第十二話:マカイドゥロスvsティラコレオvsガンドントラ
翌日、ヒロキとカツキは朝食を食べ、その後はテントや焚き火を片付けました。
「ヒロキ君、全部片付けたので、ボートをお願いします!」
「うん!」
補強をしたボートを川に出して、二人はそのボートに乗って、再び出発しました。
そこから問題なくボートを進めていきました。
「……結構遠くまで来てしまいましたね」
「そうだなぁ……そりゃ向こうまでの距離は結構あるから、ここなんてまだまだだよ……感覚で言えば、徒歩でニューヨークからカリフォルニアへ向かう感じかな?」
「ニューヨークからカリフォルニアへ?
結構な距離がありますよ?
徒歩で行くのでしたら、約一ヶ月以上はかかりますよ!?」
「うん、そんなもんだよ!」
「そ、そんなぁ……」
「だから長旅になるって言っただろ?」
「だ、大丈夫なんでしょうか?
あの子達……」
「一応そんなこともあろうと、アイツらのための約二ヶ月分の食料はわかりやすい場所に置いてあるから大丈夫!
それにあの子達のことだからまぁ、自分達でなんとかなるかもしれないなぁ……ただ、アローラとドードー達が食われないかが心配だけどね」
「きっと大丈夫だと思います。
流石に仲間を食べたりしませんから!」
一方その頃、アローラ達はというと……
「……」
ペロペロペロペロペロペロッ……
「……」
「……」
「……」
ガツガツッ!
「……」
ムシャムシャッ……
アローラは近くにあった蟻塚に穴を開けて、そこからアリを食べており、ネザーとタンポポとミントは仕留めた獲物を一緒に食べ、ゴードンはその辺の木から葉っぱを食べて、意外とマイペースに過ごしていた。
それから、ボートでジャングルの川を進んでは、夕方になるとどこかでテントを設置し、そのテントで眠り、その翌日に出発して、そこからまた進んでいき、夕方になったらまたどこかにテントを設置し、そのテントで眠って、その翌日にまた出発するという繰り返しをしていた。
その途中で危険な生き物に遭遇することがあり、ティタノボア、カルノタウルス、ケラトサウルス、タンポポとミントとは別個体のディノニクス、ディノピテクスなどに遭遇しては戦ったり、逃げたりしていたこともあった。
そんなある日、夕方になって、ボートから降りて、ボートを魔法の書に収納し、ヒロキとカツキがある場所でテントと焚き火を設置して、夕食を食べていた時にまた新たな生き物に遭遇するのであった。
「美味しいですね!」
「うん、君が作る料理はとても美味しいよ!」
「ありがとう、ヒロキ君!」
すると……
ドスッ!
「ん?」
後ろを振り返ると、そこには大型のネコ科の獣がいた。
「ガルルルッ……」
「う、嘘でしょ!?」
「……そっくりだな」
「えっ?」
「……サーベルタイガーにそっくりだけど、アレはサーベルタイガーではないと思う!
とにかくカツキ、君はすぐに隠れるんだ!」
「ど、どこにですか!?」
「どこでもいい!
僕が奴を食い止める!」
「は、はい!」
カツキを隠れさせ、ヒロキはそのネコ科の獣に立ち向かった。
「ガルルルッ……」
「君は僕が相手になってもらう!」
そして書かれているカツキはその獣について、魔法の書にある図鑑に記録されているかどうかを調べた。
ペラッ……
「このページは、私が前に遭遇した生き物ばかり……」
ペラッ……
「……」
ペラッ……
「……ありました!!
ま、マカイドゥロス?
何々……中新世後期から鮮新世前期にかけて当時のアフリカ大陸に生息したサーベルタイガーの一種?
でも確かにそっくり……」
その時……
ガサガサッ!
「!?」
カツキは思わず後ろを振り返ると、そこには別の獣がいた。
「ガルルルッ……」
「な、なんでここに!?」
その獣は、ネコ科に似ているようだが、どう見ても別種である。
しかし、その獣は今、カツキを狙っていた。
「わ、私を食べないでください!」
カツキは魔法の書から弓矢を取り出し、その獣に構えた。
ググググッ……
「わ、私はとても不味くて食べられません!!
だから、そんな目で見ないでください!!
さ、さもないと……」
「ガルルルッ……」
ドスッ!
その獣はどんどんカツキへと近づいてきた。
ところが……
「!?」
その獣は突然と顔の向きを左へと向いた。
そこにはその獣のことを見つめているマカイドゥロスがいた。
「カツキ、大丈夫か!?
まさかアイツが現れるとは……いや、何故だ?
