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第十話 喧嘩の危機到来!?

 大きなトラブルが起きることはない学生生活がこんなに楽しいものだったなんて!!

 と感動していたものの、ある日の休日……なにやら騒がしい場面が目に入ってしまった。

 アレは……カツアゲ!?

 見て見ぬふりができない私は当然飛び込んでいくわけだけど……言って分かるヤツなら安心。言って分からなければ手をあげることも必要、か?

 大人しい転校生として過ごしたい、でも見て見ぬふりはできない……佐久間裕理、葛藤す!!!

 このぶんなら学校の授業のペースに遅れをとることもないだろう。

 兄貴が用意してくれた勉強プリントに今更ながらも感謝!


 クラスメイト全員と交流をはかることは意外と難しいことみたい。

 できる男、南クンだって特定の同性の友達、もしくは私か灯チャンとばかりだべってばかりいるようだ。


 大人しく過ごしていれば「転校生」というアドバンテージもあって多くの友人関係を築いていけるのでは!?と思っていたけれどなかなかうまくいかないもんだ。


 それに量よりも質が一度築かれたのならばそれは大切にしていきたい。

 一度でも話した人、交流を持ったことがある人との縁は途切れないようにしたいのだ。

 だが、そのためにも私が学校でも学校外においてもトラブルを起こすわけにはいかなかった。



 しかしーーー


 神様というものがいるならばきっと残酷な試練ばかりを下すのが仕事なのかもしれない。

 

 今日は休日。

 もちろん帰宅部の私は特に学校へ行く用事もなかったためにちょっとした買い物をしようと外出中だ。

 女子高校生だから外出するときにはそれなりのファッションで……

 と思われるかもしれないが、私は世間一般における女子高校生の休日に着るファッションというものには疎い方だ。動きやすければ基本なんでも良い派で只今着用しているのはパステルカラーのTシャツとショートパンツ。

『……おい、サル。みっともない恰好をするな』

 さぁ出かけよう!と玄関で靴を履いていたときに後ろからなんとも不機嫌そうな声色で背後には「ゴゴゴゴゴ」といったBGMがつきそうな怒り顔の兄貴がいたが「普通でしょ、普通!」と投げ返してやった。

 

 

 そして今、私の視線の先にはカツアゲされている女の子らしき姿(スカートがちらりと見えた!)と乱暴な口調で学生を取り囲んでいる複数の不良(髪の毛も不自然に明るいから不良っぽい)がいた。


 おかしいな。

 この変にはこんなに明るい髪色をした不良なんていなかったと思うけど……引っ越してきたか?


 見慣れない不良たちに不思議がりつつ足は一直線に不良たちの方へーーー


 当然、女の子を助けるとも!!!


「こら!そこ、なにしてるんだ!?」


「あ?なんだお前。……ってこっちもなかなか上玉じゃねぇか。おい、お嬢さん。お嬢さんも一緒に遊びに行こうぜ」


 カツアゲしているかと思ったけどナンパをしていたのか?


 不良三人がくるりと私の方へ顔を向ければ下品に「げらげら」と笑われた。

 ムカッ!


「女の子一人を大勢で取り囲んで恥ずかしいと思わないのか?」

「なんだとコイツ……!」

「あ。ナンパしてたか?へぇ、今時の野郎どもは一人で女の子に声もかけられないのか」


 ふふん、とこっちも強気に笑ってからかってやった。

 カツアゲも、ださい。

 それに逃げ道を無くすようにして囲み、ナンパするなんて……だっっっさい!


 そういう心もダサい野郎どもに情けなんて必要ないだろう。


 と、怖がって無言なのか、はたまた私が登場したことで口をはさめなくなってしまったのか大人しく囲まれている女の子に視線を向けるとーーー


 ゴスロリガールがいた。


 め、珍しいものをみつけてしまった。

 あ、いや、ゴスロリ自体は町中に出ればたまに見かけるんだけどこんな家の近所で遭遇できるなんて思わなかった。

 体の上から下までバッチリ決まっているゴスロリファッション。

 メイクもキツクない程度に、そしてファッションに合っているものだからお人形さんのように見えた。


「おい、お嬢さん。なんだったらアンタが俺たちの相手をしてくれたって良いんだぜ?」

「可愛い顔を痛めつけられたくなければ大人しく……


「うるさい……!」


 こっちはなかなかお目にかけれないレア属性を目に焼き付けておこうとしたのに話しかけてくるな。


 一人の不良の手が私の肩を掴む前に野郎の手首を掴めば勢い良くぐるりと捻り上げてやった。

 これが、なかなか痛いもので無理に動かそうとすると余計に痛みを増すから大人しく動かないようにしましょう。


「いでででで!」

「当たり前じゃん。痛くさせてるんだから。ほら、その子解放してあげなよ」


 情けなくすぐに痛がり悲鳴をあげる不良Aの手首を掴んでいた手をぱっと離すと残り二人の不良、BとCとぎろりと睨みつけた。


「コイツ……舐めやがって!泣かしてやる!」


 泣かす?

