残された者
今年の二月頭位から仕事が変わってしまい色々と不憫な生活が続いてるし天気は当てにならんしでしんどい日々です…
皆さんも体調管理はしっかりしましょう…
▷▶︎▷
コンコンと、軽快にノックする。それで返事がある事など稀だ。
例えるなら、3パーセントくらい……
別段、それが億劫とも思わなかった。
「ひさにぃ、入るよー!」
ガチャと扉を開けて。
「ご飯持って……あれ?」
元々、薄暗い部屋だった。
だいたいゲームしてて気づかないままかお布団で寝てるのだが……
部屋はもぬけの殻。
「ゲームつけっぱだし、布団はぐちゃぐちゃだし……」
ご飯を乗せたトレーを部屋の外に一度起き、部屋を片付けて小さめの机のホコリを拭き取り、トレー乗せる。
「メッセだけ送っとこ。」
スマホを慣れた手つきで操作する。
多分入れ違いでコンビニにでも言ったのだろう……そう思った。
〝メッセージが届いたよ!〟
「ひさにぃが置きっぱなしなんて……」
“何かあったら電話する様に”と耳にタコができるくらい言い聞かせてきたひさ兄が…?
「ありえない……」ピロン♪
ご飯を置いて、部屋を出ようとした時に、ひさ兄のPCが動き始める
ひさ兄のPCが勝手に操作されていきゲームの画面に切り替わる。
超常現象以外の何物でもない…理解したくない光景が広がる。
「嘘でしょ…?まさか、この中に居るの?」
〝エデン・フェアリー〟ひさ兄が熱中してやってたゲーム…
アバターネームが平仮名で〝しろさき ひさと〟になってる上にPCが勝手に動き出したのも考えると…そうとしか思えなかった。
「それよりも…これ今のステ?」
ここまで一切の操作を私はしていないのに、メニューからひさ兄と思しきアバターのステータスが表示される。
「レベル1でレベル17のアマゾネスと戦ってる!?馬鹿なのお兄!?」
RPGの基本である。Lv+5までならステータスに差があっても苦戦を強いられる位で済むが…
10以上差がつくと、余程好条件でも無い限り、勝利はありえない…
それこそ、1匹のアリがゾウを倒す次元だ。
HPにして3桁vs5桁手前、その他ステータスも1桁以上の差がついている。特に酷い差があるのが攻撃力と俊敏である。
ひさ兄は一撃でも当たりすれば、掠った程度でも致命傷なのに対して向こうはこっちの攻撃が当たっても文字通り掠った程度のダメージ…
ここまでステータスに差が出てる状態で戦闘しているのは、自殺行為か戦闘狂のどっちかでしかない、、、が陽鎖刀はそのどちらでもないなどということは妹である自分がよく知っている。
自分のよく知る兄は、危険な選択を選ぶ位なら遠回りでも安全な方へ行く人だ。
「もし…このゲームの中でひさ兄が戦ってて…このHPが尽きたなら…」
かつて小説だったかアニメかは忘れたけど…ゲームの中に閉じ込められたプレイヤーの話があったのを過ぎる…
「・・・」
もし…それがわかった所でこちらから干渉する方法が現状分からない以上、私に出来ることは無い…
「なんて諦めるほどぬるい女の子じゃないの…」
ひさ兄のPCを操作し始める。
このゲームはやった事がある。だから簡単な操作なら私でも出来る。
生憎と言うべきか、こちら側から操作でひさ兄を動かすのは無理…
「次…」
アイテムストレージは木の枝が70本ほど。
回復用の薬草が3回分
予備のナイフ
木槍
「ガラクタばっかじゃん!」
少し声を荒らげてしまう。
マップを開けば、森の中の洞窟内に居るそうだ。
そんな事は正直どうでもいい、何か、解決法を。
「そういえば音出てない…?」
ヘッドホンしながらやるからだろうか?
PCからゲーム音は全くしない…
自分の部屋からイヤホンを取りに戻り、接続する…
「…!」
«逃げてるだけじゃ、勝ちはないよ!»
«わかってる!»
剣の交差する音、会話の内容が聞こえる。
「…今の声、ひさ兄の声…」
ボソッと言った声だった。するとひさ兄は敵からあからさまに距離を取って周りをキョロキョロし始める。
«よそ見厳禁だよ!!!»
その距離を一瞬で詰められ、ひさ兄が斬られそうになる。
「ひさ兄!避けて!!!」
その声が聞こえたのか。袈裟斬りをバックステップで避ける…
«…ありがと。助かった»
どっと安心感が過ぎると同時に、今ので確信する。
今そこにいるのはひさ兄で…死ぬかもしれない状況で…
「どうすれば……」
何も出来ない無力さが私を襲う…
«もし…わかるなら相手の俊敏を教えて»
状況を理解してるのか、指示が飛んでくる。
«坊や、そろそろ茶番は終わりだよ!»
だけど相手は待ってくれない。
返事をする前に、相手のステータスを確認する。
「220!」
数字を伝えた途端、ひさ兄は剣で意図的に土煙を起こす
«小細工をするんじゃ…居ない!?»
辺りをキョロキョロする敵のアバターだが、しかし視界に収まるわけが無い。
だって…真後ろに居るんだから。
«ゲームセット…僕の勝ちだ。»
そう告げたひさ兄。
あたりがザワつく声だけが、異様に私の耳に残ってた。
最近、身内の影響でVチューバー配信を見るのが日課になりつつあるんですが、コレと言って性癖にささることなく毎日が進んでいきます。
やっとこさで重い腰をあげて更新していこうと思いつつ、執筆が思う通りに進まない悲しみ。
明日から本気出します⤵⤵⤵