表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星空舞う騎士の英雄譚  作者: 小鳥遊 白奈
攻略済みの異世界乱入
1/19

描かれ始めた英雄譚

はじめまして。こんばんは。

たかなししろなと申します。

今回初めて、異世界転移系の物語を書かせて頂きます。

語彙力も表現力もあまり豊かな方でありませんが頑張っていきますのでよろしくお願いいたします(>人<;)

「。。。」

 血みどろの剣を地面に刺して支えにする。

 ここに来たもの達はそれなりの強者だったはずだ。

 だが…連れてきた誰も、立っていない。

 死体

 死体…死体…

 死体…死体…死体……

 死体…死体…死体…死体………


「?」

 とぼとぼと戦場を背に向けて、歩き始める。

「こんな戦い……無意味だった。。。」

 重くなり続ける足を、動かし続けて僕は歩く。


「。。。」

 目的地を背にして歩き続ける自分を赤い満月だけが……

 〝()()()()()()()()()()()()

 ー◀◀◀◀◀◀◀◀ー

「いてて…ここは何処だ?」

 辺りを見渡しても、暗すぎて、情報が全くない。

「僕は確か…家でいつも通りゲームして…」

 確か…ソシャゲのイベントを走ってて…

 そう思いながら歩き始める。。。


「どう考えたって自分の家じゃない…

 あえて言うなら、どこかの地下?」


 歩き続けて、壁に当たったらしい。。。

 冷たいレンガ?の感触が手に伝わる。

 単に暗い場所はそこしか思い付かなかった。

 明かりが存在しない中、手から感じる壁を頼りに進む…


【君は選ばれていない。】

「!?」


 ノイズに混じって誰かの声が頭に響く。

 一瞬、頭痛がするが根性で耐える…


「なんだ今の声……」


 頭を横に振り…1度リセットする。


「状況も何もわかってない状況だぞ…

 考えることを増やさないで欲しい」

 まず脱出する。それを思考する…

「…そこにおるん…ひさやんか?」


 唐突に男の声が聞こえる。

 男が持ってるランタンと思しきものでは少し距離があるせいか、ぼやっとした感じでしかその輪郭が見えない……

 だけど、その呼び方は僕が知りうる限り1人しか居ない。


(しょう)くん?」

「やっぱ、ひさやん!?」


 スタスタと足音が早足で近づいてくる。

 地下っていうのもあってか、いつも以上に声が響く。


「なんで…翔くんが此処に?」

「それはお互い様やな。怪我はないか?

 なさそうやな…okok…とりあえずホレ」

 翔くんに何かを手渡される。


「果物や。食べた感じリンゴと大して変わらん。」

「まさかと思うけど…」

「違うって盗ってないから!!!

 外で拾ってきたんや!!!」


 採ったものらしい。

 どこかで見た気がするんだがコレ……


「とりま、ちゃんと明かりあるとこまで移動しよか。」

 渡された果実を齧りながら翔くんの案内で歩くこと数分。


「そういえば翔くん、なんでここに戻ってきたの?」

 ふと思った疑問を投げる。

 1度外に出たと言うなら、舞戻る理由はない筈だ。


「あぁ…それな。」

 翔くんは少し答えずらそうに答えを選ぶ。


「まぁ…お告げ的なのがあってん

 ワイからすれば…ひさやんもやけどな。」


 日本語が怪しい答えがきたが、そうなんだろう。

 ここで直感とか言われたら…怖いが…納得は出来る範疇ではある。翔くん、勘はいいから…


 翔くんに連れられ、僕は歩いた。


「ひさやん、ココや。」

 しばらく歩くと、彼は立ち止まった。

 扉の隙間と思しき場所から木漏れ日が見えていた。


「この扉がワイが出入りしたやつやな。」


 〜どこかの階段/踊り場〜


「螺旋階段…?さっきと違うやん!?そんなアホな!!!