何故アイツは僕の目の前にいるこの獣と互いに睨み合っているんだ?」
「ガルルルッ……」
「しかもアイツ、僕の顔が正しければ、家族と一緒にオーストラリア旅行で行ったあの博物館で再現された模型を見たような……」
すると、両者とも二人から離れ、どんどんと近づいていった。
「ガルルルッ……」
「ガルルルッ……」
ドスッ!
ドスッ!
どちらも互いに睨み合った。
「ガルルルッ!!」
「ガルルルッ!!」
そして遂に両者とも飛びかかって、戦い始めた。
「ガウッ!!」
「ガオォッ!!」
ビュンッ!!
ビュンッ!!
ガブッ!!
ガブッ!!
「た、戦い始めました……」
「カツキ、大丈夫?」
「は、はい……襲われずに済みましたけど……」
「それならよかった!
でも、アイツは……」
「ひ、ヒロキ君、さっきのはマカイドゥロスというサーベルタイガーの仲間です!」
「なるほど……どうりでサーベルタイガーにそっくりだなと思ってたけどね……」
ドサッ!!
「ガオォッ!!」
ガブッ!!
「ガルルルッ!!」
するとヒロキは何かを思い出した。
「思い出した!」
「えっ?」
「カツキ、君を襲ってきたのはティラコレオと言って、かつては今から約160万から約5万年前、新生代漸新世から更新世に、オーストラリア大陸に生息していた有袋類の一種!
……まさか、ここであのティラコレオをこの目で見れるとはなぁ」
「ご存じなんですか?」
「うん、この世界に転生する前……つまり、僕がまだ生きてた頃に家族と一緒にオーストラリアへ旅行に行った時に博物館を訪れたけど、その時にはティラコレオなどの実物大模型や骨などを見たんだ。
そのティラコレオの姿はまさに博物館に展示してあった模型とほぼ同じ姿だった」
ヒロキがカツキにそう話していても、マカイドゥロスとティラコレオとの戦いはまだ終わっていなかった。
「ガオォーーッ!!」
シュッ!!
「ガウッ!!」
シュッ!!
互いの攻撃を交わし合っているためか、かすり傷が一つもなかった。
「ガルルルッ……」
「ガルルルッ……」
「す、すごいですね」
「あぁ……ここまで戦えるとはなぁ……」
ヒロキとカツキがそう呟いたその時……
ドスッ!
ドスッ!
「ガルルルッ……」
今度は明らかに巨大な虎のような獣が現れました。
「今度は虎ですか!?」
「いや、虎にしてはデカすぎるよ!
僕が知っている限り、アムールトラが世界最大の虎だと思ってたけど、アイツはそのアムールトラよりも明らかに大きすぎる……絶滅種の虎だろうか?」
「絶滅種の虎でしたら……えっと、確か……」
「カスピトラ、ジャワトラ、バリトラだったかな?」
「は、はい!
そうです!
よくご存知ですね!」
「まぁ、小学校の頃の自由研究て虎について調べたことがあってね」
その巨大な虎のような獣は、だんだんとマカイドゥロスとティラコレオへと睨みながら近づいていった。
「ガルルルッ!」
「ガオォッ!!」
「ガオォッ!!」
ビュンッ!!
ビュンッ!!
ビュンッ!!
その獣も参戦したことで、マカイドゥロスvsティラコレオvs虎のような獣との戦いが始まった。
「ガオォーーッ!!」
「ガオォッ!!」
「ガウッ!!」
ガブッ!!
シュッ!!
ドサッ!!
するとヒロキは何かを察し、カツキも魔法の書の図鑑を見て、既にその獣について記録されていることを確認した。
「これって……」
「ヒロキ君、あの獣の正体がわかりました!」
「なんだ?」
「結論から言うと絶滅した虎の一種なんですが、更新世の当時のインドネシアに生息していた“ガンドントラ”と言って、アメリカライオンなどと並ぶ最大級の肉食動物とのことです!」
「ヘェー、更新世って結構古い時代なんだろ?
そんな時代から虎がいたとはね……ってか、ライオンも?」
「そう見たいですね……それよりヒロキ君、さっきなんか言いかけてましたよね?」
「あぁ、忘れてた!
……僕の推測になるけど、アレはおそらく縄張り争いをしているんだと思うよ」
「な、縄張り争い……ですか?」
「そう、生活するために自分が支配をする範囲を巡った争いのことで、普通なら同種同士でやることが多いけど、この場合はおそらく、偶然にも同じ場所に居合わせてしまったことで、それが縄張り争いへと発展したんだと思うよ」
「で、ですが私達は結果的に襲われずに済んだってことでいいのでしょうか?」
「いや、油断はできないよ。
もしもそれが終わっても、勝った奴に襲われるってことだ。
だからこそ、ずっと武器を構えてなければならない!」
「た、確かに!」
そう言って二人は改めてそれぞれの武器を構えた。
シュッ!!
