第十三話:絶滅した美しいオウムと凶暴な古代ゾウ
サーベルタイガーの仲間であるマカイドゥロスとネコのような見た目をした有袋類のティラコレオと大昔に存在した古代虎のガンドントラによる縄張り争いの後、偶然姿を現したディノケイルスの出現で、マカイドゥロスとティラコレオは逃げ出したが、ガンドントラだけは逃げることもなく、そのままガーデンとして仲間に加わった。
そして今、ヒロキとカツキはガーデンに乗って、ジャングルの中を進んで行った。
ドドッドドッドドッドドッ!!
ビュンッ!!
ドドッドドッドドッドドッ!!
「高く飛べるし、そしてものすごい速度で走っています……まるで馬に乗っているような感じがしますわ!」
「いや、競馬で優勝した馬よりも速いよ!
それと、ガーデンなら間違いなく、サバンナへの近道を知っているはずだから、サバンナへたどり着くことを信じて行こう!」
ドドッドドッドドッドドッ!!
ガーデンは二人を乗せながら懸命に走り続けた。
しかも余裕そうな表情をしているため、どうやらジャングルからサバンナへ行ける近道はほぼ把握済みのようです。
ドドッドドッドドッドドッ!!
「……」
それから程なくして夕方になった。
「ガーデン、ここで止まって!
もうそろそろ暗くなるからね!」
ヒロキからの指示を聞いて、ガーデンは止まり、ヒロキとカツキはいつものようにテントと焚き火を設置して、そこで夕食を食べることになった。
しかし、そこにはガーデンはいなかった。
「どこに行ったのでしょうか?」
「いつの間にかいなくなったけど……どこへ行ったんだ?」
すると、ジャングルの奥の方からガーデンが何を咥えて帰ってきた。
ドサッ!
「こ、これって!?」
「が、ガリミムスを仕留めてきたの!?」
どうやらガーデンは自分の夕食のためにガリミムスを仕留めてきたそうです。
ちなみにガリミムスとは、約7000万年ほど前の白亜紀後期の当時のモンゴルに生息した比較的大型の草食恐竜で、「ダチョウ恐竜」とも呼ばれている。
そんなガリミムスを仕留めたガーデンは黙々と食べ始めた。
ガツガツッ……
「この世界の動物って意外と知能はある方なんですか?」
「さぁ?
でも、少なくとも自分で食べるための食べ物を自分で食べる分だけの量を確保できているから、きっとそうだと思うよ」
「……ヒロキ君、話題を変えてしまうけど、いいかな?」
「どうしたの?」
「このジャングルには、意外とインコとかオウムとかはいませんよね?」
「えっ?
そうか?
いるとは思うけど?」
「私、この世界に来てから一回もインコとかオウムとか見てなくて……」
「どうして?」
「私、実は子供の頃からオウムとかインコとかを飼ってみたいと思ってたけど……」
「あぁ、そういうことね。
君の兄優先の家だから……」
「はい、そんな話をしたくてもできず、その夢を叶えることもなく……」
すると、食べ終わったガーデンは首を上に上げて、そこから左右に横をゆっくりと振りながら何かを見ていた。
「ん?
ガーデン?
どうしたの?」
「どうかされたのでしょうか?」
「わからない……食べ終わったら突然とあんなことを……何かを探しているのか?」
すると、ガーデンはカツキを見つめた。
「わ、私ですか?」
そしてガーデンはそのまま首を右上の方へ向けた。
「……」
「どういうことでしょうか?」
カツキはその方角を見てみることにした。
すると……
「……み、見えました!!」
「どうしたの?」
「あそこに数匹のインコ達がいますわ!!」
「えっ?」
そこには、木に止まっているインコ達がいたのでした。
「あ、アレは……まさか、カロライナインコの群れか!?」
「か、かろらいないんこ?」
「テレビで見たことがあるけど、カロライナインコは確か、元々は北アメリカ大陸に結構な数がいたけど、食用と観賞用のために乱獲され、しかもヨーロッパから北アメリカ大陸へ渡った人達が果樹園をつくったことで、果実を食べる害鳥として駆除された経緯もあり、それが原因で野生の個体は1904年に、動物園の飼育下の個体は1918年を最後に死亡したことで、カロライナインコは絶滅してしまったんだ」
「それにしてもものすごい数がいますね!」
「うん、にしてもよく見つけたなぁ……まぁ、そろそろ暗くなるし、僕達ではあの木に近づくことすらできないかもだし……」
「えっ?」
「あの木、結構長いし、あそこまでには何がいるのかもわからないから余計に危険だしね」
「そ、そうですね……」
「うん、そこだけは仕方ないよ。
それとガーデン、カツキのために探してくれてありがとう!」
ヒロキがそういうと、ガーデンも照れくさそうな表情をしながら頷いた。
そして夜へ迫ってきたことで、二人はテントに入って眠った。
しかし、ガーデンはまだ寝るつもりはなく、ほぼ見張りをしてくれていた。
翌日、カツキが早起きして、朝食の準備に取り掛かった。
その時は既にガーデンは眠っていた。
「ありがとう、ガーデン……私達のために見張りをしてくれて、気持ちよく眠れましたよ」
「……」
すると、カツキの背後から一羽の鳥がやってきた。
バサッバサッ!