 ここはびっくりハウスかいな!」

「とりあえず、落ち着いて?」

 焦る少年はキョロキョロと見渡す。


「。。。どうやら後戻りは出来んくなったらしい。」

 後ろを振り返った翔くんは、真っ暗になってる道を見てランタンを投げ捨てる。ランタンは踏んでた筈の地面を貫通して、どこかへ消え去った。


「。。。」

「行こう。」


 階段を上る。


「この世界、どこやろな?」

「この世界…ざっくり来るね…

 正直…在り来りな光景すぎてわかりゃん」

「ワイが出せる情報は、言語が読めんって事。

 なんかよう分からん造形文字みたいなんで読めん。

 言葉は通じるみたいやけどな。原理はわからん」


「字体を見ないとそれは僕も分かんないね。

 オカリナ勇者の文字とかだったら詰みだし…

 ん?ちょっと待って…読めないなら。

 さっき言ってたお告げ的なもんってどういう意味?」


 先を歩く翔くんに聞いてみると…

「…」

 翔くんは少し考えて…


「まだ…早い。後戻りして来いって言われたんや。

 青い柄の剣を持ったボロボロで血まみれの…」


 そして悲しそうな顔で…後ろを振り返って。。


「血まみれのチビにな。」

「なんで僕見ながら言うのさ!」

「すまんすまんw」


 そう言って。翔くんはまた歩き出す。

 翔くんは運動神経が圧倒的に僕より良いのだが、僕を置いてかないように歩く速度を合わせてくれてる。


「ワイの見間違いやんな……」

「ん?」


「いや…なんでもないわ。行こいこ。」


 そして階段を上り終わったとその先にまた扉があった。


「どう思う?」

 扉を開ける前に僕に確認を取る。

 先程自分が経験した超常現象がそうさせるのだろう。


「さっき…翔くんが出た場所ってどこだったの?」

「荒野みたいな場所やったな…

 戦争後の街か…国かの跡地みたいな。

 そんな場所やった。」


「今ある情報は…読めない文字…荒れた大地。

 血まみれの剣士。

 行き先の違う一方通行の扉と……」

「ほんま……ファンタジーやな。

 不可思議現象も武器もあるって。」


「魔法はちょっとなぁ。」

「わいも思うわ…」


「とにかく、人が見えても喧嘩売らないでよ…」

「こんなびっくりな状況続いとったらやらんわ…」


 それはそうである。


「じゃーいい加減腹括って·····」


 ガチャ·····

「「!?」」


 そう試行錯誤していると、扉が独りでに開いていく。


「お、オモロいやん…ちょっとだけビビったけどな…」

「かえりぃちゃい」


 行き場を失った右手だけが、虚空を握っていた。


 親友の後ろを着いてく形で僕もついて行く

 部屋に入った瞬間は真っ暗だったが、2人が入ると…一気に明かりが灯り、部屋が明るくなる。


「圧倒的な本の数やな…何冊あるんやコレ…」

 今入ってきた扉を除いて辺り一体が本棚で囲まれておりその本棚の上も本棚…その中には有象無象の量の本がギッシリ詰まっている。地震が起きたら、間違いなくサ終する自信がある。


