亡き母の“お願い”<クエスト>
「もうすぐ、目的地です。」
「アレイヤちゃんだっけ?行きたい場所があるんだけど?」
「貴方の呼び方は気に食わないですが、姉さんには貴方に従えと言われてます。
どこに行きたいのですか?」
刺々しい言い方だが、協力してくれはするようだ。
「エルフの里、リタニアに行きたいんだ。
そこまで遠くないはずなんだけど?」
そう言うと、彼女は困った顔で…
「リタニアは、この結界が出来始めた時に、真っ先に滅びましたよ…?」
まじでこの世界は、僕に高難易度を何回押し付ければ済むんだろうか?
「ホント嫌になる。」
「そう言いたいのは分かりますが、どちらにせよ迎えませんよ。
この結界から生き物は出れないのですから…」
さっきまで、勢い良く進んでた足がふと止まる。
それと同時に僕は降ろされる。何度か降りようとしたのだが、そのたびに睨まれるので途中で諦めた。
「先程から、誰かに見られています。悪意はないようなのですがどうしますか?」
そう言いながら、恐らく視線の感じる場所を睨む。
「ついてきてくれない感じですか?」
「私無駄なことはしない主義なのもありますが、私の本能が進む勇気をくれません。」
ため息を付きながら、睨んでた方向へと歩いていく。
「お化けとかなら勘弁して欲しい所なんだけど?」
そういう僕の期待には答えて貰えないらしく、少し進んだところには墓石があっただけだった。
「かなり時間が経ってる。禄に手入れもされてない感じか」
その墓石は朽ちかけ始めており、苔などが生えている始末だ。
「在り来りなのだと綺麗にすると、何かしらのイベントが発生するんだけど、、、」
“そこまでの苦労はかけませんよ?時間もないので手短に行きましょう”
脳内に直接、話しかけてくる。キョロキョロすると、目の前の景色が少し歪む。
そして、出てきたのは狐耳の長身の女性の幽霊だった。
“はじめまして。小さいエルフさん。”
「なるほど、面白い状況だねこれ。」
“そう構えないでください。私はあくまでも貴方にお願いしたいだけですから。
他でもない自分の娘を怪物に魅入られた愚かな同族から…”
「同族ね。僕の記憶の範疇で申し訳ないんだけど、白狐族という種族を僕は知らないんだ。
そこから説明がほしいところ何だけど、時間ないのは同意だね。」
“エルフの生き残りが貴方であるように必ずしも遺伝子が途切れたわけではない種族がいたというだけです、齢数十の子どもには分かりませんよ”
アマゾネスのときにも思ったが、僕はエルフ族ではないんだけど、、、
「話を戻そう。化け物に魅入られたってのは?」
“そう、難しい話ではありません。私達、白狐の女は特別な力を手に入れます。
それは、人それぞれで私の娘はその他でも類稀な退魔の炎が使用できます。
それを妬んだ同族が祠に封じてた化け物の誘いに乗ってしまった。
それだけの話です。もう私の作った魔封じでは抑えきれないほどに力を戻してしまった。”
「それを倒せって?僕は、これでも急いでるんだけど、、、
第一、助ける理由もない。会って間もないこんな得体のしれない子どもに何を期待してるのか…」
“簡単なことですよ。貴方は罠にかかった狐を助けた。
それだけで、貴方を信じれる。きっと、あの娘にとっての勇者になってくれるって。
そうじゃなきゃ、あの娘にかけた最後の魔法が嘘になってしまう。
母親としてそれだけは駄目でしょう?”
「⋯」
“英雄はいない”“都合の良い奇跡はない”“神様は理不尽だ”
この世界に希望がない様に綴られた憎しみのこもった起承転結もない文章をあの日記で見た。
「嘘になってしまうのは駄目だな。」
きっと、その〝まじない〟とも言える魔法は、奇跡を起こすだけの力もないだろう。
「もう月が満ちる。一発勝負の貴方の依頼、この僕が受けました。だから安心して」
そういうと歪んでた景色はもとに戻り、墓石は朽ちてその先に道ができた。
アレイヤちゃんが進む勇気が持てないのはこの先にある圧力が原因だったんだろう。
【愛する者に奇跡を】を受注しました。
頭の奥でそう聞こえた。
此処から先はきっと引き返せない。
砕けた墓石を一瞥していき、迷いなく歩を進める。
「ゲームスタート⋯」
多分その声は僕しか聞こえてない。
イレギュラー何てのは早々続かないものさ。
君が期待してるあの異端者、どこまで生き残るか見ものだねぇ?
じゃあまた会いに来るよ。今度はおいたしないようにね?




