整理。
だってまたゴスロリというキーワードを口に出そうものなら麗華センパイの手が伸びてきそうだったから。
「……ふぅ、佐久間裕理さん。ちょっとよろしいかしら?お話したいことがあるのだけれど」
「えーっと、ここでは出来ない話ですかね?」
「私はどちらでも構わなくてよ。貴女が余計なことさえ言わなければ」
ゴスロリ、のことですよね。
了解でーす!
「ちょ、ちょっとセンパイと話してくる、ね……」
あれ。
おかしいな。
どんな人が挨拶に来るのか楽しみにしていたんじゃないのかい、私!なのに、なんか元気無くなっていないかい!?どうしたんだい!?
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。佐久間は探してる人がいるからってずっと待ってたんスけど……」
「それは私のことですわよ。友達に会いに来ただけだというのになんです?」
できる男、南クンがさりげなくフォローしてくれたが麗華センパイがビシリとすかさず反論。それ以上何も言わせないかのように言いくるめてしまった。
あー、実はそれもちょい気になってるんだわ。
この副会長、もとい響麗華センパイが来てから妙に教室内が変だ。そこに加えて生徒会長の世月亜里沙センパイも加わってるせいでカオスなことになっている気がする。
如何にも天国と地獄……的な?
「さ、行きますわよ。佐久間裕理さん」
クイクイっと制服の腕から私の手を引っ張っていく、その手は確かにあのときの華奢な手だった。
だがこの雰囲気はなんだろう?
心無しか亜里沙センパイも心配そうに私の顔色を見ているが……
もしかしてゴスロリガールもとい響麗華センパイという人物は危ない人物だったりするんじゃないだろうか!?
JKハーレム勘弁!十二話、お読みいただきありがとうございます!
ゴスロリガールの正体、予想できていたでしょうか!?え、最初から予想済み!?なんたること!!!
もっと意外性で楽しめるように努めてまいります!!
先の展開が気になる、面白い、感動した、と少しでも抱いていただければ「ブックマーク」そして「評価」や感想もいただけると気合マシマシで頑張らせていただきます!




