第二十二話:団長の正体
ヒロキ、カツキ、ショウブ、ガーデン、スミレ、ダイヤ、サファイア、ルビー、ムラサキケマン、そして兵団の一行は、サバンナから砂漠へ辿り着き、砂漠にある王国『カンブリア王国』へ目指した。
しかし、砂漠には多くの危険生物が生息していたため、何度も襲撃に遭うが、その度に全員で返り討ちにした。
兵団側も今のところ誰も負傷者も出ていなかった。
しかし、一つだけ大きな問題に直面していた。
「……喉が渇いたわ」
「カツキ、大丈夫?」
「う、うん……」
「こんだけ暑かったら、熱中症になりそうだぜ!」
そう、砂漠は極めて暑いため、熱中症と脱水症状になりかけており、今すぐにでも水が必要だった。
というのも、持ってきた水は全部、砂漠で歩いている時に飲み切ってしまったためだった。
そんなヒロキ達の様子を見た団長は声をかけた。
「大丈夫か?
この辺りには一つだけ大きなオアシスがある……そこに辿り着いたらみんなで水分補給をすることにしたから、もう少しの辛抱だ!」
団長の言う通り、数十分後には本当に大きなオアシスへ辿り着き、そこで水分補給をした。
ゴクゴクッ……
「ブハァッ!!!
やっと生き返ったぜ!!!」
「水を飲めてよかったですわ!!!」
「お前らもどんどん飲め!!!」
「ガオォッ!」
「ガアァオォッ!」
「ガアァオォッ!」
「グウゥアァッ!」
「クワーッ!」
「ケッ!」
「みんな、水が飲めてよかったね!
じゃあ、とりあえずこっちも水を補給しょう!」
みんなでその水を飲み、容器に大量の水を入れた。
ところが、ヒロキ達の近くに何かがやってきた。
「……」
すると、団長はそれに気づいた。
「まずい!!!
ゴルゴプスカバの集団が来るぞ!!!
我々を侵入者とみなして襲ってくるぞ!!!」
そう、近づいてきたのは、ゴルゴプスカバの集団だった。
どうやらこのオアシスはこのゴルゴプスカバの縄張りだった。
「グウォオオッ!!!」
そのうちの一頭が大きな口を開けて、威嚇をしていた。
「水はもう補給したか?
すぐに離れるぞ……奴らは凶暴で、すぐにでも襲ってくる!!」
兵団の兵士達は慌てて水の補給を終わらせ、逃げる準備をした。
ところが、水面から巨大なワニが出てきた。
ザバァッ!!!!
「ゴォォォォーッ!!!!!」
「サルコスクスか!?
ディノスクスと同じジャングルにいたのは見かけたが、まさかここにもいやがったとはなぁ!!」
「サルコスクスか……我々は奴らから逃げられぬか?
なら、こうなってしまったからには全員でやるぞ!!!」
「そ、そんな!?」
「カツキ、君はスミレとムラサキケマンと一緒にここから離れて!」
「で、ですが……」
「ここは俺らに任せな!」
「お嬢ちゃん、ここを離れましょう!」
「我々がお守りしますぞ!」
カツキはスミレとムラサキケマンと一緒に兵士達に守られながらその場から離れた。
そしてヒロキ達と兵団で襲ってくるサルコスクスとゴルゴプスカバに立ち向かった。
「ゴォォォォーッ!!!!!」
「グウォオオッ!!!」
「グウォオオッ!!!」
「グウォオオッ!!!」
「グウォオオッ!!!」
「グウォオオッ!!!」
「グウォオオッ!!!」
「テメーら、出番だぞ!!!」
「ガルルルッ!」
「ガアァオォッ!!!!」
「ガアァオォッ!!!!」
「グウゥアァッ!!!!」
しかし、流石兵団だ。
とても強いし、まるでこの世界の動物のことを熟知しているのか、弱点を狙って攻撃していた。
でも、ヒロキ達も負けじと戦い続けた。
そんな様子を見たカツキは唖然としていると、女性の兵士が話しかけた。
「す、すごいですわ……」
「そりゃあの団長様だからね!
