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星空舞う騎士の英雄譚  作者: 小鳥遊 白奈
呪いの魔法と穢れない思い出
14/25

最後の通告

 頭に響く拍手の音で目を開ける。


「いやぁ、おめでとう。

 イレギュラーがハプニングの連続の割には、よく頑張ったほうじゃないかな?」

 まただ、この世界で2回目に会う?謎の人物。

 姿形は不明だし、どこから喋ってるかも不明なのに、重要人物なのは分かるこの違和感。


「そだね。僕の名前は…“ノルン”ということにしておこう。

 提示した条件を達した君をイレギュラーなんて失礼はもうやめよう。」

 そして霞む視界で、ボヤケた霧状に姿を作る、見た感じは少年のようだが?


「ごめんね、力が戻ってないから、姿を見せれないんだ。

 でもどうせ、ここで君と会うのはこれが最後だ、分かるでしょ?」


 コクっと頷く所作を取ると、分かってるならいいと話を続ける。


「さて君は召喚者だ。

 僕以外による禁術で召喚された被害者でもある。」

 まぁ、それは残りの召喚者にも言える話だけどね?と苦笑するのを忘れない。


「今までに沢山の召喚者が邪神を挑む前に命を落とし、そのうちの半数がユグドラシル前に存在する守護者の存在に倒されている。さっさとこんな迷惑な存在を倒して欲しいのだが、君には目指す前にしなきゃならないことが有る。」


 全く迷惑な話だよ、と悪態をつきながら話を一方的に続ける。

「君と一緒に召喚された子の回収だったり、君を召喚した子だったりを見つけたりね?」


 霧状の姿が崩れ始めてくる。

「全くせっかちな魔法だよ。

 ん?何処にいるのか?うーん、ホントは教えちゃダメなんだけどねぇ?

 、、、、まぁ、君には期待を込めてヒントを渡しておこう。」


「蒼い月も太陽の光も届かなくなった夜の続く国。

 召喚した子はここに居る。

 危ない状況だから急いだ方が良いかもね?

 じゃぁ、僕は行くね?今度会うときは、きれいな星空の下で。

 期待してるからね?ーーーーー」

 ノイズを吐き出しながら身勝手な宣言者はその場を後にした。


 ー戦いから2日後の朝ー


「ぅ、うーん。。。」

 空腹と寝苦しさで目が覚める。


「やっと起きられましたか?体の痛いところとかはありませんか?」

 耳元から女の子の声がする。


「。。。ヴィッタちゃん?」

 そう言うともぞもぞと僕の布団から出ていく。

「からかい甲斐が無いですね。慣れというやつでしょうか?」


「あれから二日ほど経っていますので先にご飯を食べられる方が良いかと思います。」

 スッと、おじやが出てくるあたり用意がいい。


「では、陽鎖刀様がお食事の間に簡易的ではありますが事後報告を。」

「うん。」

 要点のみを三ヶ所で分かりやすく伝えてくれた。

 ・アウルスはボコボコに叩きのめして、関係者諸共禁錮。

 ・怪物が住んでた祠は完全に封鎖

 ・けが人は出たものの全員が無事で生還


「大団円って所か。僕としても嬉しいよ。」

「はい、これ以上無い戦果と思っております。

 そこで、陽鎖刀様の報酬をお姉ちゃんと相談した所、、、」


 そこで、僕は待ったをかける

「いや、僕は僕で目的があったからね?報酬なんて用意されても困るよ。」

「はい、その様に言われると私達も結論が既に出ております。」

「そっか、話が早くて助かるよ。」

「ですので、此処から先の旅路、私も御同行させて貰うことになりました。」

 舌の根も乾かないうちに会話が成立しなくなった。


「それはどういう意味で?」

「言葉の通りですよ?此処から先どのような苦境が待っているかは想像できませんが陽鎖刀様が旅されるにあたって、私も色々な世界の景色を見せてほしいと思ったわけです。」

「拒否権は?」

「勝手についていきます」

「旅は道連れ、世は情ってか」

 夜もお任せください。といわれたがそれだけは丁寧にお断りした。


 ふと、周りを見ると屋内なのが分かる。

「シルフィーちゃんが用意してくれた部屋です。

 あの子もお礼が言いたいと、朝昼晩問わずここに様子を見に来てましたよ。」

「狐ちゃんにも顔を見せないとね…」

「シルフィーちゃんは本日は夜に来られると言ってました。お姉ちゃん達も心配しています。とりあえず肩をお貸ししましょう。」


 ヴィッタちゃんに手助けされながら、表立ったメンツの前に顔を出す。


「坊や、やっと起きたかい。」

「お陰様で、なんとか。」

 アラシスタは、手をブンブンと振り「恩人を死なせたりしないさ。」とだけ言った


「事後報告は聞いた感じかい。なら話は速い。

 坊やはこの後何処に向かう予定なんだい?」

「ここに飛ばされる前に、一緒に居た友人が心配ですが、探すには手がかりが全く無いので、とりあえず北のバルフェイに向かおうと思ってます」

 そう言うと思考するような顔をして、アラシスタさんが口を挟む。


「最初に会った時、言ってた気がするねぇ?

