第十五話:一方、その頃……
ヒロキとカツキはガーデンとスミレと一緒に旅をしていた途中、二匹のアロサウルスと一匹のテリジノサウルスを飼い慣らしていた少年“ショウブ”と出会い、ショウブも新たにヒロキ達の旅に加わるのでした。
「ヒロキ、カツキ、俺らで役割を分担しねーか?」
「役割って?」
「俺は大型の猛獣との喧嘩に慣れているから、俺が戦闘をメインにする。
カツキ、テメーは確か、家事とか料理とかが得意なんだろ?」
「そ、そうですけど……」
「ならそっちは任せる」
「は、はい!」
「それとヒロキ、テメーはクロスボウや弓矢などの遠距離からの攻撃に特化してくれ。
それと、テメーは恐竜とやらには詳しいだろうから、知ってる情報があれば、すぐに教えな」
「うん、わかった!」
「後、もしも気に入った生き物がいれば、独自に仲間にするってことでいいか?」
「ワカッタ!!」
「ほう?
テメーは確か、なんちゃらオウムのスミレだっけ?
良い返事をしやがるな!」
「どんどんと言葉を覚えているみたいですね!」
「後はティラノサウルスなどの生き物の声を覚えさせたいよなぁ……」
「あぁ?
なんで覚えさせる必要があんだ?
オウムとかインコとかなら、勝手に覚えるだろ?」
「いえ、訓練してこそ成り立つんです!」
「フーン……」
すると、旅の途中であるものを見つけた。
「あぁ?
なんだありゅ?」
「えっ!?
そ、それはなんですか!?」
「あり得ない……このジャングルにあるのか!?」
目にしたのは、なんと古代遺跡とも言えるような場所だった。
「ま、前に僕、一人で洞窟に行った時、深い場所にアレとは別の遺跡をこの目で見たことがあるんだ。
そこにマーニーさんというエルフ族の女性から“古代都市”と呼んでて、全ての洞窟の奥深くに存在するらしく、そこには番人が眠っていると……」
「な、なんか怖いです……あそこに入ったら、何かが起こるってことですよね?」
「うん、そういうことになるかな?」
「……この世界のことだ。
よくわかんねーが、どうやら今の俺らには近づくのは危険すぎると判断した方が良さそうだ。
とりあえずここを去って、目当ての王国へ目指すぞ」
古代遺跡から離れた後、気を取り直して旅を続けた。
一方、その頃……
ドサッ!!
「ヴォーッ!!」
「ピイィーッ!!」
「ヴァウッ!!」
「ヴァウッ!!」
「ヴァ〜〜〜オォ〜〜〜〜ッ!!」
どうやら、ドードーの畜舎へ近づいたマカイドゥロスをアローラ達でボッコボコにして倒してしまったそうで、特にゴードンの一撃によって、そのマカイドゥロスは死亡した。
ガツガツッ!!
そしてそのマカイドゥロスの死体は、タンポポとクローバー、そしてネザーによって、骨と皮以外は全部綺麗に食べてしまいました。
ドサッ!
「ドゥードゥーッ!」
「ドゥードゥーッ!」
「ドゥードゥーッ!」
「ドゥードゥーッ!」
ガシッ!
そしてアローラはドードー達の様子を見て、卵を見つけては鉤爪で上手く回収し、ゴードンはドードー達が食べるベリーをドードーの畜舎へ直接運び、アローラとゴードンでドードー達の世話をしていた。
そこへ、様子を見に来たマーニーがやってきた。
「あ、アイツら……しっかりと留守番をしているなぁ……しかもあそこにある皮と骨だけのあの死体ってまさか、マカイドゥロスかい?
だとしたら、あの二人がいなくっても、この拠点をしっかりと守っているみたいだね」
マーニーは唖然としていた。
そこへ、マーニーの弟達もやってきた。
「姉貴、どうしたんだ?」
「アレ?
アイツら、ちゃんと留守番できてるな!」
「見た感じ、食糧とかの心配はなさそうだな!」
「てか姉貴?
さっきからボーッとしてるけど、大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ。
ただ、驚いてただけだよ」
「ところで姉貴、ここへ何しに来たんだ?
ここはあの人間が住んでたところだろ?」
「村長からの命令だよ。
ここの掃除とこの拠点のメンテナンスをな」
「マジかよ……」
「まぁ、村長からの命令なら仕方ねーよな!」
「言っておくが、盗んだら承知しないよ」
「おいおい、俺らがそんなことするわけねーだろ?」
「そうだぜ!