「ん?」
ガシッ!
その鳥はなんと、カツキの頭の上に乗っていた。
「えっ!?
な、なんですか!?」
驚いたカツキはその頭の上にいる鳥に触ろうとした。
すると、その鳥は頭を下に向けて、カツキを見つめた。
「クワーッ!」
「!?」
カツキは驚いた。
しかし、よく見るとその鳥はとても美しいオウムだったのです。
「き、綺麗なオウム……カロライナインコとは違う種類のようだけど、何かしら?」
カツキは魔法の書を取り出して、図鑑に記録されて乗っているかどうかを確認した。
「……あら?
いつの間にかカロライナインコも……しかもその前には私とヒロキ君がボートでの旅で見たトリケラトプスなども記録されていますね!」
どうやらこれまで見たトリケラトプスなどの新たな生き物は既に記録されていた。
「……この子ですね!
えっと……ミイロコンゴウインコ?
コンゴウインコそのものは知っていましたけど……ヘェー、害鳥としての駆除、食用とペット用の捕獲などが原因で、1885年を最後に絶滅したんですね。
それにしても、こんなにも美しいオウムは初めて見たのですが……」
その正体は、ミイロコンゴウインコという絶滅したコンゴウインコの仲間だったようでした。
すると、ミイロコンゴウインコは頭から左肩へ飛び降りて移動した。
ガシッ!
「!?」
「クワーッ!」
「び、ビックリしました!」
するとそこへ、ヒロキが起きてきた。
「おはよう……って、カツキの肩に綺麗なオウムがいるなぁ……その子はどうしたの?」
「よ、よくわからないのですが、いつの間にか私のところにいてて……」
「クワー!」
「なるほど、もしかしたら君のことを気に入ったのかもね?」
「えっ?」
「名前は忘れてしまったけど、絶滅したオウムの一種なんだろ?
オウムならきっと、果物とかそういうのを食べるかもなぁ?
まぁ、少なくともその子は君に懐いてるみたいだから、君のところから離れる前に飼い慣らした方がいいよ!」
「飼い慣らすってどうすればいいんですか?」
「図鑑に飼い慣らせる生き物には必ずその方法が書いてあるはずだから見てみなよ!」
「は、はい!」
改めて魔法の書の図鑑にあるミイロコンゴウインコのページを確認してみることにした。
「……えっ?
あるのでしょうか?」
「どうしたの?」
「ここはジャングルですよね?
ジャングルなのに……ミイロコンゴウインコにはシャインマスカットで飼い慣らせるって書いてあって……」
「シャインマスカット?
それって、僕達が生前の頃によく食べてた糖度が高くても後味スッキリしたブドウだろ?
この世界にあるのか?」
二人の喋り声が聞こえたのか、ガーデンもやっと起きた。
「ガルルルッ……」
「おはよう、起こしちゃってごめんね!」
「……」
眠そうな顔をしながら、どこかへ行った。
「どこへ行くのでしょうか?」
「トイレじゃないかな?」
「そうだといいんですけど……」
「クワッ?」
「あなた、目の前に大きなトラさんいるけど、怖くないの?」
「クワッ!」
「平気そうだね。
まぁ、普通ならみんな逃げ出すけどね」
すると、また何かを咥えたガーデンが戻ってきた。
「スッキリしてますね!」
「結構大きな糞でも出したんだろうね……ん?
アレって……」
よく見たら、ガーデンが咥えていたのは、マスカットらしきものだった。
そしてガーデンはカツキへ近づいて、それを渡した。
「こ、これは……」
カツキは一粒だけ食べてみた。
モグモグッ……
「……ん!?
