第十一話:川
荷造りを終え、夕食を食べた後はすぐに就寝した。
そして夜明けが来る前に早起きして、朝食を食べた。
この時から既にアイテムを収納するために使われる“チェスト”という大きな箱の中に素材や長旅では使わないアイテムなどを保管しているため、魔法の書にある収納では、食糧と武器、道具、長旅に必要なアイテムしか入っていないため、結構スッキリしていた。
そして一緒に同行するアローラ達について、ヒロキとカツキは話し合った。
その結果、アローラ達全員を留守番させることになった。
「ごめんねみんな……でも僕達は今から危険な旅に出かけてくるからさぁ……アローラとネザーはドードーの畜舎、タンポポとミントは畑、そしてゴードンは拠点を守って欲しいんだけど……いける?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
アローラ達は全員、頷いた。
「そうか……じゃあ、行ってくる!」
「もしかしたら、帰って来た時には新しい仲間も一緒に来るから、その時は仲良くしてあげてくださいね!」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
アローラ達は全員、頷いて、長旅へ出発するヒロキとカツキを見送っていた。
そして二人が完全にジャングルの奥の方へ進んでいったのを見送った後は、アローラとネザーはドードーの畜舎へ向かい、タンポポとミントは畑へ向かって、そこを守ることになり、ゴードンも拠点を守りながら、誰もいないかを見ながら確認した。
一方の二人はというと、ヒロキがティタノボアと戦い、ヒロキとカツキがゴードンと出会った場所で、いつもヒロキが釣りをする場所でもあるあの川へたどり着いた。
「……さて、ここへ辿り着いたら、アレを出そう!」
ヒロキは魔法の書の収納から、最初の長旅に必要なアイテムであるボートを取り出して、それを川に置き、そのボートにヒロキとカツキが乗った。
「は、初めて乗りました……なんか緊張します」
「僕もボートに乗るのは初めてだけど、これなら安全に行けると思うよ」
「う、うん……私もそう思います!
で、ですが……油断は禁物かと」
「わかってるよ……いくら安全だからと言って、完全に安全とは限らないけど……」
ボートでゆっくりと進んでいると、トリケラトプスやステゴサウルス、ブロントザウルス、イグアノドン、ジャイアントモア、ディプロトドン、メガテリウム、ジョゼフフォアルチガシアなどの様々な動物を見かけては見て楽しんだ。
「初めて見ました……そのような生き物が私達の世界ではかつての大昔に存在していたとは……この世界って改めてすごいですね」
「僕もこの目で感動しているんだ。
特にトリケラトプスやステゴサウルスなどの有名な恐竜が見れるなんて……あの日、最初に見たブラキオサウルス以来かな?」
「私も同じく、テレビで紹介されるくらい有名な恐竜をこの目で見れてよかったです!」
「そっか、それはよかった!
……そういえば、あのブラキオサウルスは今、どうなっているのかな?」
「元気に過ごしていると思いますよ!」
「そうだよなぉ……」
やがて、まるでアマゾン川のような広さのある大きな川へ辿り着いた。
しかし、よく見たら明らかに巨大なワニらしき危険な生き物が所々に見かけるようになった。
「アマゾン川のように広いですね……」
「こういう場所ほど、危険な生き物は潜んでいるのは間違いないから、念のために武器を構えた方が良いよ」
「ヒロキ君もですか?」
「うん、僕も既にクロスボウを出してあるからいつでも攻撃できる」
「頼もしいです。
ですが……あの巨大なワニって、もしかして同じ大昔にいたワニでしょうか?」
「恐竜や絶滅した動物がいる世界なら、そう考えても良いかもしれないね。
僕が知っている限り、あそこにいる巨大なワニというのはきっと、サルコスクスかデイノスクスのどっちかだと思うよ」
「い、今はまだ気づいていないのですが、もしも私達の存在に気づいたら、襲って来ますか?」
「勿論、そうなったらこのボートは終わりだよ」
「そ、そんな……」
その時、ヒロキは何を思ったのか、早くオールで早く漕ぎ始めた。
「ど、どうされました!?」
「カツキ、急ぐから捕まってて!!」
「えっ!?」
ヒロキは必死にオールで漕ぎまくって、ボートを素早く進めました。
すると……
ザバァーーーンッ!!!!
ガブッ!!!
「う、嘘!?
川から巨大なワニが!?」
「水中にいてた奴が僕達の存在に気づいていたか……」
「そんな……」
「あのワニは間違いなく、デイノスクスだな!
ということは、君が見たあそこにいるのがサルコスクスってことになる!
よく見たら口の形と大きさではっきりと異なってたしね!
僕が生きてた時、家族と一緒に博物館で化石と実物大模型を見たことがあったけど……」
「ヒロキ君、急がないと私達、食べられてしまいます!!」
「でも逃げ切れそうだよ!
後ろを見て!」
「えっ?」
後ろを振り向くと、なんと巨大な滝は繋がっていたのです。
「ひ、ヒロキ君、まさかですが……」
「あぁ、そのまさかだ!!
もう後ろに奴もいるしな!!」
「う、嘘でしょ!?」
「しっかりと捕まってろ!!」
ヒロキは思いっきりオールで漕ぎ、カツキはしっかりと捕まり、二人でボートに乗って、滝へ落ちる覚悟をしました。
「……」
ブクブクッ……
二人を仕留めようと追いかけて来たデイノスクスは何かを察したのか、諦めて川の中へ潜っていった。
そして遂に……
ヒューーーーンッ……
「キャアアアアァァァァーーーーッ!!!!!」
「うおおぉぉぉ〜〜っ!!!」
ザバァーーーンッ!!!!
滝の真っ下へと落ちていった。
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……死ぬかと思った」
「怖かったです……」
「大丈夫?」
「は、はい……」
二人とも無事で、ボート自身も無事のようです。
「奇跡ですね……普通だったら壊れていたはずですが……」
「あぁ、これはただの偶然だと思う」
「偶然ですね……うん、私も間違いなくそう思います!」
「とにかく、またここから進めて行くよ?
まだ夜になるまでまだ時間もあるから……」
再びボートで川を進んでいった。
まだジャングルの中であるが、それでもパラサウロロフスやブラキオサウルス、ディノピテクスの群れ、アローラとは別の個体であるネオタマンドゥア、メガラダピスなどを見かけた。
「すごいですね……まさに古代生物しかいない神秘的な世界って感じがします!」
「そうだね……」
「ヒロキ君、どうしたんですか?
何か考え中ですか?」
「うん、そろそろ暗くなるから、どこか安全な場所はないかなと思ってね」
「そうなんですか?」
カツキは空を見上げると、後少しで夕方へとなろうとしていた。
「ホントだ……後少しで夕方になりますね!」
「あぁ、まだまだだけどね」
川で進んでいる途中に周囲に植物や木がないキャンプをするにはちょうどいい場所を見つけ、そこへボートを止め、カツキは焚き火を設置して、ヒロキはテントを設置した。
テントも焚き火もどちらも長旅に必要なアイテムです。
そしてヒロキがボートを見て、どこか異常がないかどうかを確認して、カツキは夕食の準備をした。
「ヒロキ君、夕食の準備はできたけど、ボートに何か問題はないですか?」
「さっきの滝へ落ちた時の影響で、少しだけ補強しないといけないなと思ってるよ」
「なるほど……ですが、その前に……ね?」
「うん、わかってるよ!」
夕食を済ませた後はヒロキとカツキの二人で一緒にボートの補強をして、明日の出発に備えました。