「…本は嫌いやねん。どないしたもんか…ひさやん?」

「…」「おーい…ひさやーん」

 アカンわ、という翔くんを他所に…

 僕は吸い寄せられるように引っこ抜いて、パラパラ捲る…

 翔くんは、黙って僕の読み上がるのを待っている。


「……ウソでしょ……」


 半分くらいのページを読み上げ、本を閉じる。


「なんや、わかったんかいな?」

「今、僕が読んでた本…この本はこの世界の歴史書。」

「ほう、かなり有力な情報源やんけ。

 んで、何がわかったんや?」


「ココは、僕もやったことのあるゲームの世界。」

「ほ、ほう…

 んでどうやって帰れるんや?」


 知ってた。みたいな反応で僕の言葉に受け答えする。

「そうだね。

 ゲームに用意されているシナリオをクリアする。

 コレが1番現実的だと思う……」


「まぁ…なんにせよ。まずはここから…出れるん?」


「うん。この大図書館からは簡単に出れる。

 それよりも翔くん…この大図書館見た事ある?」

 翔くんは横に首を振る。


「世界観とかゲーム内容を簡単に説明しないといけないね」

 翔くんは、長くなると察したのか胡座をかいて座る。

 僕はちょうど本2冊分、間をあけて正面に座る。


「まず、この世界の構図から…

 全7カ国からなるこの世界。この世界自体は地球くらいの大きさだと思っていい。

 その7カ国の中心にあるのがユグドラシルっていう大きな木なんだ。その真下にクリア条件がある。

 地下王国、リュアルダンタ。

 そこが僕らの目指す場所になる。」


「おkやで。その場所に何があるんや?」


「この世界における敵、魔族を生み出した元凶であり、僕らで言うところの邪神…ディコッケイを討伐する。

 コイツが、かつての英雄によってユグドラシルの真下に封印されてる。」


「なんや、随分分かりやすいな。んじゃそこ行くまでに色々準備して、はよ倒してまおうや」

「事はそう簡単じゃない。

 コイツを倒すって言うのは…」

「ラスボスやしな。めんどいのは100も承知やで。

 んで、何が問題なん?」


「ラスボスを倒す為には、リュアルダンタに行くのが最低の条件なんだけど、そのためには、ユグドラシルに刺さってる聖剣を引き抜く必要が有るんだ」


「問題点は2つ。1つ目が聖剣を引き抜くと2時間以内にユグドラシルが枯れてしまう。

 そうなると魔族側が全方向からユグドラシルに向かって攻めてくる。

 こうなると。9割以上の確率で負ける。


 2つ目の問題点は…聖剣を引き抜くための条件を僕らが満たせるかが分からない。

 聖剣を引き抜くには勇者であるのが条件だから。」


「なるほどなぁ。ちなみに…

 聖剣引っこ抜かんでもその地下王国に行かれへんのか?」

「そんな裏技あったら、最初から言ってるよ…」

「とりま…こっから出るが最優先かいなぁ…」


 翔くんは出口を探してるのか…辺りを見渡す。

 しかし、どう見渡しても出口ですと主張する扉は見えない。


「ホンマにあるんかいな…出口」

「出てもいいけど。今、出たら…死ぬよ?」

 ため息をつく翔くんに淡々と告げる。


「これでもワイ、力には自信あるんやけど?」

「言うて僕も翔くんもレベル1だしね。

 翔くんのステータス見る感じ…確かに攻撃力と防御力は初期ステから考えると高めに設定されてるけど、誤差だね。」

「日本語でおk?」

「日本語だけど…」

 言った後に…自分の失態に気づき、翔くんに白紙のページを見せる…


「この世界…ほんと…これだけは不便だよなぁ。


 冒険者たる我らが軌跡を書き記せ。

 記憶(レコード)