「ガオォっ!!」
ガブッ!!
「ガウッ!!」
ドガッ!!
「ガオォーーッ!!」
マカイドゥロス、ティラコレオ、そしてガンドントラの戦いにまだ決着をつくことはなかった。
ところがその時……
ドスッ!!
ドスッ!!
ドスッ!!
ドスッ!!
「!?」
「!?」
二人は後ろを振り返るとそこにはゴードンとは別個体のディノケイルスが出現した。
「ご、ゴードンとは別のディノケイルスでしょうか?」
「あぁ、だが奴は何をしにここへ?」
ドスッ!!
ドスッ!!
すると、ディノケイルスの姿を見て、マカイドゥロスとティラコレオとガンドントラはその姿を見て、マカイドゥロスとティラコレオは慌てた逃げ出した。
しかし、ディノケイルス自身は川の方へ向かっていた。
「さ、魚を取りに来たのでしょうか?」
「アイツらはディノケイルスを見て逃げ出したけど、何故あのガンドントラは逃げなかったのかな?」
「それより……すっかり深夜になりましたね」
「そうだったな……寝るか?」
「は、はい……ですが、なんか怖いので、その……一緒に寝ませんか?」
「えっ!?
ぼ、僕なんかと!?」
「だ、ダメでしょうか?」
「も、問題ないよ!!」
深夜になって、二人は一緒に寝ることになった。
この時、ヒロキはこう思った。
(まさかカツキと一緒になることになるとは……しかも寝ながら僕に抱きついてきて、僕の背中に大きな胸が当たってるよ!
どうしょう……寝れるのだろうか?)
そう思いながら眠りについた。
そしてガンドントラはというと、疲れたのか、その場で眠った。
翌日……
「ご、ごめんなさい!
私ったら……」
「い、いいんだよ!
僕もびっくりしたけど、別に謝ることではないからその……」
そんな二人のところにガンドントラがやってきめ、目の前に座り出した。
ドサッ!
「……」
どうやら二人を襲うつもりはないようです。
「アレはマカイドゥロスとティラコレオと戦ってたガンドントラですね……」
「襲うつもりはないね」
「どうしますか?」
「……よし、決めた!
この子も来てもらうことにするよ!」
「えっ?」
ヒロキはすぐに魔法の書を出して、図鑑にあるガンドントラのページを開いた。
「……鳥系の肉か……ん?
アレは?」
ヒロキはジャングルの奥の方にドードーがいた。
「……ドードー、悪いが君を仕留めさせてもらうよ!」
ヒロキはクロスボウでドードーを仕留め、その仕留めたドードーはガンドントラにあげてみた。
「……これ、食べる?」
それを見たガンドントラはヒロキが仕留めたドードーを見て、すぐに食べ始めた。
ガツガツッ!
「ヒロキ君、この子を仲間にするんですか?」
「うん、もうこれしかないかなと思ってね……どうせならこの先にまたマカイドゥロスやティラコレオのような危険な生き物に遭遇することになるからさぁ……それに、コイツは僕達を襲わずにその場で寝てたみたいだしね」
すると、ヒロキの前に“ガンドントラが仲間になりたそうにこちらを見つめている”という表示が現れ、その下には“仲間にしますか?”があり、その下には“YES”か“NO”のどちらかが出た。
「勿論、君も今日から僕達の仲間!」
そう言って、ヒロキはすぐに“YES”をクリックした。
ポチッ!
すると、“ガンドントラはあなたに飼い慣らされ、あなたの仲間になりました!”と表示された。
「ガオォッ!」
「よろしくね!
君は今日から“ガーデン”と名付けるからね!」
「がーでん?」
「今思いついたけどね」
「ガウッ?」
「よ、よろしくね!」
というわけで、ガンドントラのガーデンが仲間として加わることになり、朝食を食べ終わった後は出発する準備をしました。
「えっ?
乗せてくれるんですか?」
「……」
「いいのか?」
ガーデンは二人を見てそう頷きました。
そこからは、ボートではなく、ガーデンに乗っていくことにしました。
ドドッドドッドドッドドッ!!
「は、速いですね!」
「あぁ、ボートより結構早く行けそうだよ!」
「ですね!」
後で調べてみて分かったのだが、サドルがなくても乗ることが可能な生き物がいるらしく、アローラのネオタマンドゥアとガーデンのガンドントラなどがそれに当てはまるそうてます。