これ、シャインマスカットですよ!!」
「えっ!?」
「はい、ヒロキ君も!!」
カツキは一粒だけヒロキに渡して、食べさせた。
モグモグッ……
「どうですか?」
「……うん、間違いない、それがシャインマスカットだよ!」
「ということは、これをあげたら仲間になってくれるってことでしょうか?」
「うん、そういうことだね!」
それがシャインマスカットだとわかった後、カツキは一粒だけ取って、それを肩に乗っているミイロコンゴウインコに見せてみると、待ってましたと言わんばかりにガッツリと食べた。
ガブッ!!
「食べました!」
ムシャムシャッ……
「クワーッ!」
ミイロコンゴウインコはそても満足そうな表情になった。
すると、カツキの前に“ミイロコンゴウインコが仲間になりたそうにこちらを見つめている”という表示が現れ、その下には“仲間にしますか?”があり、その下には“YES”か“NO”のどちらかが出た。
「……まさかここで夢が叶うとは思わなかったけど……うん、こんな機会はほぼないから仲間にします!」
そう言って、カツキはすぐに“YES”をクリックした。
ポチッ!
すると、“ミイロコンゴウインコはあなたに飼い慣らされ、あなたの仲間になりました!”と表示された。
「クワーッ!!」
「タンポポとミントの次に仲間になりましたね!
じゃあ、あなたは今日から、“スミレ”にします!」
「クワックワッ!」
「スミレって、花の名前?」
「うん、可愛いかなと思ったけど……問題ないですよね?」
「勿論!」
こうして、スミレと名付けられたミイロコンゴウインコはカツキの仲間になった。
ところが、そんな時に突然とガーデンの表情は変わって、唸り声を上げながら後ろの方を向いて威嚇していた。
「ガルルルッ!!」
「どうしたのでしょうか?」
「何かいるのか?」
すると、向こうからものすごい音が聞こえてきた。
ドシンッ!!
ドシンッ!!
ドシンッ!!
ドシンッ!!
更にその奥から大きな遠吠えが聞こえてきた。
パオオォォォォーーーーンッ!!!!!
「ぞ、ゾウ!?」
「クワッ!?」
「ま、まさか……」
「カツキ、すぐに片付けるよ!!」
「は、はい!!」
二人は慌ててテントや焚き火を片付け始め、そして忘れ物がないかどうかを確認した後にガーデンに乗って、すぐに走った。
ドドッドドッドドッドドッ!!
「これはもうヤバいぞ……アイツらは今、めちゃくちゃ機嫌が悪い!!
このままでは僕達も奴らに殺される!!
後、スミレをしっかり抱きついてやれ!!」
「は、はい!!」
カツキは強くスミレを抱きしめた。
「クワッ?」
「大丈夫ですよ。」
そう言い聞かせ、カツキは後ろの様子を見るべく、こっそりと振り向いた。
そこには見たことのないゾウの群れが不機嫌な顔をしながら走っているのを見た。
ドシンッ!!
ドシンッ!!
パオオォォォォーーーーンッ!!!!!
ドシンッ!!
ドシンッ!!
「アレはなんですか!?
あんな大きいなゾウを初めて見ました!!」
「何!?」
ヒロキは思わず後ろを振り返って、そのゾウ達を見た。
「で、デイノテリウムなのか!?」
「それはなんですか!?」
「前に本で読んだことがあるんだけど、デイノテリウムは他のゾウと違って、下顎から下方に向かって生えた牙が特徴のゾウで、新生代新第三紀中新世中期から第四紀更新世前期のアジア、ヨーロッパ、アフリカに生息したと言われているんだけど、まさかソイツらに追いかけ回されるとは思わなかったよ!!」
ドドッドドッドドッドドッ!!
「ガーデン、アイツらに追いつかれないように頼む!!」
「ガオォッ!!」
ドドッドドッドドッドドッ!!
二人はガーデンに乗って、不機嫌なディノテリウムの群れから逃げ続けました。
それでもカツキはしっかりとスミレを抱きつき、ガーデンも素早く走り続けた。
ドドッドドッドドッドドッ!!
「ヒロキ君、もうこれ以上ガーデンを早く走れないのですか!?」
「もうそれで限界だぞ!!
全力で走ってくれてるけど、奴らもめちゃくちゃしつこいよ!!」
ドシンッ!!
ドシンッ!!
