第四話:カルノタウルスの襲撃
絶滅した大型猛禽類であるハルパゴルニスのネザーを仲間にしたヒロキは、アローラとネザーと一緒に安定した生活を送っていた。
しかし、ここでとある問題が起きた。
「今日食べる肉を……ってヤバい!
後少しで消費期限が切れてしまう!
急いで食べないと!」
そう、食糧の消費期限問題である。
魔法の書には様々なアイテムを収納することができても、食べ物には消費期限が決まっていた。
チュートリアルに載っていた情報によると、食べ物の消費期限を延長するには塩漬けにしたり、食糧を保管するための冷蔵庫が必要で、特に肉類に至ってはそれよりも更に消費期限を長く保つことができる“干し肉”として加工することができるようです。
ただし、干し肉を作るには先に塩漬けにしてから乾燥棚に入れなければならないらしく、そのまま入れてしまうとそのまま消費期限が切れて腐ってしまうことがあるそうです。
腐った肉は一部の生き物の飼い慣らしと肥料として使うことができるらしいけど……ヒロキは結局、消費期限が切れそうな肉を先に焼いたり、ネザーに食べさせたりして、消費期限がまだ大丈夫な肉だけを残した。
ガツガツッ!
「平気な顔で食べてくれるからいいけど……はぁ、塩が欲しいなぁ」
幸いなことに、魔法の書のチュートリアルには、それぞれの素材や食べ物などのアイテムの入手方法をシンプルに解説してくれており、塩を手に入れるには、洞窟や砂漠などにある岩塩を手に入れる必要があるとのことです。
「岩塩か……でも、みんなで行くわけにはなぁ」
みんなで行った方が安全かもしれないが、その同時に拠点を狙う者がいるかもしれない……でも、仮に長期間の留守番をすることになると、大型の肉食恐竜が突然と襲ってくる可能性もある……そう考えたヒロキは、とりあえず塩の材料となる岩塩を取りに行くための準備をした後に就寝した。
しかし、深夜になった頃……
ドスッ!
「グルルルッ……」
ある一頭の恐竜が拠点の前に辿り着いた。
クンクンッ……
匂いを嗅いで、そこには何かがいると判断した。
「?」
拠点として使われている洞穴の上で眠っていたネザーはふと目が覚めた。
そしてネザーは目の前にいるその恐竜の存在に気づいた。
その同時に畑のところで寝ていたアローラも目が覚めて、その恐竜の存在に気づいた。
「……」
一方のヒロキは熟睡していた。
ピィーーーーッ!!!!
ヴォーーーーッ!!!!
「!?」
ネザーとアローラの大きな鳴き声で目覚めた。
「な、何事?」
思わず外に出てみると、そこにはツノの生えた肉食恐竜がいて、今はネザーとアローラがその恐竜と睨み合っていたのです。
「まさか、アイツはカルノタウルスか!?」
カルノタウルスとは、“肉食の雄牛”という名を持つ白亜紀後期に現在の南米大陸に生息した獣脚類の恐竜で、ツノが生えている肉食恐竜として知られている。
「ギャアオォ〜〜〜ッ!!!!」
「まさかあのカルノタウルスがここへ来るとは……奴はアローラとネザーを捕食するつもりでいるな!
急いで魔法の書にある収納から早く弓と矢を!!」
収納から今日でクラフトした弓矢を取り出した。
矢には約100本あり、弓で射ることができるのは約100回で、その100本以内にカルノタウルスを倒さないといけないのです。
「ピィィィーーーーッ!!!!」
「ヴォーーーッ!!!!」
既にアローラとネザーがカルノタウルスと戦っていた。
ガシッ!
ドスッ!
「ヴォーーーーーッ!!!!」
「ギャアオォ〜〜〜ッ!!!!」
シュッ!!
バサッバサッ!!
「ピィィィーーーーッ!!!!」
「ギャアオォ〜〜〜ッ!!!!」
ガブッ!!