 そう唱えると白紙のページにATK等のステータス表記が出てくる。


「…ほへー…ひさやんすごいな…」

「全プレイヤーが使える初期魔法だよ。

 レコードって言うと使えるから覚えておいて損ないよ…」

 まぁ白紙の紙が無いと使えないけど…と付け加える。


「見ての通り、僕のLvは現在1。

 ステータスもほぼ1桁で唯一素早さだけは2桁前半だね。

 この状態で外出たら、街の中に転移しない限りほぼ助からない。モンスターを倒す最低レベルは5…何より僕らは武器を所持していない。」

「その言い草やと…街の中以外の転移が有り得るんかいな?」


 僕はその質問に頷く。


「僕と翔くんが同時にこの場所から出ても、

 この場所から飛ばされる場所は完全にランダムだよ。」


「でも…ここから出んって訳にも行かんやろ…

 衣食住もある。レベル上げせなあかんねやったら、その方法も知っとかなアカンしな…」


「そだね。じゃー必要最低限の知識だけでも説明するよ。って言っても翔くん忘れそうだけどね…」


 トホホと言いながら、時間をかけて翔くんに説明する。

 それぞれの国の特徴、国ごとにエンカウントを避けるべきモンスター。

 レベル上げの効率的な方法。お金の稼ぎ方。


 それを小2時間ほどかけて説明する。


「だいたい覚えたわ。とりあえず…

 運がよければ…何も問題なさそうやし…」

「そのラック値……あてになるといいね……

 とりあえず…〝死神〟だけは遭遇しても絶対逃げてね。」

「わかっとる。わかっとる……

 蒼い月の出る夜が1番出現率高いんやろ。

 そんだけ強いなら逃げ切れるかも怪しいけどなぁ……」


「戦う意思を示さなきゃ、襲ってこないよ。

 死を司るって言っても、死を望む訳じゃないから。

 さてと……とりあえず…」



【残念ながらタイムリミットだよ】


 図書館が大きく揺れる

「な……なんや!?」

「嘘でしょ。」

 床に魔法陣が出てくる。

 それはフロア全体を覆うように広がる……


転移(テレポート)!?」

「クソ!ひさやん!!!」


 翔くんが僕の手を掴もうとするが一瞬遅かった。。。


 ー?????ー


「痛た……強制転移されるなんて思ってなかった。

 正規以外の方法で出る方法あるなんて……」


 辺りを見渡す……

 どうやら、運はいい方らしい。


「間違いなさそうだね……リクリアの森。

 アークルド大森林だったら詰んでたね……」


 主要モンスターは小型系が多く…初心者オススメの狩場。


「かと言って初期武器もない状態でモンスターと戦うのは遠慮したいところ…

 確かこの森…集落があったはず…そこを目指して歩くべきか…

 アマゾネスの集落だけは行きたく無いなぁ…」


 辺りを見渡しながら歩いていく。

 道中で、丁度いい木の枝を見つけては回収して、先端だけを尖らせる。

 短すぎるのや脆すぎるのは、薪用にある程度回収したら無視する。


「クラフトスキルって大事なんだなぁ…って実感しました。」

 1時間ほど歩き回って、使えそうなものは回収して加工してをひたすら繰返して…

 木の矢を都合六十本…手製の弓と簡易的な槍を携えてとそれなりに戦えそう(小並感)な状態になった頃…

 僕の頭の中で、棒読みのメッセージが流れた。


【採取レベルが5になりました。

 スキル〝アイテム鑑定(アナライズ)〟を習得しました】

【制作レベルが7になりました。

 〝複数制作(コピー) レベル1〟を習得しました】


「条件変わってるって…ま!?

 アナライズはレベル8だったはず…

 コピーに至っては、レベル1なんて段階無かったはずだし…

 これ…もしかしなくても、かなりダルいやつですか…」


 ゲームをプレイしてた時とスキルアビリティの発生条件が違ってて困惑する。

 でも…アナライズが早々に手に入ったのは幸運と見るべきか…

 毒系アイテムを見極められるのは大きい…


「さて嬉しい誤算と、嬉しくない誤算が同時に発生してプラマイゼロなわけですが…」

 そんなこんなで…あたりは暗くなってしまい、ついに、最初の問題にぶち当たる。


「…ステータスレベル上げれてない…夜営確定。

 夜になると魔物は強くなる。ゲームの仕様が変更されてる可能性があるので火を起こせば…

 逆に魔物を呼び寄せてしまう可能性大。。。」


 8時間近く歩いて…全くモンスターに遭遇しないはおかしいだろ…

 昆虫系とか、獣系とか1匹も見なかったんだけど…偶然か?


「とりあえず…現状を確認するにも…火をおこすしかないかぁ…」

 集めてた木の枝を寄せ集め…木のまわりが引火しない様に、土だけにする。


「理を読み解きし英雄に火の加護を。」

 詠唱を行うと、中心部分に火が灯り、木の枝の山の上で、10:00と表記された。


「やっぱ…初期魔法だけでも使えるのデカイな…

 翔くんとステータス確認した時に使えるってなったのは僥倖だった。

 さて…と8時間歩いての成果はっと…記憶(レコード)

