第十七話:ついにサバンナへ!?
それから程なくして、長い旅をしていたヒロキ達は、暗くなるまでには一回も休まずにジャングルの中へ進み続けました。
「もうそろそろサバンナに到着しても良い頃だと思います」
「と言ってもまだまだなんだろ?」
「そうだね……まだサバンナらしき場所が見当たらないよ」
カツキ、ショウブ、ヒロキはそう言いながら進んでいくと、向こうから何かが見えた。
「アレ!?」
「どうかしましたか?」
「あ、アレ……アレってもしかして!?」
「なんだなんだぁ?
……マジかよ!?
やったじゃねーか!!」
「す、すごい!!
ちゃんとサバンナへ辿り着けたんですね!!」
なんと、向こうにはサバンナが見えてきたのでした。
しかもよくみたら、ジャングルにはいないと思われる生き物達もいたのでした。
「前に見かけたディノテリウムにトリケラトプス、ステゴサウルス、ディノピテクス、ティラノサウルス、ティラコレオとかもいるし、それ以外にも、ジャイアントチーターもいるみたいだね!」
「アレってチーターなのかよ!?
俺はてっきり、ジャングルで見かけたジャイアントジャガーだと思ってたぜ?」
「ジャイアントジャガーっていたんですか!?」
「おったぞ。
まぁ、見かけただけで俺には無関心だったぞ」
「てっきり殴り殺しているのかと思って……」
「殴り殺すのは俺に刃向かった野郎どもだけであって、何もしてこねー奴は肉を得る時以外は何もしねーよ!」
「そうだったんですね……あなたは意外と優しい一面があるんですね」
「う、うるせー!」
するとヒロキは何かに気付いたのか、ガーデンから降りて、一人でサバンナへ足を踏み入れた。
「なんだアイツ?」
「ヒロキ君、どこへ行かれるのでしょうか?」
「ジャングルよりも危険なんだろ?
尚更一人でサバンナへ行ったらダメだろーが?」
ヒロキはサバンナへ入った後、ある生き物を見て驚いた。
「やっぱり見間違いじゃなかった!
絶滅したはずのマクラウケニアにブルーバック、クアッガ、シバテリウム、しかもディメトロドンにアンキロサウルス、エステメノスクスまでいるよ!
すごい……ジャングルよりもめちゃくちゃ多くの生き物がいるね!
……全部、僕達の世界では既に絶滅してしまったけど」
すると、突然と魔法の書が激しく光り出した。
「ん?」
どうやら試練を乗り越えたようで、魔法の書の試練を見てみると、そこには”遠くへと旅に出て、違う土地へ辿り着け”という試練が既に達成されていた。
それも、カツキもショウブも同様にその試練が達成されていた。
「いつの間にか俺らはコイツを達成していたのか?」
「ってことは、試練として乗り越えたってことでしょうか?」
「とりあえず、ヒロキについていくしかねーだろ?
ほれ、行くぜ」
「ハーイ!」
「スミレもすっかり良い返事をしやがるなぁ……」
二人はガーデン達と一緒にヒロキの後を追うようにサバンナへ進んで行った。
「それにしても本当に見たことがない動物が数多くいますね」
「どうせこの世界のことだから、そのほとんどは絶滅した奴らばかりだろ?」
「で、ですよね……だって、ガーデンことガンドントラ、スミレことミイロコンゴウインコ、そしてルビーとサファイアことアロサウルスにダイヤことテリジノサウルスも本来なら既に絶滅していましたからね!」
「だろうなぁ……少なくともこの世界そのものが謎だらけだ。
しかも遺跡らしき建造物もあるからよぉ」
カツキとショウブはそう話ながらヒロキの後を追っている間、ヒロキは遠くから何かが何かを追いかけているのを見かけた。
「ん?
狩りをしているのかな?
……って、よく見たらジャイアントカンガルーと呼ばれていた”ステヌルス”がいるではないか!?
しかもその背後にはケープライオン達に追われているとは!?
……蹴りとパンチが強いカンガルーでも流石にライオンの群れには勝てないのか」
どうやらヒロキは、現代のカンガルーより体が大型であるステヌルスとかつてアフリカ南部のケープ地方に分布していましたが、そこは金やダイヤモンドが採れる地域だったため、急速に開発が進んだことで絶滅したケープライオン達の群れに追われていたのを見かけたのでした。
そこへ、カツキ達も追いついた。
「ったく、俺らを置いていくなよ!」
「そうですよ!」
「ごめんごめん!
