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雑血共の血闘書  作者: 怒羽 米
0.プロローグ
1/4

木のざわめきが心地よい森の中

開いていただきありがとうございます!投稿頻度はそんなに高くないですが皆様に読んでいただける様、頑張ります。

 紅い木葉がはらはら落ちる森の中、1頭のヒグマがイノシシを引きずっていく。程なくしてヒグマは直径1m程の穴の前でイノシシを離すと、一度周囲を見回してからゆっくりと(むさぼ)り始めた。そしてある程度満足したのか食べきれなかった分を土の中に隠すと穴に入っていった。


 穴の中では4つの影…3頭の小熊とヒトの子供が待っていた。



 木々のざわめきが心地よい森の中、1羽のウサギがクローバーを食べている。


 突如、側方から何かが飛んできてウサギに当たり、ウサギは血を流しながらピクリとも動かなくなった。どうやら石の(つぶて)が飛んできたらしい。

 そして動かなくなったウサギの身体が浮き上がる。


「……」


 否、ヒトに持ち上げられたのである。

 ヒトはウサギを肩に担ぐと歩き出し、しばらくして住処らしい穴へ入っていった…


_____________________________ 


 明るくなり、ヒトはまた獲物を探している。住処からかなり離れた場所を探索していると河原に出た。森を分断するように流れる浅い川を渡り、向こう岸に茂る木々の中に入っていく。木を避けながら進んでいくと、


 小さな山があった。少し臭う。


 


 思い出した。これはオオカミの糞、つまりここはオオカミの縄張りなのだ…!

 しまった、早くこの場から逃げなければと、(きびす)を返し逃げようとするが遅かった。

20m程先から5匹のオオカミがうなり声をあげながら迫って来ている。

 ヒトは急いで横に生えていた木に登った。


 


 オオカミたちは一向に木の下を離れる素振りを見せない。木を伝って離れようにも一向に諦めようとはしない。


 だがヒトはある事に気づいた。こいつらは木を登ってこれない。ならば諦めるまで待っていればいいのだ、と。




 どれ程経っただろう。辺りは暗くなり始め、オオカミ達は去っていた。ヒトは充分に辺りを警戒しながら木を伝い住処の方へ戻っていく。


 程なくして視界が開け河原に出た。オオカミが来る前に木から降りて河原を駆け抜ける。そうして足が川の水についた瞬間…





「WAOOOOON!!!」





 もう逃げられない…近くに木などは…無い。





 いや、武器なら足元に幾らでも落ちているではないか……


 両手に礫を一つずつ持つと、ヒトは自分がやらねばならなかったことを思い出した。獲物を殺し喰らうのだ。


ぐうぅぅぅ…


 辺りに腹の音が木霊した。


 数秒後、森からオオカミ達がヒトを目掛けて一直線に飛び出して来た!が、突然一匹の

オオカミが後ろに少し吹っ飛びながら倒れた。頭蓋(ずがい)を破壊され絶命しているようだ。


「エ”ア‘‘ア‘‘ア‘‘ァ‘‘ッ‘‘!!!!!」


 これまで喰らってきた血肉で構成され、剛肩と言える両肩から繰り出される投石によって一匹、また一匹とオオカミは頭蓋を割られていく。


 仲間が減っていくことで統率が失われた群れは瞬く間に残り一匹となった。ソイツは一瞬足を止め、覚悟を決めたのか、真っ直ぐに人を見据えると一気に河原を蹴った。そしてこの、一瞬ともいえる時間で投石を理解したのか、蛇行しながらこちらに迫って来ている。これでは狙いを定めることができない。


「GUAAA!!」

「グッ…!」


 嚙まれた血が溢れている…ヒトは手に持った石で自分の脚に食らいつく頭を死に物狂いで叩いた。


「…!!」


ようやくソイツが怯み太ももから牙を抜くと、すかさずヒトが覆いかぶさりひたすら石で頭を殴る。ひたすらに殴る。



 



 気づくとソイツは頭を殴り潰され、死んでいた。ヒトも太ももの血が止まらず、そこから意識が流れ出しているようだった。視界がぼやける中、やたらと鮮明に感じる空腹感に突き動かされソイツの身体に食らいついたが、嚙み千切れるほどの力は残っておらず、硬い筋肉の感触、血の味と共に独特の臭いが鼻を抜けるだけ。


 ヒトの意識は最後の晩餐の味を感じながら太陽と共に沈んでいった...


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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