✒ 公爵様の御帰宅 1 / 君は誰だ!?
──*──*──*── 玄関ホール
御帰宅するリィグレーシェド様を御迎えする為に、私はニテンス様と一緒に玄関ホールに立っています。
ニテンス様はフォンオスコ公爵領地内の領民達の記憶を改竄していて、使用人達の記憶も勿論ニテンス様から改竄されています。
使用人達もフォンオスコ公爵家を衛る騎士達もニテンス様をリィグレーシェド様の実弟だと思い込んでいます。
疑っている使用人,騎士は誰1人として居ません。
改竄力が半端無いですね。
扉の外で馬車が停まった音がしました。
両扉が何時もの護衛の手によって開かれます。
私は何時もと変わらぬ笑顔でリィグレーシェド様を笑顔で御迎えさせて致しました。
サブリエル
「 お帰りなさいませ、リグ様。
今宵も無事に御帰宅してくださり嬉しく思います。
リグ様の無事な姿を見れて安心致しましたわ 」
リィグレーシェド
「 ただいま、私のサブリエル 」
リィグレーシェド様は嘘しそうに笑顔を向けてくれます。
何時もならば、リィグレーシェド様に抱きしめられてハグされる所ですけど──、今夜はリィグレーシェド様が私にハグをされる前にニテンス様がリィグレーシェド様へ声を掛けられました。
創生王:ニテンス
「 お帰りさない、兄上(////)」
えっ、何ですか。
めっちゃ可愛い笑顔と声で笑いやがりましたよ!?
天使か!?
天使様が天から舞い降りて来ましたよ!!
猫被り過ぎですよ~~~~、ニテンス様~~。
私もニテンス様の事は言えませんけどね。
リィグレーシェド
「 …………………………」
創生王:ニテンス
「 兄上?
どうされたのですか? 」
サブリエル
「 リグ様?
御疲れですか? 」
どうしたと言うのでしょうか?
リィグレーシェド様が固まっています。
ニテンス様を見詰めたまま固まっていますよ。
サブリエル
「 リグ様?
どうされたのですか? 」
リィグレーシェド
「 …………いえ、何でもありません…。
少し……眩暈がしただけです 」
サブリエル
「 まぁ……。
眩暈を起こす程、御疲れなのですね… 」
私は心配しているような素振りでリィグレーシェド様に触れます。
軍服の上からなんですけど、ニテンス様が何でか今から捨てられる事を察した仔犬のように瞳を潤ませて私を見詰めています。
服の上からのボディータッチはセーフなんですよね?
サブリエル
「 リグ様、ニティも心配していますわ。
晩餐前に入浴されては如何ですか?
少しは疲れも和らぎますわ 」
リィグレーシェド
「( ──ニティ?? )
…………そう、ですね…。
今夜は先に入浴するとします。
サブリエルは先に──ニティ…と先に食べていてください 」
サブリエル
「 リグ様、御待ちしておりますわ。
一緒に食べたいですもの 」
リィグレーシェド
「 ………………すみませんが、今夜は食堂へは行けそうにありませんから…… 」
サブリエル
「 そうですか。
分かりましたわ。
今夜の晩餐はニティと2人でいただく事に致しますわ 」
リィグレーシェド
「 部屋へ向かう前に御宝殿の間へ行きましょう 」
サブリエル
「 はい、リグ様 」
創生王:ニテンス
「 姉上、ボクは食堂で待ってます 」
サブリエル
「 はい、分かりましたわ 」
玄関ホールでニテンス様と分かれた私は、リィグレーシェド様と共に御宝殿の間へ向かいました。
──*──*──*── 御宝殿の間
御宝殿の前に立ち、両手を合わせて〈 大陸神シピアンドダレ 〉の刺繍画へ “ リィグレーシェド様を無事に御帰宅させていただけた事 ” への感謝と “ 皆が平穏無事に1日を過ごさせていただけた事 ” への感謝の祈りを捧げました。
「 行って来ます 」と元気に家を出て、出掛けたまま元気な姿で帰宅が出来る事は “ 当たり前 ” な事ではありません。
毎日、何処かの誰かが骨になって「 ただいま 」されているのです。
事故や事件に巻き込まれて「 ただいま 」の出来ない人だって大勢居ます。
その中の1人に入る事もなく五体満足な元気な身体で無事に自宅へ帰宅が出来る事も、家族の顔を見れて、家族と話が出来る事も、とても幸せな事だと私は思います。
例え不仲で家族の会話をする事がなくても、無事な姿で自宅へ帰宅してくれた事は、何よりの御褒美だと思うのです。