でも気になって思わず見に来ちゃったよ!」
「クワーッ!」
「ガオォッ!」
「ガアァオォッ!」
「ガアァオォッ!」
「グウゥアァッ!」
「ほれ、コイツらもテメーのことを心配していたぞ!」
「アハハッ……心配かけさせちゃったね」
しかし、ちょうどそろそろ夕方になってきたので、テントと焚き火を設置して、カツキが夕食の準備、ヒロキは採取、ショウブは狩りに出かけ、そしてガーデン達は自分が食べるための肉を確保するための狩りをしに行った。
「アレ?
このジャガイモは確か……ノーザンルビー!?
しかもこっちには、玉ねぎ?
いや、よく見たら僕の叔父さんが育ててた札幌黄なのか!?
すげーなぁ……子供の頃に叔父さんの家に行って、家族みんなで玉ねぎを収穫したけど、叔父さんはその頃から車椅子だった僕に優しく玉ねぎを置いて、”コイツはただの玉ねぎじゃねぇ……札幌黄というめちゃくちゃ美味しい玉ねぎで、コイツを食べてしまったら、もう普通の玉ねぎを食べることはできねーかもな?”って言ってたなぁ……後はこの黄色のニンジン……これも確か、叔父さんの畑で栽培されていたジャンヌドウブスなのか?
シャインマスカットもそうだけど、どうしてこの世界には僕達が生前にいてた前の世界で食べられていた野菜と果物の品種が普通に存在するのかなぁ……そこだけが本当に不思議だよ」
ヒロキは不思議そうな顔をしながら、次々と根菜を中心に採取した。
ドサッ!!
「とりあえず、一頭のブルーバックで俺らの分を確保したぜ!」
ショウブは手に持っていた投げ槍でブルーバックを仕留めた。
その間にガーデンはマクラウケニア、ルビーとサファイアは二匹でパラケテリウムを仕留めており、ダイヤはテントの近くにある木に生えている木の葉を食べ始めており、スミレはその木から落ちた木の実を拾って食べていた。
そして三人が揃って、夕食を食べました。
「ブルーバックの肉って、柔らかくて美味しいですね!」
「うん、そうだね!
ショウブって、やはり狩りになれているんだね!」
「まぁ、こんなの朝飯前だけどな」
「確かに!」
そして夕食を食べ終わった後はすぐに眠りについた。
しかし、ガーデン、ルビー、サファイア、ダイヤはかわりばんこで見張ることになり、ヒロキとショウブは男同士ってことで一緒に寝て、カツキはスミレと一緒に寝ることになった。
「そっか……まぁ、わからなくもねーよ。
けど、俺はテメーら二人を見てると、一つだけ思ってることがあんだよ」
「思ってること?」
「あぁ、テメーらって、長いこと一緒にいるんだろ?
だったら、無意識にお互いに大切な人になっているかもな?
……って思ってんだよ」
「君と違って、そんなに長くいなかったけど……」
「んなもんわかってるよ!
だがなぁ、人間ってのは、一緒にいることで、絆や友情、そして恋を生み出すことがあんだよ。
俺もいつの間にか喧嘩仲間ができて、深海のように深い友情ってのが生まれたんだよ。
俺とテメーはもうこの世界で生きる仲間だから自然とそういうものができるのは間違いねーけど、カツキとテメーとは、どのみち結ばれる運命にあんだよなぁ……」
「そうなのかなぁ……でも、僕はずっと病気で苦しんで、ずっと車椅子生活だったから、恋愛とかそういうのは経験していないから、よくわからないよ」
「フッ、そのうちわかるぜ」
「……ショウブって、恋愛とかは?」
「興味はねーけど、少なくとも俺に告ってきた女どもは多かったなぁ……まぁ、すぐに断ったぜ。
その時の俺は既に喧嘩に明け暮れていたから、そんな俺と一緒にいてくれるとは思ってもいねーからさぁ」
「……君もきっと、本当の意味で大切な人に会えるはずだよ!」
「……そうだなぁ」
ヒロキとショウブはそう喋った後はぐっすりと眠りに落ちたのでした。




