第十話:村長からの依頼
次の日、ヒロキとカツキの二人は起きた。
しかし、昨日のディノピテクス達との戦いで、アローラ達は今も爆睡中である……二人は先に朝食を食べた後、カツキはドードーの畜舎へ行って、ドードーの様子を見に行き、ヒロキは畑で耕し、その後に新たな作物を植えていた。
「とりあえず、ここを耕して……」
耕した後に、新たな作物の種を植えていた。
「……さて、後は水を……」
すると、奥の方から誰かが拠点へやってきた。
ドスッドスッ!
「ん?」
拠点にやってきたのは、なんと草食恐竜に乗っていたマーニーだった。
「ま、マーニーさん!?」
「また会ったな……」
「どうしてここに?」
「アンタ達に用があって来たんだよ」
「……その子ってパラサウロロフスですか?」
「よく知ってるね……この子はパラサウロロフスのマーブル、アタシの相棒だけど、それがどうした?」
「み、見たことのある恐竜だったので……」
「……それもそうか……アンタは転生者だから、アタシのマーブルを見てすぐにパラサウロロフスだと気付いたんだろ?」
「そ、そんな感じですね……」
マーニーの相棒であるサドルが付けられたパラサウロロフスのマーブルには、サドルが付けられていた。
なお、パラサウロロフスとは、中生代白亜紀後期の北アメリカ大陸に生息した大型の鳥脚類の草食恐竜で、ティラノサウルスやトリケラトプスなどの有名な恐竜に劣るが、それでも知名度は高い方である。
「そ、それで……用事というのは?」
そこへカツキが駆けつけてきた。
「あ、あなたはもしかしてマーニーさんですか?」
「良いタイミングで来たね」
「でもどうしてこちらに?」
「どうやら僕達に用があって来たみたいなんだ……」
「というのは?」
「……とりあえず二人とも、村までに来な。
村長がアンタ達に会いたがっているらしいからね」
「村長?」
「まぁ、来てみればわかる」
というわけで、マーニーと一緒に二人はエルフ族の村へ行くことになった。
マーニーからタンポポとミントを連れて行くように言われ、アローラ、ネザー、ゴードンを留守番させ、タンポポとミントはヒロキとカツキと一緒に同行した。
「アンタ達、サドルは?」
「サドル?」
「そう、ディノニクスはサドルがあれば、乗ることができる生き物だよ」
「でもサドルって、そう簡単に作れないものですよね?」
「一応作業台でサドルを作れるのですが、今の私達では作れるのかどうかもわからないくらいのほぼ入手困難な素材がありまして……」
「その入手困難な素材って何が?」
「……樹脂です」
「樹脂?」
「今僕達が住んでいるここには樹脂が取れる木がないですからね……」
「それもそうか……確かにこの辺には樹脂が取れる木は見かけないね……ジャングルで樹脂が取れるのなら、きっと奥深くの方へ行かないといけないね。
それに、樹脂は普通では取れない素材だしね」
「普通では取れない?」
「そう、樹脂を取るには専用の道具がいるよ。
でも、その道具を作るには専用の溶鉱炉と鍛冶台、金床が必須になるからね」
「ってことは……鉄が全然足りない!」
そんな会話をしている間、ついにエルフ族の村へと到着した。
「こ、ここが……エルフ族の村でしょうか?」
「うん、そうだよ……ここがそのエルフ族の村」
「でも、雰囲気はまるでファンタジーゲームの世界観とジャングルに住む先住民のような村の作りが組み合わさって、とても美しく見えますね!」
「ヒロキが村に来たのはこれで二回目だが、アンタは初めてだっけ?」
「は、はい……」
すると、一人の老人がやってきた。
「やっと来たか……マーニーよ、この者が?」
「あぁ、アンタの望み通りに二人の人間を連れて来てやったぞ」
「すまんな……二人とも、ワシのところに来るが良い。
そなた達と話がしたいのでな」
「は、はぁ……」
「わかりました……」
タンポポとミントは村の外で大人しく待っている間、ヒロキとカツキはその老人から話を聞くことになった。
その老人こそがエルフ族の村の村長だそうです。
「ぼ、僕達以外にもいたんですか?
その転生者としてこの世界にやって来た人間が?」
「そう、それも数千年前からずっとじゃ。
お主らを含めて、その数千年間にやってきた人間は合わせて百人……勿論、三つの大陸それぞれにその百人の人間達がばら撒かれておる状態でやってくるのじゃ。
温帯大陸と冷帯大陸にはどのくらいいるのかは知らぬが、ワシらがいる熱帯大陸には約三五人がこの大陸にやって来たんじゃ……その中にお主らも含まれておるのじゃぞ?