俺らが盗むようなもんはねーよ!」
「まぁ、アンタらが流石に盗みは絶対にしないことはアタシも充分にわかってるよ。
でも、念のために釘をさしておこうかと思ってね」
「ってか、掃除といっても何をすれば良いんだ?」
「糞と食べカスを取ったり、埃を拠点の内部から取り除くこと、後はトイレ掃除と風呂場の掃除!
誰もいなくなると、虫とかが棲みつくようになるからね」
「まぁ、それは確かにそうだけどよぉ……」
実はマーニーとその弟達は、村長からの命令で、週に一回は必ずヒロキ達の拠点にやってきて、様子を見に来ていたのでした。
今回は掃除と拠点内部のメンテナンスがメインとなるのだが、場合によっては拠点に近づいてきた危険生物を追い払ったりしているそうです。
ちなみに、この時点で“誰かが拠点から何かを盗むのではないか?”と考えているだろうが、マーニー達姉弟は基本的に根は優しく、真面目で、仕事に熱心に取り組む性格の持ち主だからである。
特にマーニーは弟達には必ず釘をさして言うほどである。
「にしてもアイツら帰ってこねーかな?」
「いつかは帰ってくるだろ?」
「でもそう簡単に帰ってこれねーんだろ?」
「確か砂漠にある王国へ目指すんだっけ?」
「そうだよ。
ここからだとほぼ一ヶ月以上はかかるはずだよ」
「マジかよ……」
「ってか、なんでコイツらを留守番させるんだ?」
「この拠点を守ってもらうためと危険な旅になるからあえてここに留守番させてるんじゃね?」
「ここもそうだけど、サバンナだろうが砂漠だろうが関係なく、常に危険は潜んでるものだよ。
だって、この世界には“安全地帯”と呼べるような場所は存在しないよ」
「た、確かにそうだったな」
「ってか、喋ってないでさっさと掃除しな!」
「は、はい!」
必死にマーニー達は拠点の掃除をした。
そして掃除を終えた後はメンテナンスをした。
「この柵、さっきのマカイドゥロスにつけられた傷跡があるね」
「姉貴、この畑にディファロサウルスらしき恐竜の足跡があるぜ?
そこには柵が壊れてるけど……」
ディファロサウルスとは、ジュラ紀前期シネムーリアン期からプリンスキアン期にかけて北米又は中国に生息した原始的な獣脚類恐竜のことである。
「それは多分、逃げた痕跡じゃねーの?
ここにはディノケイルスというディファロサウルスにとっては超危険な恐竜がいるからさ!」
「確かになぁ……」
それから夕方になった頃にはメンテナンスも終え、アローラ達と別れの挨拶をした後にマーニー達は村へ帰りました。
「さて、村に帰ったら飯だな!」
「とりあえず、帰りになんかを仕留めてから行こうぜ!」
「今晩の飯にか?」
「そう!」
「アタシは別に良いけど、あんまり無茶すんじゃないよ」
すると、早速ディファロサウルスに遭遇した。
「ギャオォーッ!!」
「ディファロサウルスか……」
「久しぶりに肉食恐竜の丸焼きにでもするか?」
「そうだな!」
「ほんなら、今日はコイツだな!」
「アンタ達、アタシはさっさと村に帰るから、暗くなる前にソイツをさっさと仕留めなよ!」
マーニーは先に帰り、弟達はディファロサウルスに立ち向かった。
ちょうどその頃、ヒロキ達はたった今、ディファロサウルス達の群れが襲ってきたため、戦っていた。
「ギャオォーッ!!」
ドガッ!!
「オラァッ!!」
グサッ!!
「ギャオォーッ!!」
ガブッ!!
「ギャオォッ!!」
ガブッ!!
「ギャオォッ!!」
ガシッ!!
「ガオォーーッ!!」
ショウブ、アロサウルスのルビーとサファイア、テリジノサウルスのダイヤ、そしてガーデンによってあっさりとディファロサウルスの群れは全滅して全員倒されました。
「ぼ、僕達の出番は……」
「ないみたいですね……」
「クワーッ!」
唖然としていたヒロキとカツキとスミレは黙ってみていた。
そこへ、ショウブ達がたくさんのディファロサウルスの死体を持ってきた。
ドサッ!!
「ガルルルッ……」
「ガアァウゥッ!」
「ガアァウゥッ!」
「テメーらは好きなだけ食ってな。
後、コイツを今日の晩飯にするが、それで良いか?」
「も、問題ないけど、まだ朝だけど……」
「私達でもそれを全部持っていけるかですかね……」
「チッ、仕方ねーなぁ!
わかったよ!
俺の魔法の書の収納のところに全部収納して保管してやるよ!」
その日の晩は、ディファロサウルスの肉をみんなで食べたそうで、余ったものはカツキによって全て塩漬けにされたのでした。




