第二十一話:リョコウバトからの伝言
ヒロキ、カツキ、ショウブ、そしてガーデン、スミレ、ダイヤ、サファイア、ルビー、ムラサキケマンの一行は、ヒロキ達が目指していた砂漠の王国であるカンブリア王国から来たオルドビス兵団と合流して、一緒に行くことになった。
しかし、遠くから砂漠が見えても、未だにサバンナであり、まだ砂漠へ辿り着いていなかった。
当然、その途中に猛獣に襲われたりもするが、ヒロキ達と兵団達によってあっさり返り討ちにして、夕焼けになったらその場で野宿することとなった。
「よろしければ、こちらをどうぞ!」
「おぉ、食事を作ってくれるのか!?
すまんな!」
「いただきます!」
兵士達はカツキが作った食事を食べ始めた。
「う、美味い!!」
「久しぶりだ……暖かい飯が食えるなんて!!」
「普通なら干しパンとか干し肉とか干し魚とか乾燥した野菜とか乾燥した果物とかそう言ったものしか食べないからなぁ」
「これはありがてぇ!!」
「当然だろ?
カツキが作った飯はめっちゃうめーからな!!」
「うん、スープも食べれるしね!」
「皆さん、遠慮せずにどんどん食べてください!」
「あぁ、助かるぞ!」
「おいお前ら、これを食べまくって、旅の疲れを飛ばすぞ!!」
カツキが作った料理は、兵団の兵士達が腹一杯に食べていた。
「アンタ、やるじゃん!
カンブリア王国に着いたら、アタシに料理を教えてくれよ!」
「そ、そんな……そんなにたいしたことは……」
「何言ってんのよ!
むしろ羨ましいよ!
アタシなんて真っ黒に焦げてしまうからさ!」
どうやら女性の兵士もいるようで、その兵士はカツキの料理に興味があるそうです。
「お前、マジで!?
ずっとジャングルの中で暮らしてたの!?」
「あぁ、ずっと一人だった……だが、ヒロキ達に出会って、今はこうして一緒に旅に出ているってことだ」
「そっか……苦労したな!」
「そんなんじゃねーよ」
ショウブは兵士達と話していた。
ずっと一人だったのか、ショウブが久しぶりに誰かと喋っている時は少しだけ嬉しそうでした。
そんな様子を見たヒロキは嬉しそうに見ていた。
(ショウブ、なんか嬉しそう!)
ヒロキがそう思っていると、一羽の鳥がヒロキのところに来ました。
バサッバサッ!
「……ん?
ハト?」
その鳥は、ヒロキの肩に乗った。
すると、団長はそれに気付いたのか、ヒロキに声をかけた。
「ソイツ、リョコウバトだぞ。
どうやらお前に伝言でも届けに来たのだろうな!」
「リョコウバト?」
ヒロキはその鳥を見つめました。
そう、よく見たらその鳥はかつてヒロキが読んだ本に出てきたリョコウバトでした。
「リョコウバト……確か、北アメリカ大陸東岸に棲息していたハト目ハト科の渡り鳥で、乱獲によって20世紀初頭に絶滅するまで、鳥類史上最も多くの数がいたと言われていると本で書いてあったけど、この世界にもいたんだ」
「何言ってんだ?
ソイツは伝言を届ける時によく使われる鳥だぞ!
それに小豆で簡単に飼い慣らせるから、伝言を届けたり、偵察させたりする時などによく使われるからな!」
「なるほど!」
「ソイツは見た感じ、エルフ族が送り込んだリョコウバトなんだろうな!」
「エルフ族から?」
「そこの首に巻き付いた紙があるはずだ。
そこに伝言が書かれているぞ」
団長からそう言われたヒロキは、リョコウバトの首についている紙を取り出して、広げてみた。
どうやらそれはエルフ族の村長からの伝言だった。
「……これって、村長からだ!」
「えっ?」
「なんだぁ?」
カツキとショウブがそれに反応して、一緒に伝言を読んでみることにした。
『ヒロキ君へ
アレからだいぶ経過したようじゃが、何か困ったことはないか?
何かあったら、ワシに伝言を送ってくれても構わぬ!
無事に王国へ辿り着いて、手紙がそっちへ渡されるのを願っておる。
お主らの飼い慣らした生き物達も全員元気に過ごしておるぞ!
