呪いの結界
遺跡を出ると、かなり日が沈んでおり、これ以上は危険と判断。
何より長時間の戦闘によって彼女はボロボロだ、入口付近で野営を取ることにした。
「すみません、不甲斐ないばかりで」
「君が謝る事は何も無いよ。謝んなきゃいけないのは僕だ。」
月の満ち欠けを見る感じ、残り時間は後、許されて次の日で最後だ。
2日後に結界を貼り直すそうだから、彼女を連れ出すしかないとなると、時間が惜しい。
でも、助けたいと言ってるヴィッタちゃんがこの有り様だと作戦の成功率はガクンと下がってしまう。
「少しだけ眠ります。」
「少しと言わず、朝まで眠っていいよ。おやすみ。」
彼女はそれで安心したのか、余程疲れていたのか…おそらく後者だろう。沈むように眠っていった。
「レコード」
大図書館から盗んだ白紙の本の2ページ目を使い刻まれたステータスを確認する。
ギルドにさえ、所属すればこんな事しなくてもいいんだけど…
「……レベルが上がってない。。。」
Lv9で止まっている…
だが、他のステータスは変化している、Lv9とは思えないステータスになっている。
「どうなってんだ…これ。」
考えられるのは、ジャッカルにトドメを刺したのはあくまでもヴィッタちゃんだから、expが入らなかった場合だ。
だが僕はスフィンクスを倒した時の過剰expがある、トドメが彼女だったとしても、さしたる問題は無いはずだ。
それに妹が扉を開ける前に、☆マークがついていると言ってた。あれはこれ以上Lvが一気に上がるとオーバースペックになるという警告だ。
そのマークが表示されてないということは、過剰分は消化出来てるはず…なのにLvが上がらない。。。
「ステータスをLv換算すると70位のステータスにはなっている。それだけでもとりあえずは良しとするか…
ここを抜けるにはさして問題のあるステータスじゃないし…」
使用出来る魔法が初級から増えてないのだけは少し不満だ。
『ひさ兄、これからどうすんの?』
「とりあえず、結界ってやつの正体を知る所からだな。
きな臭い事には違いないし、狐の女の子をあそこから連れ出さないと嫌な予感もする。」
ヴィッタちゃんをこのまま放置するのは忍びないので、冷えないように、自分の上着を被せてあげて、背負う。
「さてと、謎解きの時間と行きましょかね。」
僕は結界を探る為に、行動を開始する。
〜???〜
目隠しをされて連れて来られた冷たい場所。
男の人の声で、「小屋はもう安全じゃないから、それにもう時期が近い、儀式の場所で休む様に」と言われて、多分どこかの洞穴に押し込められたんだと思う。大きな魔法陣が壁に、床に、そして、目の前に大きな大きな魔法陣が描かれていた。
そしてその奥に何かがそこに居る。私がおまじないを成功させないといけない理由がそこに居る。
そしてわかる。目の前の魔法陣が砕けかけているのが…その奥にいる邪悪な何かを抑えきれてないということが。
「…怖いよ…おかぁ…助けて…」
そうやって声を押し殺して、出すのが精一杯だった。
〜陽鎖刀視点〜
「小屋の結界が外れてると思って近づいたら中身は空っぽ。
荒らされた形跡は無いから、顔見知りと見て間違いないだろうな。」
遺跡から小屋までのルートに目印をつけてたので、迷わず到着。
小屋に設置されてたベッドにヴィッタちゃんを降ろす。
「手がかりゼロって訳じゃ無いと信じたいところだね。」
小屋の中を散策していく。
狐の子供1人入れとくだけの場所なだけあって、2人いると少し狭さを感じる。
さてと、どうしたものか。と考えていると、ふと目に入った、古びた本が目に入る。
「日記みたいだな。」
開いてみると、日付と天気などが細かく記載されており、小屋で何してたかや心境などが詳細が一日ごとに1ページ単位で書いている。
一昨日位から更新されて無いところを見ると丁度僕が失踪した辺りから、別の場所に移動した事が分かる。
「女の子の日記を読むのはちょっと気が引けるけどな。手がかりがこれしかない以上は、やむ無しと言う訳で。」
凄く今更な話だが、この世界での言語で書かれているため、日本語翻訳なんて言う便利な機能は無い。
普通に読んでいれば、通常の読書の倍以上の時間がかかってしまうが心配しなくとも、僕は生粋のやり込みゲーマー。時間はかかるが、なんてことは無い。
「………翔くん、無事だといいんだけど……」
ふと、不安が頭の片隅で過ぎる。
それから2時間ほど経って、ヴィッタちゃんがふと起きる。
見慣れない景色のせいかキョロキョロとしてから僕を視認し、安心したのか話かけてくる。
「その日記はシルフィーちゃんの物ですか?」
「そだよ。結界を使うって事は何かを封じてるって事だからね。その情報がなにか手に入ればと思ったんだけど、残念ながら、収穫は殆どなかったんだ。」
「殆どと言うのは?」
ヴィッタちゃんはそこで食いついてくる
「魔族を退ける結界なんてのは嘘っぱちだよ。
この結界は、魔法の形をした……呪いだ。
とにかく、探し出さないと手遅れになる……急ごう。」
と小屋から飛び出すように出た瞬間……
「やっと見つけましたよ。陽鎖刀様。」
そこに居たのは、アウルスだった。
「ちょうど良かった。ココに居た女の子。何処にいる?」
「その質問の前に、1つお聞きしても?」
僕が無言で居たのを了承と取ったのか、言葉を続ける。
「結界を壊すつもりですか?」
「・・・」無言で剣を構える。
それが決定打だったんだろう。突如後ろの小屋が大爆発した。
「そうですか。では、敵ですね…」
アウルスLv???+白狐族4名
「ひさと様、ここは私達におまかせください。」
「何言ってるのさ。さすがに1人でこの数は……」
「私言いました。」
すぐさま、矢がすれ違い様に放たれてくる。
「私達と……」
「行きな!坊や!この狐野郎とは因縁があるんだよ!アレイヤ!坊やを案内してあげな!」
燃えた廃屋の影からなのか、突如として、複数名のアマゾネスが現れる。
「ちょっと!!」「動かない!」
そして、横から掠め取るように、僕を拐う少女が1名。あまりの状況で判断が一瞬遅れたせいでそのまま抱えられる。
「……なるほど。道理で姿が見えないと……ですが、行かせるとお思いで?」
すっと右手をあげた。周りにいた配下が戦闘配置につき、魔法で照準を合わせようとするが、その足元に矢がすぐさま打ち付けられる
「タネはもうバレてんだ。降参するなら、命だけは助け……いや無いね。」
おそらく手に馴染んでる蛮刀を各々構える。
「かかっておいで!バカ狐ども!!!」
それが、開戦の宣戦布告だったのは間違いない。