すれ違いが多くて接する機会があまりなくても、例え家庭が崩壊していて仮面を付けて暮らしていたとしても、家族が揃って1つの自宅で過ごせる事は幸せな事ではないでしょうか。
家族の誰かが亡くなってしまうと色々と面倒事が増えますからね、元気でいてくれた方が良いに決まっています。
「 ただいま 」と帰って来たのなら「 おかえりなさい 」ぐらいは言っても良いと思うのです。
何時何処で家族がイレギュラーな事態に見舞われて、自宅へ帰宅が出来なくなるか分かりません。
毎日を息災に過ごさせていただける事を〈 大陸神シピアンドダレ 〉へ感謝しても罰は当たらないと思います。
リィグレーシェド
「 サブリエル……明日から1ヵ月、休みを頂きました。
サブリエルが使えるようになった魔法の事、今後の事を話し合いましょう 」
サブリエル
「 分かりましたわ。
態々御休みを頂いてくださったのですね…。
有り難う御座います 」
リィグレーシェド
「 絶好の機会とばかりに、無理矢理取らされたようなものです 」
サブリエル
「 それでも有り難い事ですわ。
明日からの1ヵ月間は確り身体を労られて、休ませてくださいませ 」
リィグレーシェド
「 そうするとします 」
サブリエル
「 1ヵ月もリグ様と一緒に過ごせるのですから、ニティも喜びますわ 」
リィグレーシェド
「 ………………そうですね… 」
〈 大陸神シピアンドダレ 〉への感謝の祈りを済ませたリィグレーシェド様と私は、御宝殿の間から出ると階段の前でリィグレーシェド様と分かれて食堂へ向かいました。
リィグレーシェド様と話していたら少し長くなってしまいました。
ニテンス様が怒ってなければ良いんですけど……。
──*──*──*── 食堂
サブリエル
「 ──ニティ、御待たせしました 」
創生王:ニテンス
「 遅かったな。
何か言われておったのか? 」
サブリエル
「 明日から1ヵ月、御休みを頂いだけたみたいです 」
創生王:ニテンス
「 ほぅ?
1ヵ月も休めるのか 」
サブリエル
「 無理矢理取らされたみたいですよ?
私が魔法を使えるようになった事を話し合う事になりましたわ 」
創生王:ニテンス
「 そうか。
ならば、その時はボクも同席するとしよう。
サリー、入浴が済んでからで良い。
兄上の部屋へ行くぞ 」
サブリエル
「 はい…。
………………ニティ、本当に今夜、リィグレーシェド様を隷属しなければいけませんか?
眩暈がすると仰っていましたし、明日では駄目なんですか? 」
創生王:ニテンス
「 そうか。
サリーは領民を飢え死にさせたいのだな?
サリーが望むなら明日にしてやってもボクは構わないぞ。
実に優しい公爵夫人で領民達も幸せだの 」
サブリエル
「 止めてください!
領民を飢え死にさせないでくださいませ!
今夜、今夜──ちゃんとリィグレーシェド様を隷属しますからぁ!! 」
創生王:ニテンス
「 素直で良いぞ、サリー。
午前0時迄に兄上を隷属させれなければ、領地から自然の恩恵の一切を絶ち切るからの。
そのつもりで兄上を隷属せよ 」
サブリエル
「 ニティ……脅し方が半端無いです~~。
ヤクザも尻尾を巻いて部屋の隅でガタガタ震えちゃいますよ? 」
創生王:ニテンス
「 ヤクザ…とは何だ? 」
サブリエル
「 物の例えですわ 」
晩餐を終えた私は、ニテンス様と共に寄り道せず自室へ戻る事にしましま。
因みに御宝殿の間の後片付けですが、今迄は言い出しっぺだった私が率先してさせて頂いていました。
今日からは小人に後片付けをしてもらえる事になったんです。
後片付けだけではなく、朝の御供えも小人がしてくれて、御宝殿の間の管理の一切を小人に一任する事になりました。
とても有り難いと思うのですけど、丸投げするみたいな感じになってしまうので、全てをお任せしてしまっても良いのでしょうか??
創生王:ニテンス
「 言い忘れておったが、小人は御宝殿の間に住まわせる事にしたぞ。
サリーが用意した御宝殿を心無い者に荒らされては困るからの。
御宝殿の間は小人に衛らせる故、安心せよ 」
サブリエル
「 御心遣い、有り難う御座います 」
あぁ、何か御宝殿の事をお任せしても大丈夫そうですね。
安心しました。
◎ 訂正しました。
シェルク ─→ ツェルク




