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久々に会った幼馴染が『氷の女王』と呼ばれていたけど、俺にはデレデレすぎる件

ジャンル:現実世界恋愛


登場人物

⚫︎江藤勇……主人公。高校二年生男子。

⚫︎碓氷莉緒……勇の幼馴染。『氷の女王』と呼ばれるクールビューティー系女子だが、勇にだけはデレデレ。


簡単プロット


 六年前に離れ離れになった幼馴染の莉緒と、転校先の高校で再会を果たした主人公の勇。

 女子高生になった莉緒は生徒たちから大人気な学校一の美少女である上、その冷たい態度から『氷の女王』と呼ばれていた。

 しかし彼女はなぜか勇にだけ妙にデレデレで……。

 俺には幼馴染というやつがいた。

 明るく元気、とても溌剌とした少女だった。しかもかなり可愛い。多くの非リア充どもから見れば、俺はリア充だったのかも知れない。多少お互いに好意は抱いていたと思う。もちろん当時小学生だったから、恋愛感情にまではなっていなかったが……。

 朝は一緒に登校し、帰りもずっと手を繋いでいる。そんな絵に描いたような仲良し幼馴染だった。

 しかし小五の時に親の都合で彼女が引っ越していってしまってからというもの、顔を合わせるどころか手紙やメールのやり取りすらしていない。きっともう二度と会うこともないだろう。そう思って、俺は淡い初恋を捨てたはずだった――。



 どうして俺が唐突にこんな過去回想をしているかと言うと、実に六年ぶりに、その幼馴染と再会したからである。

 碓氷(うすい)莉緒りお。俺のかつての幼馴染が、目の前にいた。


「……勇?」


 信じられない、という顔をして、こちらをジロリと睨んでくる莉緒。

 でも信じられないのは俺の方だった。まさか同じ学校の、同じクラスになるだなんて。すごい偶然だ。運命の悪戯としか思えなかった。


 やはり家庭事情で、それも彼女と同じ県に転校すると聞いた時は、確かに再会できるかもと考えなかったわけではない。

 だがまさか本当になるだなんて。しばらく固まり、転校生の自己紹介も忘れて不自然なくらいまじまじと見つめてしまった。

 すると途端にクラス中が騒がしくなり出す。ヒソヒソと囁かれている言葉に俺はさらに驚いた。


「ねぇ、あの転校生くん『氷の女王』と知り合いなの?」

「元カレ?」

「まさか。『氷の女王』だよ?」

「だよねー」「あの生徒会長をフッた『氷の女王』があんな地味男に構うわけないよな」


 仕切りに『氷の女王』という単語が聞こえて来るが、一体誰のことだろう。

 文脈からして莉緒のことに思うが、それこそまさか、な……?



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 そのまさかだった。


 碓氷莉緒、つまり俺の幼馴染だった彼女は、そこそこ生徒数の多いこの高校の二年生にして学校一の美少女だという。

 それだけではなくスポーツ万能、成績オールトップの絵に描いたような完璧人間。

 しかし周囲からは『氷の女王』と呼ばれているらしい。


 そのあだ名は、誰かれ構わず絶対零度の視線を向けることや無口であること、猛アタックしてくる数十人以上の生徒たち――ちなみに男だけではなく女もかなり多かったとか――の告白をすげなく断っていることなどに由来する。

 しかも無口で寡黙。噂を聞く限りでは、確かに『氷の女王』という名には納得だ。

 ……元々の彼女の性格を知らなければの話ではあるが。


「おかしいだろ」


 クラスメイトからの執拗な質問攻めをかわしつつ、一通り『氷の女王』について聞いて回った俺は、そう呟かずにはいられなかった。

 あまりにも違い過ぎる。本当に同一人物なのかと疑いたくなるくらい、違い過ぎる。

 でも考えてみれば、最後に彼女と会ったのは五年前だ。五年もあれば人間だいぶ変わるものなのかも知れない。昼休みに誰ともつるまず一人きりでいる姿を見ると、彼女が『氷の女王』なのだと信じざるを得なかった。

 あまりにも違和感があり過ぎたが……。


「江藤くん、何がおかしいの?」


「いや、莉緒が『氷の女王』ってなんかイメージに合わないなと思って……って莉緒!?」


「改めて久しぶり、勇。五年ぶり? 絶対また会えるって信じてたわ」


 放課後、誰もいなくなったはずの教室で呟いた俺の言葉に応える声があったので驚いて振り向けば、そこに天使と見紛う美少女がいた。

 満面の笑みを浮かべる彼女は間違いなく碓氷莉緒だった。当然ながら俺の頭は混乱した。


「莉緒、どうして」


「再会できた幼馴染と話したいって思うのは変かしら? ……ああ、そうか。くだらない噂を信じてたのね。あれは気にしないで。

 会えて本当に嬉しいわ。五年前、私ったら急に引っ越しちゃったでしょう? 話し足りないことがたくさんたくさんあるのよ」

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