それと、事後報告になってしまうが、ワシらがお主らの拠点を勝手に改良させてもらった。
じゃが、それはお主らの拠点を守るためにワシの決断で改良させたんじゃ。
しかも最近では、河童族どもがワシらを偵察しに地下から現れるようになったんじゃ……ワシらエルフ族と河童族は互いに犬猿の仲でなぁ……何かとあれば戦争が起きてしまうのじゃ。
じゃがワシは戦争は望んでおらぬ……あの河童族どもをなんとかしないと、お主らが飼い慣らした生き物達が殺されてしまうじゃろう……マーニー達がしっかりと守ってくれてはいるが、侵略を開始するのは、時間の問題じゃ。
とにかく、人間をワシらの味方になってもらわないと困る。
悪いが手紙を渡すついでにこのことを伝えてくれぬか?
すまんのぅ……これがワシからの伝言じゃ。
報告とかあれば、この紙の裏面でも良いから、そこに書いて、ワシのリョコウバトに持たせてくれると幸いじゃ。
村長より』
「結構ヤベー展開になってんなぁ!
河童族だぁ?
そんなのがいんのかよ!?」
「河童族って、あの河童ですよね!?」
「みんな、無事そうでよかったけど、流石に心配になってきたよ!」
「んなこと言って、今更帰れんのか?
俺は無理だぜ?」
「……どうしましょう」
すると、伝言を聞いていた団長はある決心をする。
「……よし、女王陛下にこのことを伝え、河童族からエルフ族を守るようにしなければならぬ!」
「団長?」
「……新しい紙を用意して、私からの伝言を書かせてもらう!
おい、新しい紙とペンを用意せよ!」
兵士に紙とペンを用意してもらい、団長は村長への伝言を書いた。
「……」
黙ったまま黙々と書き続けた。
「……よし、書き終えた」
書き終えた後は、紙を丸めて、リョコウバトに持たせた。
「リョコウバト、お前の主人のところへ帰りな!」
「クルックー!」
そう言って、リョコウバトは飛んでいった。
「……飛んでいきましたね!」
「届くと良いがな……」
次の日の朝、ヒロキ達は兵団と一緒に王国への旅を続けた。
それからも長い旅をして、時々野宿して泊まったりしているうちにいよいよ砂漠へ辿り着いた。
「……やっと砂漠だね!」
「あぁ、だが王国までにはまだ時間がかかるぞ。
おそらく早く出たとしてもだいたい一週間もかかるぞ。
みんな、元気よく行くぞ!」
おおおぉぉぉっ!!!!
「みんな、王国まで後少しみたいだから頑張ろう!」
「テメーら、気合いで行くぞ!!」
「ガオォッ!」
「ガアァオォッ!!!!」
「ガアァオォッ!!!!」
「グウゥアァッ!!!!」
「ハーイ!」
「ケッ!」
「で、でも皆さん、無理しないでください!」
ヒロキ、カツキ、ショウブ、そしてムラサキケマン、スミレ、ガーデン、ルビー、サファイア、ダイヤ、そして兵団と一緒に頑張って、王国へ向かった。
ちなみに砂漠には、プルモノスコルピウス、メガラニア、ティタノティロプス、アエピカメルス、ホランダ・ルセリア、ファソラスクス、プロトケラトプス、クリケトプス、ツァガノミス、そして野性のシリアラクダなど、意外にも多くの生き物が生息していた。
団長の話によると、砂漠とは言っても、水があるオアシスが各場所に存在しており、その周囲にはサボテンなどの植物が生えているそうで、草食はその植物を食べるために砂漠へ彷徨い、肉食は肉を食べるため、襲う草食を探すべく砂漠へ彷徨っているそうだが、中には生き物の死骸を求めて砂漠へ彷徨う生物がいるとのことで、当然ながら狙われる危険性があるとのことだった。
実際にプルモノスコルピウス、メガラニア、ティタノボアなどの危険生物からの襲撃があったが、全員で返り討ちにした。
そんな中、ヒロキ達はとある生き物を見かけた。
「どうしたの?」
「ヒロキ君、あそこに巨大な蛇がいるけど……アレって、足ありますよね?」
「あぁ?
あるわけねーだろ?
蛇に足が……って、あるわ!?」
「あの蛇は……まさか、ネットで見た新種の蛇じゃないのか!?」
「新種?」
「あんまり覚えていないけど、名前は確か、ナジャシュ・リオネグリナという足のある蛇で、2006年にその化石が発見されたってね!
足のある蛇……つまり、ナジャシュの発見により、蛇の先祖には足があると考えられるようになったんだってね!」
「それ、どっかのサイトで見たことがあるような……ねーような気がするが、一時的に話題になってたな」
足のある蛇ことナジャシュは、ヒロキ達の存在に気づいていないのか、どこかへ行ってしまった。