 いきなり、バルフェイに向かうのかい?

 それなら、先に近くのグリューセルに寄った方が良いね。

 私達の仲間がその証を見せれば力を貸してくれるはずさ。」

 そう言いながら視線は僕の腕に巻き付けられた族長の証だった。


「妹も一緒に行くと聞かないしね?色々積もる話もあるが気にしないさ。」

 呆れた顔で苦言を呈すがそれを気にした様子はなかった。


「明日にでも出ます。色々援護助かりました。」

「そりゃぁ、こっちのセリフさね。

 ヴィッタが世話になるんだ、色々面倒かけるかもだけど、あんたなら安心して任せれるよ。」


 そんな他愛もない話をしながら、日が暮れるまで飲みまくってたアマゾネスの一族だった。

 ーーーーー


「レコード」

 個室の一室で、自分のステータスを確認する。

 〝羽無き騎士〟白咲 陽鎖刀 Lv20 HP1750 職業 魔法盗賊

 武器 ロングソード/白の魔導書/木製の弓/木製の槍

 物攻 180

 物防 100

 魔攻 380

 魔防 318

 俊敏 80

 アビリティ/パッシブ ーーーー

「レベル20か。ステータスだけ見たら絶対ありえない数字だけど…

 Plvが強さの指針にはならない説が徐々に出始めてきた。」

 基本ステータスは最初と比べれば格段に上がった。しかし、強敵を倒したにしてはexpが計算と合わない。

 そこまで露骨にLvが上がらないとなると考え方を変えないといけない。


「……ん?なんだこれ?〝羽無き騎士〟?

 アビリティでもパッシブでも無さそうだけど?

 称号だったとしても、騎士関係の称号取った事ないしなぁ」


 自分の名前の上に変な表記があるのを見つける。

 最初に目に入らなかったのはステータスに意識を向けていたからである。

 アビリティやパッシブもちょこちょこ知らないのが混じっている。効果を知りたくても、現状知る方法が全く無い。

 何より読めない……なんでだ?

「ギルド制度のある国に行くしかなさそうだな。呪いの類は無いから教会で懺悔する必要性はないけど。」

 ギルドにさえ行けば、アドバイザーがどんなアビリティか教えてくれるようになる。

 ある程度は記憶にあるが余りに眺める機会のないステータス欄だし仕様が変わってる可能性もある。


「とりあえず、荷造りして、明日に備えよう。」

 ガサゴソと、荷造りをし始めるとノックが聞こえる。


「はいはい?」

「えーっと、シルフィーです。夜分にすみません。

 明日には出てしまうと聞いたので、少しお時間いいでしょうか?」


「んで、用件は?」

 そう言うと狐ちゃんは正座をして話をし始める。


「あの……貴方様なら分かると思うという推測なのですが……

 結局、ヴィッタちゃん達を苦しめてた結界と言うのはあったのでしょうか?あの化け物を倒した後からというものの、状況が変わったように感じないのですが……」


「魔除の結界だっけ。結界じゃなくて生き物を喰う魔法陣だね。

 どういう原理かは理解出来ないけど、あの化け物を中心に森一帯に結界が張られてたんだ。

 だからモンスターだけじゃなくて、普通の生き物ですら居なかったって寸法だよ。」

「では……アマゾネス達を襲ったモンスターというのは……?」

「魔法が生み出した捕食者って所だろうな。

 年々被害者が増えてったのは、単純に向こうが強くなったって話だと思うよ。魔法が食い散らかした残滓自体はそこいらに残ってるけど、元の形に戻るにはそれこそ、長い年月が必要だよ。」


「そうですか……おかぁの結界も……その1つって事ですよね……」

 オドオドした様な感じで僕に聞いてくる。


「いや、アマゾネスが全滅しなかったのは君のお母さんの魔法のおかげだよ。洞窟で君を守ったあの力だけは本物だよ。」


「最後に一つだけよろしいですか?」

「ん?」


「天使の花畑というのは、存在するのでしょうか?」

「その名前を何処で?」

「おかぁが読んでくれた英雄譚に有ると聞かされてます。」


「・・・・有ると良いな。僕も見たことはない。」

「そうですか。。。わかりました。」

 明日に堪えるといけませんのでとお辞儀だけして、部屋を立ち去る。


「天使の花畑か。メリウルの作った箱庭が英雄譚に、、、」

 リューリアの魔導書、メリウルの箱庭。

 僕と同じギルドメンバーの作った功績が残されている。

「アリスの天秤、クラウンの宝物庫辺りもありそうで困る。

 有るのなら回収しとかないと、、、」

 考えていると荷造りの手が止まっていた。


「とにかく、早く翔ちゃんとも合流しないと。」

 目的を定め、荷造りをして布団にくるまる。

「おやすみ」

 独り言を呟いて眠りについた。

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