 瞬間移動させられるとは思って無かったとはいえ…白紙の本を盗めたのを幸運と思い躊躇いなく魔法を使用する。


「ステータスレベル上げれてない以外は順調と見るべきか…

 歩く速度11%上昇、ダッシュ速度7%上昇、最大HP14%上昇補正

 アイテム鑑定とコピーはレベル3になってて…弓の使用練度が2上昇…魔法の熟練度はどれも初期状態…

 ゲームの時にも思ったけど…序盤の効率の悪さは不便すぎる…」


 弓は果物の採取などで、木の上を狙うのに使用した。

 槍は戦闘する事がなかったので、それは妥協…

 行軍速度は命に関わるので…優先的に歩く。


 火急の問題は…ステータスレベル…

 PLVが上昇してない事だ。

 これが上がらないと、基本ステータスにボーナス補正が入らない…あげるには生き物を倒すしかないのだが…


「PVPは避けたい所なんだけど…考えても仕方ないかぁ…



 というわけだから…出来れば平和的に話し合いしたいわけだけど?。日が落ちてからずっと…つけてきてる人。」

 ずっと視線を感じるが一切、よそ見をせず、薪を補充する。

 すると後ろから、近づいてきて…


「貴様、ハーフエルフだな…その長い耳の割に人間の匂いが強すぎる。」


 冷たい何かを僕の首に突きつけながら、圧倒する威圧で僕に話しかける…


「僕は普通の人間だよ。エルフの血は流れてない。」

「…なるほど。肝は座ってるらしい。」


 最悪だ…アマゾネスだ。

 1番出会いたくない戦闘民族だよ…選択肢1個で殺される。。。


「貴様、どこから来た?」

「それがですね…気づいたらこの森に…」

「ほぅ…昼間。かなりのマナがこの辺りで光となって収束していた。

 アレだけの魔法を使役されると、こっちも困る。わかるな?」

 いや……知らないです。

「…」

「おい黙るな!」


 声色的には女性。他にも周りに6人ほど。

 迂闊に手を出せば…バッドエンド直行。。。


「実はさ。大図書館から魔法で飛ばされたんだよね。

 持ってたものは…無くしたし、仲間ともハグれた。」


「大図書館…レウグルスの領土から来たのか貴様…!!!」

 突きつけられる物が、さらに強くなる。

 HPが少し減ったのが目に映った…


「貴様、発言は選べよ?次は…」

 瞬間、後ろからの殺気が鋭くなる

「目的は?」

「出来れば…ギルド制度がある近くの国まで行きたい。

 それ以外の目的は…衣食住さえあれば文句なしってところだね…」

「…貴様、そんななりで、モンスターはどした?」

「それが…1匹も遭遇しなかった…」

「たわけ…そんなはずが!!」


 …

 ……

 ………

 …………

 沈黙が続く。

 薪の補充を追加でした。寒いのだ……


「お姉ちゃん。もういいじゃない。」

「ヴィッタは下がれ!アマゾネスの誇りにかけても…」


「この人…レウグルスの領土から来た割には、武器が貧相すぎる。

 この森で全部調達してるみたいじゃん…

 それに姉さんが槍を突きつけてもなお、一切振り返らない。

 敵意があるなら、私たちがつけてた時点で攻撃してるよ。あの国なら。」

「ふん!油断を誘うもんだよ!」


 瞬間…僕に武器を突きつけてたアマゾネスが飛び下がる。

 元いた場所では炎が立ち上がる…

 あとコンマ手前だったら僕燃えてたんですけど…


「出来れば、娘の恩人に対しての無礼…そこまでにして頂きたい。」

 の割には僕燃えそうになったんですが…とは口が裂けてもいえず…

 僕の正面の方から白い着物を着た男性が現れる…


「狐の獣人が何しに来たんだい!」

 娘って事は女の子か?

 …そういえば昼間に…足を怪我した狐を助けたな…

 と言っても薬草を巻いて、少し話し相手になったら勝手に居なくなったけど…


「恩人になにか御礼をと馳せ参じるのに何か問題でも?

 危害を加えられた訳でもないのに、ギャーギャー喚く種族とは違うんですよ。

 さぁ…村で歓迎させて頂きます。参りましょう…」


「待ちな!上等してくれた手前…返して…」

「あのー…」

「黙りな青臭いガキが!」

 完全にお怒りらしいがココで生存ルートを逃す訳にはいかない…知識を総動員して説得を試みる。


「アマゾネスさん。聞きたいんですけど…」

「ふん!男に聞く口は持ちあせてないね!」


「じゃー私が聞きます。」


 ヴィッタと呼ばれてたアマゾネスの側の少女が、名乗り出る。

「ヴィッタさっき言っただろう!下がっときな!お姉ちゃんが何とか…」

「あんまりうるさいと。今日の晩御飯抜きにします。」


 瞬間…姉アマゾネスは沈黙し、妹の方が僕の横に立ち始めた。

 姉の威厳…ココに崩れる

「聞きましょう、旅人さん」


「さっきから問題になってるレウグルスの国だけど。。。

 あそこ周辺の境界は崖になってる。

 空を移動する手段を持ち合わせてなければ渡ることは不可能に近い。

 飛行系の魔法はかなりの高等魔法で、飛龍なんか調教または拝借しようもんなら莫大な資金がいる。

 んで、さっき僕が飛ばされたと主張する魔法は…超空間移動魔法…まぁ要はテレポートだね。」

「そうなの?お姉ちゃん?」

「…そうだがそのガキの疑いが消えるわけじゃぁ」


「…その上で聞きたいんだけどさ…」

「僕以外の…レウグルスの人間をみたの?」

「「「…」」」


 飛龍の操縦や、飛行系の魔法を習得しているなら、仲間を連れてくるのは造作もない。

 森とはいえ、集落がある程度あり、戦闘に優れたアマゾネスもいると知ってながら個人で突っ込んで来るやつは…

 愚かか相当強いかの二択しかない、そして僕は強くない。


「お姉ちゃん?」

「今日のところは見逃してや…」

「ごめんなさいしなさい!」


 と少しいざこざはあったが…

 無事狐の獣人族の集落で一夜を過ごせる事になった。


「お迎えが遅くなり申し訳ございません。

 少し探すのを手間取ってしまい…」


「全然…気にしないでください。」

 狐の獣人族…ゲーム上でこんな種族出てきたっけかな…。

 白い毛並みと白い着物…なんて言うんだっけ?