パオオォォォォーーーーンッ!!!!!
ドシンッ!!
ドシンッ!!
「例えるなら、僕達はテレビで見たハンターから逃げる逃走者の気分だよ!!」
「ですが、ディノテリウムとかいうゾウの群れ、数えてみたら約十頭もいるみたいなので、ほぼハンター十人に追われているって感じでしょうか?」
「まぁ、ほぼそういうこと!
まぁ、ここから逃げ切ればいいのだが……」
ドドッドドッドドッドドッ!!
「ガーデン、頑張れ!!
君なら逃げ切れるよ!!」
「ガオォーッ!!」
すると、ガーデンが走ってる向きから奥の方から大きな遠吠えが聞こえてきた。
ギャアアアオオォォォ〜〜〜〜ッ!!!!
「今の声はなんですか!?」
「なんか聞いたことのある声だったね!!」
その時、スミレは叫び出した。
「クワーーーッ!!」
「どうしたのですか!?」
叫びながらスミレは首を右の方へ向いた。
「クワーーーッ!!」
「どうしたの!?」
「スミレが叫びながら顔の向きを右へ……」
「右?
よくわからないけど……ガーデン、右に行ける?」
すると、ガーデンはそれに頷き、すぐに右の茂みへと飛び込んだ。
ビュンッ!!
「ガオォーーーッ!!」
ドサッ!!
茂みの中へ隠れることができた後、ガーデンはグッタリと倒れた。
どうやらスタミナが切れて疲れ切ってしまったようです。
「ガーデン、ここまで走ってくれてありがとうね!」
「ガウッ!」
「ひ、ヒロキ君、ここに隠れて大丈夫ですか?」
「うん、でもここにいるしかないよ!」
その茂みのところにディノテリウムの群れがやってきた。
が、次の瞬間……
ドスンッ!!
ドスンッ!!
「ギャアアアオオォォォ〜〜〜〜ッ!!!!」
大型の肉食恐竜が奥から姿を現した。
その肉食恐竜を見て、ディノテリウム達は驚いた表情をした。
そして、ディノテリウム達は全員、後ろへ振り返って逃げ出した。
「パオオォォォォーーーーンッ!!!!!」
ドシンッ!!
ドシンッ!!
ドシンッ!!
ドシンッ!!
大きな遠吠えを上げながら慌ててディノテリウム達は逃げ出し、その大型肉食恐竜はすぐにディノテリウムの群れへ追いかけ始めた。
ドスンッ!!
ドスンッ!!
「……ひ、ヒロキ君、アレってまさか、あの有名な……」
「うん、間違いなくアイツはティラノサウルス!
まさかあのティラノサウルスに遭遇できるとはなぁ……まぁ、結果的だけど、そのティラノサウルスのおかげで、僕達は助かったのかな?」
「クワーッ!」
「スミレも怖い思いをしましたね……でも、もう大丈夫です!」
「クワッ!」
「……とりあえず、助かったのはいいが、とりあえずガーデンをしっかり休ませてあげよう!」
「うん!」
ガーデンを寝かせている間、ヒロキとカツキは早めにテントと焚き火を設置して、カツキがスミレにオヤツとして残りのシャインマスカットを食べさせている間、ヒロキは魔法の書の図鑑を見ていた。
「……なるほど、一回でもこの目で見たらすぐに記録されるみたいだね。
すぐにディノテリウムとティラノサウルスについて記録されているし……遠くから見つけたあのカロライナインコにも記録されたってことは、やはりこの目で一回でも見たらこうやって記録されるのか」
だんだんと図鑑の仕組みを理解した後、ヒロキは試練のページへと開いて、どんな試練があるかを確認した。
(……ほう?
次に僕が飼い慣らしたら、“最低でも約五種類の生き物を仲間にして飼い慣らせよ”という試練が達成されるみたいだね。
まぁ、特に飼い慣らすための制限とかもないからいいけど……まぁ、確かに五種類仲間にしておいた方がいいかもね。
僕が飼い慣らしたのはネオタマンドゥアのアローラ、ハルパゴルニスのネザー、ディノケイルスのゴードン、そしてガンドントラのガーデン……それに対して、カツキはディノニクスのタンポポとミント、ミイロコンゴウインコのスミレ……数で言えば二匹と一羽だけど、種類は二種類しかいないってことになるのだろうか?
まぁ、とりあえずゆっくり考えるとするか)
ヒロキは頭の中でそう思った。