 私を?

 あんたたちごときが?

 は、無理無理!


「ほらほら、どしたの?全然当たんないんだけど!?」


 私が女だってことにももう気にせずに殴りかかるために振り上げた不良Bの拳をあっけなく避け、続いて平手打ちでもかまそうとしたのか違う方向から飛んできそうになる不良Cの手のひらをひらりと回避。

 なんだ、不良っぽく見えたのは見た目だけだったか。


『裕理ちゃん、この手は守るために使ってね?約束よ?』


 ごめんママ。

 また喧嘩しちゃうかも。

 今回は名も知らぬゴスロリガールのために……


 回避し続けるのもなんか疲れてしまって、隙があいた不良ABCの鳩尾にそれぞれ拳を入れてやった。


「「「ぐぇ……っ!?」」」


 不良ABCは各々鳩尾から伝わる苦痛に悶絶するように蛙が鳴くような声を出してその場にしゃがみ込んだ。たぶん、しばらくは立ち上がれないかもね。


「さ、行くよ!」

「え?」

「こんなところにいたら復活した野郎どもにまた絡まれちゃう!とにかく移動!!」


 ゴスロリガールの手(細い!!!)を引っ張って小走りにその場からなるべく離れるために移動した。



 適当に人目があれば不良たちも絡んでこようとはしないだろうと思い、たまたま目に入った喫茶店に一緒に入店。

 カランコロン。

 喫茶店の入り口のドアに付けられているドアベルが鳴れば店員さんがあらわれ席へと誘導してくれる。

 しばらく落ち着いたら私も失礼しようかな、と思っていたけれどテーブル席に先に座らせられることになったのは私だった。なんとゴスロリガールが私の肩を弱い力ながらも押さえつけていかにも「そこにいて」と言われている気がした。

 それには席案内をしてくれている店員さんも目を丸くして……


「注文は飲み物を。アイスティーを二人分、お願いしますわ」


 「か、かしこまりました」と応えるとその場から店員さんが去っていく。

 え、え……?

 私もここで過ごすの?このゴスロリガールと?


 私が逃げないのを確認したように向かいの席へとゴスロリガールが着席。

 って、今初めて声を聞いた。クールビューティーボイスといった感じだった。

 私個人の偏見になってしまうがゴスロリ系の女の子たちはキャワキャワしたようなハイボイス(高くて如何にもな女の子ボイスと説明したい)だと思っていたためゴスロリガールの初ボイスに一瞬目を丸くしてしまった。


「……こほん。先ほどはありがとうございました。佐久間裕理さくまゆうりさん」


 え、なぜに私の名前を!?

 私の記憶が正しければこのようなゴスロリ系クールビューティーボイスの持ち主とは会ったことはない、はず!!!


「え、えっと……?」

「失礼。貴女はわたくしとは面識はありませんわよ。ただ、一方的にわたくしが貴女のことを知っているだけですわ」


 いや、それも怖いでしょ。

 んー……?

 昔の学校にはゴスロリ系ファッションに興味がありそうな女子生徒はいなかったと思う。

 と、すれば……


「今の学校の生徒さん……ですかね?」

「そんなところです。ところで、先ほど貴女がしていたのは合気道か何かなのですか?」


 ぎくっ!!!


 そうだった!

 今、通っている学校の関係者ならばバッチリ不良ABC相手に喧嘩をしていた場面を見られてしまった!!!

 つまりは、この話題が学校中に流れる!?



 まずいまずい、と冷や汗をかき背中にも嫌な汗が流れそうになる(別に汗っかきじゃないから!)なか、ゴスロリガールは上品に「クスクス」と笑っていた。

 が、その笑みが今の私には小悪魔のように見えてしまって「どうしようどうしよう」とぐるぐるとネガティブな意見が頭のなかを支配していた……。

 ゴスロリガールももちろん学校関係者になります。

 JK(女子高生)です!


 さて、裕理を知っているらしいゴスロリガールの正体とは!?

 裕理のトラブルが学校に知れ渡ってしまうことになるのか、ならないのか!???


 もしもGL作品に興味、もしくは今回の作品に少しでも面白さや感動することがありましたら、ブックマークと評価をしていただけますとますます気合いが入り、作品進行も早まります!!よろしくお願いします!!

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