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呪いの蒼仮面  へなちょこパーティ「暁の刃」の冒険  作者: かつエッグ


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クエストの真相

 あたしたちは、力尽きた四人の冒険者の遺品を集めた。

 ギルドに持ち帰れば、彼らの身元も分かるだろう。

 そして、身寄りの人に悲しい知らせが届くだろう……。

 身につけていたギルドカードから見ても、やはり、彼らは「暁の刃」よりちょっとましな程度の、駆け出しの冒険者パーティだったようだ。

 どうして、そんな彼らがこの五芒星城塞に挑んでしまったのか……。

 それにしても、「暁の刃」ほどの実力しかなさそうなパーティが、よくもまあ、あの危険な石橋を渡って、城門のいくつもの仕掛けにもやられず、城塞の中にまではいりこめたものだ。

 あたしのそんな思いがわかったのか、

「エミリア。この城塞は、矛盾と悪意に満ちた場所なんだ」

 と、ケイトリンさんが言った。

「実は————ここペンタゴーノンはね、レベルの低い冒険者ほど、入るのはやさしい。逆に、ハイレベルの冒険者になるほど、内部に入りこむのに苦労するんだよ」

「そんなことって……?」

「まるで、城塞が意志を持って、冒険者を選別しているかのようだ」

 ケイトリンさんが続ける。

「ひょっとして、この城にやってくる冒険者を餌としてみているのかもしれない。この城全体が獲物をとらえる、大きな罠なのかも……」

 恐ろしい話だ。

 たしかに、どうせ獲物を手に入れるなら、楽な方が良い。

 激しく抵抗する手練れの侵入者より、かんたんに仕留められるような連中の方が、餌にするには効率は良い。

 それはそうなんだけど……。

「以前は、こうではなかったらしい」

 ケイトリンさんが教えてくれる。

「城塞が陥ちてからしばらくは、ここは、ただの廃墟でしかなかった。信じられないかもしれないが、冒険者でさえない近隣の若者たちが、連れだって肝試しに歩き回るような、そんな頃もあったっていうよ」

「ええっ、それはまた無謀な……大丈夫だったんですか、そんなことをして」

「まあ、多少の危険はあったようだが、誰一人戻らないというようなふうではなかったらしい。それが、今じゃこのありさまだ……城門の仕掛けも、この年月を生き延びたのではなくて、あれは、おそらく、いったんは壊れたものが、復活したんじゃないかと思う」

 あたしは、この五芒星城塞の異常さを感じ取った。

「どうしてそんなことに……? 時間が経って、人の領域でなくなっただけにしては、ここに満ちる悪意は、なにか説明がつかない気がします」

「それは————」

 と言いかけたケイトリンさんをさえぎって、アマンダさんが、険しい声で、

「ケイトリン、それはわたしが言うべきだろう」

 アマンダさんは、あたしの顔をじっと見て、

「『呪いの蒼仮面』だ……それがこの事態を引き起こしていると、わたしはみている」

 そう言った。

「呪いの……蒼仮面……?」

「そうだ。この城塞のどこか、落城以来一度も開かれたことのない隠し部屋に、今も秘匿されている最悪の魔道具だ」

 キエエェェェェ……

 アマンダさんがその名を口にしたとたんに、どこか遠くで、鳥か、魔物か、魂をけずられるような嫌な響きの叫び声が上がり、あたしはぎょっとした。

「いや……はたして、魔道具といえるかどうかもわからない。最凶最悪の呪いを放射する伝説の遺物なんだ」

 アマンダさんは、厳しい声で続ける。

「どこから、どうやってもたらされたのか、来歴がまったくわからない。もしかしたら、この世界に属するものではないのかもしれない、得体の知れない仮面だ」

「そいつが原因だと?」

 アマンダさんがうなずく。

「そう、この城塞のどこかに今もあるそれが、この土地全体をおかしくしているんだと思う。城塞の奥深くに秘匿されてもなお、漏れ出してくる、強烈な呪いの力によって……」

「そんなことが……城塞の地をまるごと狂わせるほどの呪いなんて」

 いったいどれほどの……。

 そして、おそまきながら、あたしの中でようやく話がつながって。

「ひょっとして、今回のクエストのお宝というのは……」

「その通りだ。わたしたちの仕事は、その『呪いの蒼仮面』を見つけ出し、無害化することだ」

「で、できるのですか?!」

 そんな最凶最悪の呪いの遺物を無害化するなんて。

「しなければならない。このままでは、どこまで呪いが広がるかわからない」

 うああああ……。

 これは宝探しなんてお気楽なものじゃなくて。

 あたしが事態の深刻さにおののいていると、アマンダさんは追い打ちをかけるように言った。

「だからこそ、エミリアの解呪の魔法なんだ」

 ひいいい!

 ちょっと、ちょっとまって……。

 あたしは、うろたえた。

 いや、どう考えても、この件、あたしごときの、へなちょこ魔法では無理な気がするんだけど……。

 相手は最凶だよ。

 最悪の呪いだよ。

 それにひきかえ、あたしの解呪魔法は、中級だよ。

 とうてい太刀打ちできないよ……。

 うろたえて、おかしな事も考えた。

(ごめん、アーネスト。あたしたちが、いっつもたいへんなことに巻き込まれるの、あんたが引っ張ってきているとずっと思ってたけど、ひょっとして、あんたのせいだけじゃなかったのかな。ここには、あたししかいなもんね……)

 あたしはとても不安な顔をしていたのだろう、ケイトリンさんが

「心配するな、エミリア。サバジオスの手を見事に解呪した、エミリアの実力があれば、問題ない」

「は、はあ……」

「それにね」

 にやりと笑う。

「あたしらも、それなりに準備はしているんだよ」

 そういって、ケイトリンさんは、腰に下げた袋を、ぽんと叩いた。

「エミリアの助けになるものを、ここに、ちゃんと用意してきたんだ」

「それはとてもとてもありがたいですが……」

 ケイトリンさんが自信たっぷりに言うからには、きっとすごく強力なものにちがいない。

 うん、どちらかといえば、あたしの魔法より、そちらが主力ではないか。

 そうだ、そうであってほしい。

 あたしの魔法はおまけで十分なんだ。

 あくまで、もしもの場合の保険なんだよ。

 そう考えて、自分を納得させようとがんばったが、あははは、あたしの不安の雲はいっこうに晴れないのだった……。



いつも読んで下さってありがとうございます。エミリア、たいへんなことになってます。でもエミリア、作者として君に教えよう、今回の事件もたぶん、アーネストがフラグを立てたのだ。エミリアは泣いていい。


面白いぞ! 続きを早く読みたいぞ! もっとさっさと更新しろ、そう思われた方は応援お願いしますね! 感想とかもらえるとがんばるよ(多分)

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― 新着の感想 ―
[良い点] アマンダさんが、エミリアの解呪の魔法を助けるために何かを用意しているようですね。エミリアも心強いですね。頑張れ! [気になる点] 城塞全体が獲物を捕らえる大きな罠? それは最悪の魔道具・遺…
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