アローラはカルノタウルスの尻尾攻撃を上手く交わし、ネザーもカルノタウルスの噛みつき攻撃を上手く交わしていた。
しかし、ネザーとアローラからの攻撃は、カルノタウルスにとってはかすり傷程度であり、あまり効いていないようです。
「相手はカルノタウルス……最初に戦ったティタノボアとは違って、相手は正真正銘の肉食恐竜……」
ヒロキはそう言いながら弓で矢を射る構えをしました。
ググググッ……
「やったことはないけど……僕の従兄弟が習い事で弓道を習ってて、その従兄弟が全国大会に出場した時に僕もこの目で見たことがあるんだ……見様見真似になるけど、僕の記憶が正しければ……」
ググググッ……
「集中して……よし、今だ!!」
ビュンッ!!
ヒロキは従兄弟がやっていた弓道での弓の引き方を僅かな記憶を頼りに、見様見真似で矢を放ちました。
ヒューーーーーッ!
ドスッ!!
「やった!!」
矢は見事にカルノタウルスの下顎に直接当たったのです!
「ギャアオォ〜〜〜〜〜ッ!!!!!!」
これにカルノタウルスは大激怒し、アローラとネザーからの攻撃を交わしながら柵を破壊し、畑を踏みつけながらヒロキヘ向かっていた。
ドスッ!!
バキッ!!!
ドスッ!!
グシャッ!!
ドスッ!!
グシャッ!!
「ギャアオォ〜〜ッ!!!」
「せっかくの畑が……まぁいい!
標的は僕に変わったから、後はこの拠点から離れた場所までに誘導しょう!」
ヒロキはそう冷静になって、すぐに拠点から出て、走り出しました。
カルノタウルスもその後を追うように追いかけ始めました。
ドスッ!
ドスッ!
「ギャアオォ〜ッ!!」
「怒り狂いながら僕についてきている……どこまで誘導して行けば……」
しかし、カルノタウルスの背後には、アローラとネザーも追いかけており、ヒロキはそのことに気づいていませんでした。
バサッバサッ!
ドドッドドッドドッドドッ!
ヒロキは走りながら弓を構え、カルノタウルスに矢を放って攻撃しました。
ググググッ……
ビュンッ!!
ドスッ!!
「ギャオォ〜〜ッ!!」
「今度は頭に当たったな……でも見た感じ、まだ倒れないね!」
ググググッ……
ビュンッ!!
ドスッ!!
「よし、足に当たった!」
「ギャアオォ〜〜ッ!!」
ドスッ!!
ドスッ!!
ドスッ!!
ドスッ!!
「もう一発!!」
ググググッ……
ビュンッ!!
ドスッ!!
「ギャアオォ〜ッ!!」
「喉に当たったな……でもこれでもまだ死なないとは……まぁ、流石に恐竜はこの程度では死なないだろうけど……」
ヒロキはジャングルを走り、カルノタウルスに追われながら誘導して、そして弓矢でカルノタウルスに攻撃をするという繰り返しとなっており、カルノタウルスの後にはネザーがアローラを掴んで一緒に飛びながら追っていた。
どうやらアローラはもう走るためのスタミナがなくなったのか、ネザーは疲れているアローラを掴んで、少しでもスタミナが回復して休めるようにしているらしい……
ドスッ!!
ドスッ!!
「アレは……滝!?
よし、ここにしょう!!」
たどり着いたのは、滝に直接繋がっている大きな川であり、そこから滝へ落ちてしまうほどの結構危険な場所となっている。
(今の僕とアローラとネザーでは奴を倒すことはできない……ならいっそのこと、滝に落とすしか方法はない!)
そう考えたヒロキは、カルノタウルスを滝へ落とすべく、カルノタウルスを滝へ誘導することにした。
「ギャアオォ〜〜ッ!!」
ドシッ!!
ドシッ!!
