✒ 平穏な日々 3 / 何方様ですか??
──*──*──*── 自室前・廊下
ニテンス様と一緒に自室から出た私は、廊下に立っている人に気付きました。
スラッとした長身にバランスの良い体格をした美丈夫な男性が立っていました。
新しい使用人でしょうか?
それにしてはラフな格好をしていますよね?
サブリエル
「 ………………あの…御早う御座います。
失礼ですけど……何方様ですか??
私に何か用事でもありますか? 」
長身の美丈夫
「 ──御早う御座います、私の愛しいエル 」
サブリエル
「 はい??
──初めましての方に “ エル ” と呼ばれる筋合いはありませんわ。
失礼ではありませんか? 」
長身の美丈夫
「 ………………(////)
( エル……警戒しているのか?
険しい顔をしても可愛いな…。
許されるなら今直ぐにでも抱きしめたい… )」
創生王:ニテンス
「 ──兄上!
サリーを待っておったのか 」
サブリエル
「 あ…兄上??
ニティ、兄上って…… 」
創生王:ニテンス
「 うむ、正真正銘の兄上だの 」
サブリエル
「 え゛ぇ゛っっっ!?
リ…リグ様っですか!?
えっ、だって、昨夜は──えぇっ??
どうなってるんですか!?
どんな手品を使ったんですかっ!! 」
はぁぁぁぁぁあああああ~~~~なんですけどぉっ!!
このっ、目の前に立ってる人がっ、リィグレーシェド様って──、どゆことですかっ!!
昨夜までは確かに巨漢デブゴンだった筈ですわよね!
それが一夜でデブゴンから華麗なるダイエット──いえ、変身なんて出来る訳がありませんわよ!!
魔法少女でもあるまいし、そんな非現実的な事が起こるわけがない筈…………ですよね?
本当に「 はぁぁぁぁぁぁあああああああ!? 」なんですけどっ!!
サブリエル
「 一夜の間に何が起きたんですか、リグ様?
フェアリーゴッドマザーにでも助けられちゃいましたの? 」
リィグレーシェド
「 うん?
フェアリーゴッドマザー?? 」
おっと、フェアリーゴッドマザーはデ●ズニー映画に登場する架空のキャラでしたわ。
私、かなり気が動転して、テンパってるみたいですわね…。
創生王:ニテンス
「 サリーよ、落ち着くのだ。
兄上には護衛をしてもらう故、一時的に “ 妖精の悪戯 ” で体型を変えてもらっておるだけだ 」
サブリエル
「 妖精の悪戯……ですかぁ?
な…何ですかそれ…… 」
創生王:ニテンス
「 ほんに一時的な事である故、痩せたわけではないぞ。
あの体型では動き難いであろうし、色々と不利であるからの。
──痩せた兄上は中々の色男ではないかの? 」
サブリエル
「 …………色男では済まないと思いますわ…。
美青年すぎて目のやり場に困りますわね…。
29歳には見えませんわ… 」
リィグレーシェド
「 アラサー?? 」
サブリエル
「 い、いえ……此方の事ですわ。
…………えぇと……先程はリグ様と気付けずに失礼な事を申しましたわ…。
許してくださいませ… 」
リィグレーシェド
「 エル、謝らないでください。
エルに相談もせずに体型を変えた私にも非があります。
気にしないでください。
私の方こそ驚かせてしまって悪かったです 」
サブリエル
「 ──っ、リグ様…(////)」
うへぇっ──ですよ!!
なんて破壊力のある顔をしやがるんでしょう、この人は!!
声は元から素敵でしたけど、目の保養になる容姿をしている所為で私の心臓がヤバいですよぉ~~~~!!
鼓動が早くてバクバクしてますっ!!
凶器です!!
巨漢デブゴンのリィグレーシェド様も十二分に凶器ですけれど──、今のリィグレーシェド様も負けないぐらい凶器です!!
破壊力に負けちゃいそうですぅ~~~~!!
美丈夫でハンサムイケメンな美青年は眼福ですぅ~~~~♥️♥️♥️♥️
御馳走様ですわぁ~~~(////)
ときめいて、きゅん死しちゃいそうですぅ~~。
サブリエル
「 あの……待っていてくださって──有り難う御座いますわ(////)
リグ様が来てくださっていると知っていれば早く準備をしましたのに…… 」
リィグレーシェド
「 気にしなくて良いですから。
大して待っていません。
食堂へ行きましょう 」
サブリエル
「 は、はい… 」
見違えたリィグレーシェド様は私に手を差し出してくれます。
どうやら私をエスコートしてくださるみたいです。
今から “ 新生リグ様 ” と心の中で呼ぶ事にしようと思いますわ。
痩せたらこんなに素敵な容姿に──いえ、男性になるんですね~~~~。
前世で良く仰天チェンジ番組を見てましたけど、本当でしたね!
うぅ……こんなに素敵な容姿だったら独身令嬢じゃなくても寄って来ちゃいますよぉ~~~~。
国王は一夫多妻で正妃以外に側妃が11名も居るんですよね~~。
上位貴族は国王に習って一夫多妻が多くて、正妻以外に8名の令嬢を娶っている貴族は大勢居るみたいですし……。
大勢の妻を養えるだけの財力と包容力を持っているって事を周囲へ示す為に妻の数がステータスになっているのかも知れませんね~~。
新生リグ様にもその気があれば私以外の妻を娶る事も可能なわけで……。
未来の私のピンチじゃないですか!?
妻が増えると性病を移される危険性が増えちゃいますよ!
今日日、妻に処女性を求める貴族令息は居ないと聞きますし。
処女性に拘るのは変な性癖を持っている年配貴族って噂も聞きますし……。
新生リグ様は未だ30歳前ですけど、処女性に拘っていたりするのでしょうか?