 こんな種族が居たら覚えてると思うんだけどなぁ…リクリアの森は確かアマゾネスとエルフの生息区域のはず…


「私の名前はアウルス。

 見ての通り、白狐族(ビャッコぞく)の末裔です。」

「御丁寧に…ヒューマンの陽鎖刀(ひさと)です」

 見ての通りと言われても知らんが……

 白狐族……そんなのこのゲーム居なかったぞ……。

 挨拶も簡単に済ませ、アウルスは僕に話す


「改めまして、娘がお世話になった事…感謝します。

 私自身居てもたっても居られずお出迎えに行った次第です…

 まさか野蛮人に詰め寄られて居られるとは思いもせず…」

「あはは…」

「お疲れでしょう。少し寂れた集落ですが。。。」


 アウルスは僕の肩を自分の手で触りながら…


「お招き致します。帰還(リターン)!」


 ー白狐族の集落・宿屋前ー


「到着しました。あの場所からだったら歩いても問題なかったのですが…一応隠れ里という扱い故、ご了承ください。

 ここは私の宿屋。娘の命の恩人…どうぞ気が済むまでお泊まりください」

「は……はぁ……」


 これもしかしなくても…めんどいイベント拾ったかなぁ。

 そこからはお風呂入ったりご飯食べたりの至り尽くせりで逆に不安を覚えるくらいだったが意外にも就寝自体はすぐ出来て個人的にはとても嬉しかった。


 ー・・・・・・ー

「やっと来たね。まずは初めまして。

 そして、ようこそ、この世界へ。

 名は名乗らないよ。今回は特例なんだから。」


「。。。」


 意識だけが固定されてるような感覚。

 表現し難い違和感を感じながら、一方的に語りかけてくる超常的な存在を前に無言を突き通す。


「さてと、君がこの世界へ呼ばれた理由は至ってシンプル。

 今まで数多の勇者の逸材をこの世界へ招待したが、君だけが他の召喚者によって召喚された存在…

 要はイレギュラーな訳だよ。君の存在がこの世界ではバグとして検知されてる。当たり前な話だね。

 そもそも召喚者自体がバグの塊で、いや今その話はいっか。」


 …目の前の存在は意味のわからん話をひたすらベラベラ喋る。


「さて、バグとして検知されてる君はこの世界にとっては除去対象…

 つまり蒼月に外出たら……お察しの通りさ。だが、個人的にはこういう異端分子は歓迎したいと思ってる。

 だから、君にも他の召喚者同様挑戦権を与えよう。

 だが条件がある。全員の目標が邪神を討伐なんだ。

 クリア出来るという最低限の力を示してもらおう……

 君が最初に到達した集落もあるリクリアの森のエリアボスを倒す。それまでは君をバグ扱いで放置する。

 期間は次の蒼月まで、つまりあと2週間…

 でも君はラッキーだ。

 ほかの召喚者と異なる君に私は慈悲を与えよう。」

 指をパチンっと鳴らして僕の目の前にカードが裏向きで3枚出る


「好きなのを選ぶといい。一つだけプレゼントしよう……

 運も実力のうちって言うだろう?」

 僕の四肢は何故か動かないので、視線で選ぶ

「ふーん。右か。」


 選ばれたカードだけが消失して残りの2枚はその場に残る。


「さて…舞台は整ってすらない。

 君は挑戦権をかけて、命をかける。

 失敗も許されない…さて君の英雄譚は何を綴るのかな…」

「はじめよう。改めてようこそ【エデン・フェアリー】へ」

読了お疲れ様でした。

実はこの話……10月中旬から書いてたのですが添削を繰り返すたびに……まぁ年末くらいになるとかいう笑える話です。

寒いし……仕事は忙しいし……そんな感じですw

また次回もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