それも女王陛下に認められるほどの実力者よ!」
「そうなんですね……その……団長様は何者なんですか?」
「えっ?
何言っているの?
アンタ達と同じこの世界へ転生された人間よ!
同じ転生者だしね!
まぁ、アタシらは生まれた国が違っても、この世界にいる人間は全員アンタらと同じ転生された人間ってわけよ!」
「な、なるほど……では、あなたは?」
「アタシ?
そうねぇ……アタシは、団長様と呼ぶようになったあの日本人と一緒にかつて、アメリカで仕事をしていたのよ。
アタシは彼の通訳として一緒に同行したわね」
「ということは、あなたはもしかして、アメリカ人ですか?」
「えぇ、前の世界では確かにアメリカ人よ。
ここにいる兵士達もアタシ以外にもフランス人やイタリア人、インド人などのいろんな国籍がいるわよ。
でも、この世界だと全員日本語で喋るようになっていてね……本当にこの世界はとても不思議よ。
絶滅したはずの恐竜などがいるような世界だからね……日本の小説でよくある”異世界”という奴かしら?」
「なるほど……ところで聞いてなかったのですが、お名前はなんですか?」
「言ってなかったわね……アタシはマナリラっていうの。
そして団長様がアタシのかつてのビジネスパートナーだった獅子虎桃数……団長様と言っているけど、”モモカズ”とも呼ばれていたわ」
そこから女性の兵士のマナリラは団長であるモモカズとの生前のことを話した。
今から数年前、モモカズ(今の団長)はアメリカへ出張に出掛けており、出張先のアメリカの会社にマナリラと出会った。
「カノジョハ、ワタシヨリモニホンゴガジョウズデ、ツウヤクトシテモスグレテイマス」
「よろしくお願いします、桃数さん」
「こちらこそ、俺は英語が苦手なので、頼らせてもらいます」
「えぇ、是非!」
「Manalila, I asked for him!
(マナリラ、彼を頼みました!)」
「Yes, please leave it to me.
(はい、任せてください)」
「では早速……」
「えぇ、行きましょう!」
マナリラは彼の通訳として、一緒に行動するようになった。
おかげでモモカズも最低限の英語が喋れるようになり、マナリラも彼から日本の文化のことを教えてもらった。
特に日本のアニメやゲームなどに興味があったそうだ。
「アタシ、いつか日本に行ってみたいなと思ってさぁ……でも、アタシにはまだ日本に行くためのお金も足りないし、まだ仕事も残っているからさ」
「そうか……よかったら、俺が日本を案内しましょうか?
特に京都はとてもオススメです」
「いいんですか!?」
そんな雑談をしながら共に過ごしたこともあった。
しかし、そんなある日、事件が起きた。
その日は、出張先のアメリカの会社の社員達と一緒に仕事で日本に行くために空港にいた。
そこには案内役として、モモカズもいた。
「これで全員か?」
「えぇ、これで全員よ。
アンタのところも準備はできているのか?」
「あぁ、社長から歓迎するための準備が整ったってよ!」
「そう……フッ、日本の伝統文化の”おもてなし”ってところかしらね?」
「まぁ、そういうことだな!」
そう話していた瞬間…
「Freeze!
We decided to have this airport to ourselves!
(動くな!
この空港は我々が独占することにした!)」
「All of you are hostages!
If you risk your life, don't go against us!
(貴様ら全員、人質だ!
命が惜しければ、我々に逆らうな!)」
「If you resist, I'll kill you all!
(逆らえば、全員殺す!)」
突然と空港内に何人かの武装した男達が入ってきた。
「な、なんだコイツらは!?」
「なんてこった……アイツらはテロリストよ!
名前は思い出せないけど、目的のためなら手段を及ばない連中よ!
目的は確か、アメリカを乗っ取ることよ!」
「なんでこんな時に!?」
次の瞬間……
パァンッ!!
パァンッ!!
「ぐはっ!!」
「ぐはっ!!」
なんと、男達はマナリラとモモカズを銃で撃ち殺したのだった。
「Oh my, you have the courage to speak without permission.