前世でも今世でも私は処女ですけど…………少し心配ですぅ。
処女でも手や口を使って御奉仕する令嬢は居るでしょうし……。
●ナ●でする令嬢だって…………。
やっぱり、妻が増えるっていうのは危険ですよね!!
新生リグ様が私以外の令嬢を見初めて妻に娶るような事にならないように何とか手を打たないと……。
夜にでもニテンス様に相談してみようかしら……。
──*──*──*── 食堂
リィグレーシェド
「 エル、どうしたんですか?
食欲が無いんですか?
それとも味が口に合いませんか? 」
サブリエル
「 え?
あぁ……料理は美味しいですわ。
おかわりしたいぐらいですもの 」
リィグレーシェド
「 おかわり…ですか?
料理長が喜びますね 」
サブリエル
「 …………リグ様、今日は梨を使ってパイとタルトタタンを作ろうと思っていた日なんです。
リグ様が良ければ……、作る所を見ていただけませんか? 」
創生王:ニテンス
「 ボクは見るぞ!
パイとタルトタタンとやらがどうやって出来るのか過程を知りたいからの 」
リィグレーシェド
「 エルが構わないなら私も見たいです。
エルが作ってくれるパイとタルトタタンを食べたいですし 」
サブリエル
「 有り難う御座います!
美味しいパイとタルトタタンを作りますわ 」
リィグレーシェド
「 朝食が終わったら直ぐ作るのですか? 」
サブリエル
「 はい♪
パイとタルトタタンは途中までは同じ作り方なんです。
アップルパイを作っていたタタン姉妹が林檎を炒め過ぎて失敗したんです。
林檎の入ったフライパンの上にタルト生地をのせて焼いた後、引っくり返すと香ばしくて美味しそうなスイーツが誕生したんです。
スイーツ界では “ 史上最高の失敗作 ” って言われるぐらい美味しいんですよ 」
創生王:ニテンス
「 是非とも食べてみたいスイーツだの! 」
リィグレーシェド
「 史上最高の失敗作…ですか。
どんなスイーツなのか気になりますね 」
創生王:ニテンス
「 サリーよ、梨以外でも作れるのかの? 」
サブリエル
「 勿論です。
出来れば色んな果物で作ってみたいと思っています。
形が歪で売り物にならない規格外果物や規格外野菜のを使って、ジャムやジュースだけじゃなくてスイーツも作って販売する事が出来たなら廃棄処分しなくて済むし、無駄にならないと思うんです 」
リィグレーシェド
「 規格外果物,規格外野菜……ですか? 」
サブリエル
「 はい。
一生懸命苦労して育てた野菜や果物が売れ残ってしまったり、歪過ぎて売れなかったりすると廃棄処分されてしまいますわ。
“ 勿体無い ” を無くして再利用する為に何か方法がないか考えているんです 」
リィグレーシェド
「 エル…… 」
サブリエル
「 廃棄処分される野菜や果物を公爵家で買い取ったら、加工して商品として販売するんです。
売り上げは領地開拓資金へ回して、領民達へ還元するのはどうか──って考えたりするんですけど、実現させるのは中々難しいですよね? 」
創生王:ニテンス
「 そんな事はサリーがせんで良い。
小人にさせれば良いぞ 」
サブリエル
「 そうなの?
小人の負担になるんじゃ…… 」
創生王:ニテンス
「 小人は自然を擬人化した存在だからの、働かせても疲れはせんし、過労で死にもせん 」
リィグレーシェド
「( エルはエルなりに領地や領民の事を考えているのか…。
抱きしめたい… )
エル──、私は構いませんからエルがしたいと思っている領地開拓をしてみてはどうですか 」
サブリエル
「 えっ?
で、でも……そんな…知識の無い素人の私が領地開拓なんて…… 」
創生王:ニテンス
「 サリーよ、兄上が言うのだから、やってみれば良い。
ボクも手伝うし、小人も居る。
やってみよ 」
サブリエル
「 ニティまで……。
リグ様… 」
リィグレーシェド
「 1ヵ月間は私も相談に乗ります。
執事長と執事補佐も相談に乗ります。
一緒に領地開拓を進めましょう 」
サブリエル
「 …………はい…(////)」
何か、とんでもない話になっちゃいましたけど、これをチャンスに変えられないかしら?
これから始める領地開拓を切っ掛けに、新生リグ様と仲良くなって、親密になって──、何とか新生リグ様が一夫多妻に目覚めないように誘導を──。
領地開拓なんて、漫画やアニメじゃあるまいし、簡単に出来るものではない筈です。
ニテンス様や小人が手伝ってくれるなら、何とかなるかも知れませんけど──。
兎に角、新生リグ様と報連相を忘れずに密にしないといけませんよね?
サブリエル
「 ──このデザート、美味しいですわ 」
リィグレーシェド
「 この味は──南瓜…ですよね? 」
創生王:ニテンス
「 うぅ~~~~ボクには味がしないから分からん…。
サリー、作り方を聞いて作ってくれんかの? 」
サブリエル
「 教えてもらえたら作りますね~~ 」
創生王:ニテンス
「 むぅ……。
料理も味がせんし、虚しいのぅ…… 」
リィグレーシェド
「 その割りには食欲旺盛じゃないのかな? 」
創生王:ニテンス
「 フン!
出された料理は味がせんでも残さず食べるわい 」
サブリエル
「 偉いですわ、ニティ 」
朝食を食べ終わった私は、新生リグ様と一緒に〈 大陸神 〉へ食後の祈りを捧げました。
ニテンス様,新生リグ様と一緒に食堂を出たら、梨のパイとタルトタタンを作る為に侍女達が普段使っている厨房へ向かって歩きました。




