第1 夜のターン
みなさんは、人狼ゲームって知ってますか?今回は人狼ゲームのお話です。ぜひ最後までご覧ください。
その朝は、妙に暑苦しかった。その理由は、すぐにわかった。オレの足の上で眠っている幼なじみの美月がいたからだ。
「おい、美月起きろよ!」
「へ、なぁに、誠?」
そう言いながら美月はゆっくりと起き上がった。
「えっ、なにここ?どこなの!?」
辺りをぐるりと見回した。が、何もわからなかった。ただ、古びた洋館の中に、オレたちが閉じこめられていることはわかった。
「おそらく閉じこめられたんだろう」
オレがそう言うと、美月は身震いをする。
「やだ、誠ったら。じ、冗談はやめてよね」
オレは、美月の声を無視して部屋を観察し始めた。
すると足になにかが当たった。
「ぅえっ!?」
思わず変な声を出してしまった。
足に当たったのは小さな箱だった。開けてみると、カードが1枚入っていた。
『村人』 そう書かれていた。
何のことだろうとオレはじっとカードを見つめたが、ちっともわからなかった。
「ねぇ、誠。これなんだと思う?」
美月もオレと同じカードを拾ったみたいだ。でも、文字が書いている部分だけ、モザイクがかかっていて読めなかった。
その時、部屋のすみにあったテレビの電源が、勝手についた。
『今から、人狼ゲームを始める。広場に集まれ』
はっ?はっ?人狼ゲーム!?なんでそんなゲーム今からするわけ!?意味不明なんだけど‼それに、人狼ゲームってことはオレたちの他にも人がいるってことだよな!?
っていうか、広場ってどこ?
「なぁ美月、広場ってどこか知ってるか?」
「えー、そんなの知るわけないじゃん。とりあえず、ここにいたらいいんじゃない?」
まあ、ここにみんなが集まってくる可能性だってあるんだし、一応ここにいよう。
しばらくたっても誰も来なかった。
「なぁ、やっぱりここ出て『広場』ってとこを探した方が____」
オレがそう言いかけたとき、ガタッとドアが開いた。
「失礼しまーす。誰かいますかー?」
ショートカットの女の子と、髪の毛が腰までのびている女の子が二人くっついて入ってきた。
「あなたたち、誰ですか?」
美月が冷静に聞く。
「あなたたちこそ……。私は森原凛。こっちは、妹の森原恋」
ショートカットの子が凛さん、髪の長い子が恋さん。
「オレは、月島誠」
「私は太田美月。広場ってどこか知ってますか?」
美月はどうして冷静でいられるんだろう。
「おそらくここが広場ですよ。っていうか、敬語やめません?ここに閉じこめられた者同士なんだから」
「わかったわ」
さっきから恋さんは何もしゃべらない。まあ、オレもあんまり話してないけどな。
「それより、あなたたちの役職は?」
はっ?役職!?何のことだ!?
「役職は役職よ。カードもらったでしょ?人狼ゲームの」
はっ、人狼ゲームって!?さっきのあのカードのことか?
「オレは___だったよ」
「えっ、なんて?」
「だから、___だって!」
「ごめん、役職のところだけ全然聞こえない」
たしか、美月の時もそうだった。
「まあいいわ。じゃあ、美月さんは?」
「私は___よ」
美月は少しキョトンとした。
「やっぱり聞こえないのね。実は、妹の役職もわからなくて」
そうなのか……。
「あ、あの、私もタメ口で、いい、ですか?」
「えっ、全然いいよ!」
オレと美月の声がハモった。顔を見合わせたけど、ちょっと恥ずかしくなってすぐにそっぽを向いた。
「ねぇ、人狼ゲームって知ってる?」
気まずい沈黙を破ったのは凛さんだった。
「実はオレたちの学校では、人狼ゲームが流行ってるんだ」
「へぇー、ならルールは知ってるよね!」
「まあ、一応」
……、オレは人狼ゲームしたことないんだけど。
「ちーす。ここって広場か?」
「おい、ちゃんとあいさつしろよ」
チャラそうな男子が一人、頭がよさそうなメガネ男子が一人入ってきた。
「あなたたちは?」
「ああ僕は河合心。"こころ"じゃなくて"しん"って読むよ」
河合君がメガネをカチリとなおしながら自己紹介する。
「オレは土井蓮。こいつのダチだ」
そう言いながら土井君は河合君をつつく。
その時、部屋のすみのテレビの文字が変わった。『参加者はこれで全員。そこのいすにすわれ』
気づくとパイプいすが5人分おかれていた。
テレビには新しい文章がうつっていた。
『今から命をかける人狼ゲームを開始する。命をかけられない人は、今のうちにギブアップしてもOK』
命をかける人狼ゲーム?そんなの初めて聞いたんだけど。そう思って美月を見ると、美月もこてっと首をかしげていた。
『夜のターン。役職は、村人、人狼、占い師、ボディガード。まず、人狼の人だけ目を開けろ』
その瞬間、オレの目はストンと閉じた。いや、正確に言えば、勝手に閉じた、か……。
カチッと音がなった。オレの目がすっと開く。この音が合図だったのか。
『次は占い師の能力発動。今夜占う人を心の中で教えてくれ』
またオレの目は閉ざされた。
『次、ボディガードの能力発動』
オレの目は閉じたままだった。
これからいったい、どんなことがはじまるのだろう。そして、ここはどこなんだろう。心臓がバクバクいって、こわれそうだった。
『……、今夜襲撃されるのは、森原凛さんだ』
その瞬間、凛さんはビクッと体をふるわせ、恋さんはぎゅっと目をつぶる。
『が、ボディガードが森原凛さんを守ったので、今夜の襲撃は失敗。人狼、残念だ』
二人はほっと息をついていた。
……、別に、襲撃されても恐ろしいことは何もないのに。
『昼のターンまで自由行動とする』
なんだか遠足で先生がよく言うことに似てるなと思い、ひとりでクスリと笑った。
どうでしたか?
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次回をお楽しみに❗