「クソ……流石に気づかれたか!?」
どうやらカルノタウルスはヒロキが自分を滝から落とそうと考えていることを察したのか、すぐにヒロキの作戦に気がついて、ヒロキを追い詰めようとヒロキヘ近づいていった。
「ギャアオォ〜〜ッ!!!」
「こうなったら……」
ヒロキは魔法の書にある収納から六本の投げ槍を取り出し、そのうちの一本を投げずに壊れるまで腹部へ攻撃することにした。
そのためにはまずはカルノタウルスからの攻撃を交わしながら腹部に辿り着く必要があった。
ガブッ!!
「危ない!」
シュッ!
「ギャアオォ〜〜ッ!!」
ブンッ!!
「危ないところだった。
尻尾で攻撃してきたか……」
ドスッ!!
「足で僕を踏もうとしている!?」
「ギャアオォ〜〜ッ!!」
ドスッ!!
(なんとか交わして、腹部にたどり着いた!
いくら恐竜のような強い生き物でも、お腹が弱点だと本で読んだことがある……今はここにいるから声を出すことはできないが、奴は今、僕を見失っているはず!)
「ギャオォッ?」
カルノタウルスはヒロキが思ってた通りにヒロキを見失ったのか、ヒロキがどこにいるのかを探していた。
腹部のところにいるのを気づいていないのです。
すると……
ドサッ!!
「!?」
カルノタウルスの頭の上からアローラが落ちてきて、アローラの爪で首に思いっきり力を入れて刺しました。
ブスッ!!
「ギャアオォ〜ッ!!!」
そして上空からネザーが滑空し、鉤爪で攻撃を始めたのです。
(まさかアローラとネザーが!?)
アローラとネザーが追いついたことでヒロキはようやくずっと後を追っていたことに気づいたのでした。
「ギャアオォ〜〜ッ!!!」
アローラで目が見えないようにされたことで、動き回りながら振り落とそうとした。
「……今がチャンス!」
そう決心したヒロキは、槍を思いっきりブッ刺したのです。
「うおおぉぉぉ〜〜っ!!!」
ブスッ!!!
「ギャアオォ〜〜ッ!!!!」
腹部に投げ槍が刺さったことで、激しい痛みを感じたカルノタウルスは、頭にくっついているアローラを振り落としたが、その瞬間にネザーによる強烈な体当たりをした。
「ピィィーーーーッ!!!」
ドガッ!!!!
「ギャアオォ〜〜〜ッ!!!」
体当たりを受け、カルノタウルスはバランスを崩してしまい、とうとう滝から落ちてしまったのでした。
ギャアオォ〜〜〜〜ッ!!!!!
「ハァ……ハァ……」
ヒロキは疲れてしまい、少し大きめの岩石に座り込んだ。
そこへ、アローラとネザーが駆けつけ、ヒロキの近くに座り込んだ。
「……駆けつけてくれてありがとう。
本当は僕一人で奴に立ち向かうって覚悟してたけど、もしも君達が駆けつけてくれなかったら今頃、もっと時間がかかってたと思うし、もしかしたら既に僕が捕食されたしまうかもなと思ってたよ。
とにかく、ありがとうね」
ヒロキは笑顔でそう言った後、アローラとネザーは、“気にしないで”という意味として、首を横にふって、その後に“あなたを助けたかった”という意味での小声で呟いた。
「ピィッ!」
「ヴォッ!」
「そうか……そうだよなぁ」
すると、ヒロキはふと何かを思ったのか、カルノタウルスが落ちた方向を見ると、そこから太陽が出ていた。
「もう夜明けか……」
そう呟いた後に立ち上がった。
「さてと……拠点に帰って、戦いの疲れを癒そうかな?」
ところが、ヒロキはあることに気づいてしまった。
「……ここってどこだっけ?
カルノタウルスの襲撃で拠点から離れていったけど……アレ?
もしかして結構遠くまできてるの!?」
そう、どうやって拠点へ帰れるのか?
……という問題だった。
果たして、ヒロキ、アローラ、ネザーは無事に拠点へ帰れるのだろうか?