じゃが、この世界はまさに、試練と呼べるようなものかもしれん……何故なら、ここには元々いてた世界よりもより多くの命に関わるほどの危険が数多くあるのじゃ。
当然、中にはそれで命を失った者もいるじゃろう……だが、それでも強く生き延びた者達はやがて、集団へと集まっていき、そして三つの大陸でそれぞれ大きな王国を築くようになった」
「お、王国?」
「この大陸にあるってことは、ご存知なんですね?」
「勿論……その王国があるのは砂漠……ここから砂漠までの道のりが長く、より多くの危険が待っておるのじゃ……」
「……もしかして、その王国に関するお話でしょうか?」
「うむ、少しだけ察しがついたようじゃなぁ……お主らとその王国に者達は全員、この世界にやって来た転生者……転生者同士だからこそ、今回の本題へと繋がるのじゃ」
「な、何をすれば良いのでしょうか?」
すると、村長は深呼吸をして、その後に口を開いた。
「……お主らにはすまぬが、ワシらの代わりに使者として、その砂漠に行ってもらえないじゃろうか?」
「!?」
「!?」
「その代わりにお主らの拠点はワシらが全力で守り、お主らの欲しいものも全部くれてやろう」
「そ、それはありがたいのですが……」
「それって報酬になりますよね?
その報酬……めちゃくちゃ多くないでしょうか?」
「そりゃそうじゃ。
エルフ族とその王国との間には、深刻な対立が深まっており、いつしか戦争だって起きる……ワシらもそれは望んでいないこと」
「それってつまり、戦争がなく、平和的に解決したいってことですか?」
「うむ、そうじゃ。
だからお主らにはワシらエルフ族の代わりに使者として王国へ行ってもらえないだろうか?」
「何をすれば良いんですか?」
「この手紙を渡してもらえたら、それでいいのじゃ」
そう言って、手紙をヒロキに渡した。
「……中を見ても良いですか?」
「そうじゃなぁ……お主らも見ておいた方がよかろう」
二人でその内容を見た。
「……互いに犠牲を出さずに戦争を避ける案?」
「一、樹脂と引き換えに鉄などの金属類を渡すこと。
二、同盟を結んで、互いに助け合うようにすること。
三、お互いの文化をお互いに理解しあって、互いに受け入れること。
……この三つだけですか?」
「内容からして、戦争を望んでいないことが伝わってくるよ」
「ですが、向こうも私達のことを聞いてくるのではないでしょうか?」
「確かにそれはあるね。
必ず僕達のことを聞かれるよ」
「それもあり得るのだが、とりあえずエルフ族に頼まれて来たと言えば、なんとかなるじゃろう……まぁ、ワシらエルフ族はこのジャングルから出たくないんでなぁ……」
「どうしてですか?」
「……まず、第一の理由に、ジャングルから抜けると、サバンナと砂漠へ抜けるのじゃが、そこにはジャングル以上に危険な生き物が数多くいるのじゃ。
それと、ワシらエルフ族にはサバンナと砂漠の環境を適応できず、熱中症になって死んでしまうんじゃ。」
「熱中症?」
「うむ、ワシらは暑さに耐えきれない体になっておるんじゃ。
仮に暑さ対策をしても、生きて帰れる者はごく僅かしかおらんのじゃ」
「つまり、僕達にはその危険な旅に出ろと?」
「まぁ……そういうことになるじゃろう?
だが安心するが良い……報酬はきっちりと用意させてもらった」
「報酬?」
「うむ、その報酬は既にお主らの拠点へ運んである。
その代わりに……頼んじゃぞ?」
「は、はぁ……」
「そして無事に手紙を届けることができれば、直接ここへ来て、ワシに報告してくれ。
良いな?」
「ま、任せてください!」
こうして、村長からの依頼を受け、村から出た。
しかし、そこへ待っていたタンポポとミントが駆けつけ、そして一緒に拠点へ帰っていた。
「明日出発ですね」
「あぁ、とりあえず拠点に帰ったらすぐに行く準備をしょう!」
「うん!」
しかし、拠点に戻ってみると、そこには山のように積まれた物資が拠点の外に置いてあり、そこには“報酬です……受け取ってください”という置き手紙があった。
「す、すごいですね……」
「どうやって運んだのかな?」
中身は大量の樹脂や大量の鉄などがあった。
「わ、私達に?」
「これらが渡されるってのはきっと、そんだけあそこには危険が待っているってことになるだろうね」
「で、ですよね……」
すぐに拠点へ入った後、夕食を食べる前にすぐに荷造りをして準備を始めたのでした。