Hey guys, did you see it with your own eyes?
I forbid you, the hostages, from speaking without permission!
Otherwise, you'll just die like these two pathetic people!
(やれやれ、勝手に喋るとはいい度胸だ。
おい貴様ら、この目で見たな?
人質の貴様らが勝手に喋ることは禁じる!
さもないとこの哀れな二人のように無様に死ぬだけだぞ!)」
その後、空港の職員がこっそりと警察に通報し、すぐに警察が来た。
警察はテロリストの男達を全員取り押さえられ、全員逮捕となった。
そして空港にいる人達はモモカズとマナリラ以外は全員無事だったそうだ。
しかし、二人は銃で殺されてしまったため、ここで二人の人生が終わることとなった。
ところが……
「なんて哀れな者達だ。
あんなくだらない理由で、お前達がここへ来てしまうのは……なんて可哀想だ。
だが、死んでしまったからには仕方ない!
次こそはそのような事件に巻き込まれないように、新たな人生を歩んでやろう!
ただし、試練を乗り越えてからな!」
閻魔大王によって、二人は試練道……つまり、今の世界へ転生して、そこから二人は頑張った。
その数年で、モモカズはやがて女王に認められ、兵団を率いる団長となった。
そしてマナリラは兵士でありながら、将来的に副団長の候補として注目され、彼女も副団長になるために今も一緒に兵士として団長を支えながら今に至るそうです。
「そんなことがあったんですね……」
「アタシも今も必死に副団長になれるように頑張っているのだよ」
話している間に、サルコスクスとゴルゴプスカバが逃げ出したことで、戦いが終わった。
「さて、アイツらはもう俺らに襲ってくることはないだろう!
もう問題なく、水も確保できるし、すぐに出発するぞ!
お前達もご苦労だったな」
「いえいえ、僕達は当然のことをしたまでです!」
「あぁ、はっきり言って、アイツらは俺の敵ではなかったからよぉ!
余裕だったぜ!」
「それは頼もしいな!
よしお前達、王国まで後少しだ!
水を補充し終えたらすぐに出発だ!」
ヒロキ達と兵団は水を補充した後、すぐに出発した。
ちなみにカツキはマナリラからの話をヒロキとショウブの二人にそのまま話した。
「そうだったんですね」
「マジかよ……まさかここにいる奴ら全員この世界へ転生された人間ってことかよ!?」
「うん、私もびっくりしたよ。
ですが、とても貴重な話を聞けた気がします」
「うん、そうだね!」
「俺らだけじゃなかっただけでも安心したぜ!」
すると、ヒロキ達の会話が聞こえたのか、団長が後ろを振り返った。
「アイツから話を聞かされたんだろ?」
「は、はい!」
「そうか……ここだけの話なんだがな。
この世界にいる転生者達は全員、国や民族、宗教とか関係なく、直接閻魔大王のところへ送られるらしんだ」
「そうなんですか?」
「どういうことだぁ?」
「俺もよくわからんが、みんな口揃えて、”閻魔大王によってここへ転生された”って言うんだよ。
それも俺らのような日本人以外の奴らがそう言ってんだ。
少なくともこの異世界は閻魔大王との関係があると思うんだよなぁ……まぁ、なんだかんだ言って、生前よりもここで楽しく暮らせているからいいけどさ!
それにここにいる奴らは全員、俺らと同様に”やりたいことができずにやり残したことをそのまま残して死んだ者達”だからさ。
この世界にある試練を全部乗り越えたら、今度こそそれらが全部できる人生を歩めるのだよ」
「なるほど……」
「試練って、あの魔法の書に載っているあのリストか?
知らぬ間に何個か達成されていたからな!」
「でも多分、次で僕達の試練がまた一つ達成されるみたいだよ?」
「ヒロキ君、それって、この光っている部分ですか?」
カツキが取り出した魔法の書にある試練のページには、”王国へ辿り着け”という文字が光っていた。
「だったらよぉ、王国に着いたら、それが激しく光るってのか?」
「うん」
「安心せよ!
後少ししたら着くぞ!
カンブリア王国にな!」




