失踪した俺の妹がスマホで異世界中継してくるんだが
別サイトで別名義で投稿したものの、続きが書けなくなったのでこちらに掲載します。
ジャンル:ハイファンタジー
登場人物
⚫︎孝……主人公。高校生。
⚫︎咲良……女勇者として異世界召喚された妹。
⚫︎友美……女子高生。後で孝の恋人に。
⚫︎パリドゥー……王子。咲良と恋仲に。魔法使い。
⚫︎モレラ……令嬢。咲良のライバル。聖霊術師。
⚫︎サド……咲良をいじめるうちに惚れた。戦士。
⚫︎アルクレッダ……咲良に片思いする治癒術師。
⚫︎ファリー……探検家。女性でありながら咲良に思いを寄せる。
簡単あらすじ
主人公である孝の妹、咲良は三日前から行方不明。
心配していた彼の元へ一本の電話がかかってきた。なんとそれは、失踪した妹からのものだった。
「もしもしお兄ちゃん? 私今異世界にいるんだけど」
女勇者として異世界召喚され、王子たちと一緒に魔王討伐に行くと言い出した咲良。
大事な妹を連れ戻したい孝は、クラスメートの友美と一緒に咲良を連れ戻す方法を模索し始める。
一方で咲良は、異世界で乙女ゲームさながらの逆ハーを築いていくのだった。
――プルル、プルルル。プルル、プルルル。
突然部屋に鳴り響いたスマホのアラーム音に応えると、電話の向こうから呑気な声が聞こえて来た。
「もしもし、お兄ちゃん?」
俺は血相を変えてスマホに飛びつく。そして叫んだ。
「おい馬鹿! 今お前どこにいるんだ!? 今すぐ帰って来い!」
「もぉう。いきなり怒鳴らないでよ。ほんとお兄ちゃんはせっかちなんだから」
電話の相手が少しばかり不満げに答える。でも俺に、その言葉に返事をしている余裕はなかった。
「いいから今どこにいるか言え。今すぐ迎えに行くから!」
くすくすと笑う声がする。何が可笑しいのかと苛立つ俺に相手は言った。
「あのねお兄ちゃん。私、今異世界にいるっぽいんだけどさ」
――俺はポカンとなって絶句した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺の妹の咲良が消えてから、今日で三日目になる。
咲良は俺より二歳下で、兄馬鹿かも知れないがなかなかに可愛らしい美少女だ。現在中三、有名高校を目指して勉強中である。
そんな咲良がいなくなったのは、中学の部活からの帰り道。友達と別れてすぐ、真っ直ぐに帰宅したと聞いている。
しかしその三時間後になっても咲良が帰り着くことはなく、夜が更けて戻らないので俺も母も心配し出した。
「咲良がこんな道草食うとは思えないんだけどね……。どうしたのかしら」
「なら俺が捜してくる」
……しかし、家を出た俺は、近所どころか町中を歩き回っても妹を見つけられなかった。
翌日にも咲良は帰って来ない。不安になった俺と母はとうとう警察に届けることになった。
警察がいればなんとかしてくれるだろう。
そんな風に考えていたのも最初の一日の話だった。二日経っても三日経ってもまるで発見される様子がないのだ。
その結果、もしかして連れ去られたのではないかと、そんな結論に至ったのだった。
そんな馬鹿な、と思った。でも咲良のスマホに連絡を取ろうと試みても一向に応答はなくて。
GPS機能を使ってもまるでダメだったから、最悪の可能性を考えざるを得なかった。
もう二度と会えないんじゃないか。
一体どうしたらいいのかわからなくて、学校を休んで呆然としていた。
だからそのアラーム音を聞いてスマホを手に取った時、信じられなかったのだ。電話の相手が失踪中の咲良本人であるだなんて。
*****
「映った? ヤッホー!」
スマホ画面にパッと画像が映し出され、咲良の顔がドアップで現れた。
パッチリ瞳に桜色の唇。我が妹ながら可愛い彼女に、思わず呼吸を忘れそうになる。
しかしなんとか正気を保つと、俺はいった。
「元気そうだな。……けど、何だその背景は?」
通話の最初はビデオはなしだったのだが、途中からビデオ通話に切り替えたおかげで咲良の姿とその背景が見える。そこはキラキラとしたシャンデリアが吊るされた、上級ホテルの一室ような場所だった。小さな窓の外に塔らしき何かが建っているようだ。
「あたし用の部屋。いいでしょ? 窓から見えるのは城の見張り塔ね」
「おい咲良。城とか何とかよくわからんが、まさかそこが異世界とか言うまいな?」
「ううん、ここがあたしの異世界だけど?」
「――」
しばらく黙り込む。なんと言ってやればいいのか考えた。
「変なクスリやってないか?」
「やってるわけないじゃん。お兄ちゃん、可愛い妹の言葉を疑ってるな?」
当然である。
三日間安否不明だった妹が、電話を寄越すなり「今異世界にいる」と言って信じる兄はいないだろう。少なくとも俺は疑いの目でしか見られない。
そもそも異世界にいたらスマホが繋がるはずがない。きっとどこかに監禁され、クスリを飲まされて犯人の戯言を信じてしまったのだろう。その方がよほど筋が通る。
「目を覚ませ。お前は捕まってるんだろう? それとも脅されてそんなことを言わされてるのか?」
「違うってば。お兄ちゃんは疑り深いなぁ。じゃああたしがどうしてここにいるか説明してあげるね!」
明るい笑顔で咲良がそう言った。
いや……説明されてもなぁと思う俺だったが、口を挟む間も無く咲良の話が始まった。
ご意見などございましたら、よろしくお願いします。
今回で一旦この連載は終了となりますが、またボツネタが出たら更新するかも知れません。その時はまた、暇つぶしにでも読んでいってくだされば幸いです。




